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第1章 異世界召喚編
04 通話越しによる他国の王からの誘い
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俺、佐々木 暁斗がアイリスちゃんの別荘で目を覚ました後、すやすやと別のベッドで眠っているひなたが目を覚ますまで養生していた。
その間、アイリスちゃんが持ってきてくれた魔術書や小説を読んでいた。
魔術書については、判別しにくい文字がズラっと並んでいたが、何故かスラッと読めるみたいだ。
「水晶でステータスを見ないと分からないけど、多分翻訳スキルを習得してるんじゃないかな?」
アイリスちゃん曰く、勇者召喚された人物は翻訳スキルを初期習得してるかもしれないとのこと。
翻訳スキルってすごいなと思いながら読んでいると……。
「う、うぅん……」
ひなたが目を覚ましたようだ。
身体を起こし、俺の方を見ると少し驚いた様子で、こう言ってきた。
「暁斗君、目が覚めたの!?」
「ああ、おはよう……かな? お陰様でね。体調も回復してきたし……って、うわっ!?」
突然、ひなたが俺に抱き付いてきた。
その目には、安心感からか涙を浮かべていた。
「よかった……、よかったよぉ……。 ふえぇん!」
「ごめん、心配かけたな。あの時、助けてくれた上に看病してくれたんだよな」
「うん、うん……、ぐすっ」
泣きじゃくるひなたの頭を優しく撫でる。
そう言えば、彼女はいつも俺の側にいてくれてたんだったな。
中学から友達がいないからか、いつも遊び相手が彼女だった。
でも、それは充実した日々だった。
今回の事も彼女は俺を助けてくれた。
だが……。
「よかったのか? 勇者の素質をもつひなたはあの国を裏切った形だろ?」
「友達であり、大切な男性を見捨てられないからね。そもそも、私もあの国に対して不快感を感じたし」
何気に大切な人と言われて顔が熱くなるのを感じた。
いつも一緒だったから気付かなかったが、言われてからは彼女の存在が欠かせなくなっていた。
「本当にありがとうな。こんな俺だけど、これからも一緒に居てくれるか、ひなた?」
これが周囲からは『陰キャ』と言われていた俺の精一杯の回答。
それに対するひなたは、笑顔でこう返してくれた。
「もちろんだよ。これからもよろしくね、暁斗君」
ひなたは受け入れてくれたのだ。
他人から見たひなたは、クールな文学少女だから、今の笑顔は俺だけの特権なんだろうな。
「それじゃ、先に下にいるよ。 着替えるのに邪魔だろ?」
「べつにキミになら見られてもいいんだけど、アイリスちゃんがいるし、しょうがないか」
「そういうこと。あと、アイリスちゃんから今後の事を話したいらしいしね」
「分かった。着替えたら行くよ」
ひなたとの会話を済ませた俺は、先に下のリビングへ向かった。
◇◇◇◇◇◇
「ごちそうさまー」
「美味しかったよ、アイリスちゃん」
「お粗末様でした♪ さて、お食事も終わった事だし、今後の事なんだけど、まずこの人とお話して欲しいの」
おいしい食事を食べ終えた俺達に対し、アイリスちゃんがそう言って赤い水晶玉を持ってきた。
「これは?」
「この水晶玉はテレパスクリスタルと言ってね。通信用のクリスタルなの。魔力を注いで通信するやつだよ。現在、ある場所と繋いでる状態だからね」
アイリスちゃんの説明が終わった直後、水晶玉を起動させたようだ。
水晶玉からは男性の声が聞こえ始めた。
『やぁ。 そこにいる君たちが娘が言っていたあのガルタイト国に召喚された人物かな?』
「あ、はい、そうです……って娘?」
「私の事だよ、アキトお兄ちゃん」
「へ!?」
「今、お兄ちゃんに話しかけた相手は私のお父さんなの」
「お、お父さん!?」
アイリスちゃんのお父さんが通信相手だった事に驚きを隠せない。
ということは報告先は彼女のお父さんだった事になる。
『ははは、混乱するのも無理はないか。 私の名はクリストフ・ガイアブルク三世。ガイアブルク王国の国王だよ』
「「はいぃぃぃ!?」」
さっきの自己紹介で俺とひなたは、驚きの悲鳴をあげていた。 まさかの別の国の国王様。 つまり報告はガイアブルク王国に伝わっていたんだ。
「と言うことは、同じファミリーネームを持つアイリスちゃんはまさか……?」
『察しがいいね。アイリスは私の娘で第二王女だよ』
「ええっ!? アイリスちゃんって、王女様だったの!?」
「そうだけど、呼び方は今まで通りでいいからね。継承権はないんだから」
ひなたがさらに驚くが、アイリスちゃんは今まで通りの呼び方でいいと言ってくれたので少し安心した。
ここで不敬罪にされるなんてのは勘弁したいからな。
『継承権は無くても、アイリスは幼いながら優秀だからね。そこで、今までのアイリスからの報告を踏まえて君たちに提案したい』
「提案、ですか?」
クリストフ国王からの提案?
あのガルタイト国の王みたいなことにはならないといいけど……。
俺がそう考えていると、クリストフ国王からある提案内容を告げてきた。
『一時的でも構わないから、我がガイアブルク王国の国民にならないか?』
その間、アイリスちゃんが持ってきてくれた魔術書や小説を読んでいた。
魔術書については、判別しにくい文字がズラっと並んでいたが、何故かスラッと読めるみたいだ。
「水晶でステータスを見ないと分からないけど、多分翻訳スキルを習得してるんじゃないかな?」
アイリスちゃん曰く、勇者召喚された人物は翻訳スキルを初期習得してるかもしれないとのこと。
翻訳スキルってすごいなと思いながら読んでいると……。
「う、うぅん……」
ひなたが目を覚ましたようだ。
身体を起こし、俺の方を見ると少し驚いた様子で、こう言ってきた。
「暁斗君、目が覚めたの!?」
「ああ、おはよう……かな? お陰様でね。体調も回復してきたし……って、うわっ!?」
突然、ひなたが俺に抱き付いてきた。
その目には、安心感からか涙を浮かべていた。
「よかった……、よかったよぉ……。 ふえぇん!」
「ごめん、心配かけたな。あの時、助けてくれた上に看病してくれたんだよな」
「うん、うん……、ぐすっ」
泣きじゃくるひなたの頭を優しく撫でる。
そう言えば、彼女はいつも俺の側にいてくれてたんだったな。
中学から友達がいないからか、いつも遊び相手が彼女だった。
でも、それは充実した日々だった。
今回の事も彼女は俺を助けてくれた。
だが……。
「よかったのか? 勇者の素質をもつひなたはあの国を裏切った形だろ?」
「友達であり、大切な男性を見捨てられないからね。そもそも、私もあの国に対して不快感を感じたし」
何気に大切な人と言われて顔が熱くなるのを感じた。
いつも一緒だったから気付かなかったが、言われてからは彼女の存在が欠かせなくなっていた。
「本当にありがとうな。こんな俺だけど、これからも一緒に居てくれるか、ひなた?」
これが周囲からは『陰キャ』と言われていた俺の精一杯の回答。
それに対するひなたは、笑顔でこう返してくれた。
「もちろんだよ。これからもよろしくね、暁斗君」
ひなたは受け入れてくれたのだ。
他人から見たひなたは、クールな文学少女だから、今の笑顔は俺だけの特権なんだろうな。
「それじゃ、先に下にいるよ。 着替えるのに邪魔だろ?」
「べつにキミになら見られてもいいんだけど、アイリスちゃんがいるし、しょうがないか」
「そういうこと。あと、アイリスちゃんから今後の事を話したいらしいしね」
「分かった。着替えたら行くよ」
ひなたとの会話を済ませた俺は、先に下のリビングへ向かった。
◇◇◇◇◇◇
「ごちそうさまー」
「美味しかったよ、アイリスちゃん」
「お粗末様でした♪ さて、お食事も終わった事だし、今後の事なんだけど、まずこの人とお話して欲しいの」
おいしい食事を食べ終えた俺達に対し、アイリスちゃんがそう言って赤い水晶玉を持ってきた。
「これは?」
「この水晶玉はテレパスクリスタルと言ってね。通信用のクリスタルなの。魔力を注いで通信するやつだよ。現在、ある場所と繋いでる状態だからね」
アイリスちゃんの説明が終わった直後、水晶玉を起動させたようだ。
水晶玉からは男性の声が聞こえ始めた。
『やぁ。 そこにいる君たちが娘が言っていたあのガルタイト国に召喚された人物かな?』
「あ、はい、そうです……って娘?」
「私の事だよ、アキトお兄ちゃん」
「へ!?」
「今、お兄ちゃんに話しかけた相手は私のお父さんなの」
「お、お父さん!?」
アイリスちゃんのお父さんが通信相手だった事に驚きを隠せない。
ということは報告先は彼女のお父さんだった事になる。
『ははは、混乱するのも無理はないか。 私の名はクリストフ・ガイアブルク三世。ガイアブルク王国の国王だよ』
「「はいぃぃぃ!?」」
さっきの自己紹介で俺とひなたは、驚きの悲鳴をあげていた。 まさかの別の国の国王様。 つまり報告はガイアブルク王国に伝わっていたんだ。
「と言うことは、同じファミリーネームを持つアイリスちゃんはまさか……?」
『察しがいいね。アイリスは私の娘で第二王女だよ』
「ええっ!? アイリスちゃんって、王女様だったの!?」
「そうだけど、呼び方は今まで通りでいいからね。継承権はないんだから」
ひなたがさらに驚くが、アイリスちゃんは今まで通りの呼び方でいいと言ってくれたので少し安心した。
ここで不敬罪にされるなんてのは勘弁したいからな。
『継承権は無くても、アイリスは幼いながら優秀だからね。そこで、今までのアイリスからの報告を踏まえて君たちに提案したい』
「提案、ですか?」
クリストフ国王からの提案?
あのガルタイト国の王みたいなことにはならないといいけど……。
俺がそう考えていると、クリストフ国王からある提案内容を告げてきた。
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