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第4話 賢者様が来た
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校長がフリスクに変わり、初期魔力が高いほど優秀だという思想に呑まれたワルジール魔法学校を退学し、今日までの3日間でミーナの家でゆっくり心の傷を癒していたボクは、ジャック君からお母さんが他の二人を連れて彼の実家にいると聞いて、すぐにそこへ向かう。
「私にも来るようにって、何だろうね」
「知らないぜ。 俺はイリスさんからそう伝えてくれって言われただけだ」
「全くお母さんは……。 あ、見えた」
何故かお母さんはジャック君に、ミーナも一緒に来るようにとの伝言をしていた。
どういう事なのか、実際に聞かないと分からないだろう。
丁度、ジャック君の実家である帽子屋さんが見えて来たので、理由なんかも聞いてみようかな?
「アリス!」
「お母さん!!」
お母さんはボクが見えるとすぐにボクの元に駆け寄って、そのまま抱きしめた。
ボクもそれにつられて、抱き返す。
「ごめんね、あなたがあんな辛い目に遭ってたなんて……」
「いいよ、お母さん。 一応、クレームも入れてくれたんでしょう?」
「ええ。 でも、もみ消されたからね。 王家経由でのクレームも」
お互い抱き合いながらボクとお母さんはそう話した。
やはり、母親でありながら娘の辛さを気付けなかったという無念さが伝わってくる。
とはいえ、もみ消されたとは言ってもクレームをしっかり入れてくれたのは感謝しかない。
「それにしても、急にフリスクが校長になってからワルジールがそこまで堕ちていたとはな」
「そうですね、お父様。 前のフリット校長先生はいい人でしたのに」
「えっと、あなた達は……?」
お母さんに抱きしめられながら、ボクは後ろにいる二人に尋ねる。
片方の女の子は『お父様』と言ってたから、娘さんなのだろうけど……。
「これは失礼。 私は聖魔女のイリスと共にかつて勇者パーティの一員として動いていたクレス・エトワールだ。 周囲からは賢者と呼ばれているが」
「私は娘のファナ・エトワールです」
「アリス・パリカールです」
「私はミーナ・ファーウェイです」
「俺はジャック・エヴァンス」
二人はかつて勇者パーティーの一員として動いていたお母さんと同じ仲間の賢者のクレス様とその娘さんのファナさんだった。
自己紹介されたので、ボク達も自己紹介をした。
周囲からは賢者と言われている辺り、確かに魔力の圧が段違いだよね。
「そのー、賢者様が俺達に何の御用で?」
「まず、君達三人にこの名刺を渡さないとな」
「これは……?」
ジャック君が恐る恐るクレス様に用件を尋ねた。
そこで、クレス様は三枚の名刺をボク達に渡したのだ。
そこには……。
「え!? 【エトワール魔法学校】!? その校長!?」
「4か月前にクレスによって新設された魔法学校でね。 アリスよりはマシだとは言え、同じくフリスクの思想の犠牲になった子達を保護してそこで学んでるみたい」
「私も今年からそこで学んでおります」
エトワール魔法学校。
お母さんが言うには、ボクがまだフリット校長先生時代のワルジール魔法学校に入学して2か月後に設立した新規の魔法学校らしい。
現在では、程度はボクよりマシなものの、フリスクの初期魔力至上主義の犠牲になった生徒たちを保護して、そこで学ばせている。
クレス様の娘のファナも、そこで学んでいると言う。
「その名刺を渡したって事は、私達も?」
「そうだ。 君達三人も、ワルジール魔法学校を退学したと言う話をイリスから聞いてね。 せひ、我が校に入学して欲しいのだ」
まさかのクレス様からのスカウトにボク達三人は固まった。
確かに、魔法学校を卒業しないと、冒険者やその他の職には就けないんだけど……。
「私にも来るようにって、何だろうね」
「知らないぜ。 俺はイリスさんからそう伝えてくれって言われただけだ」
「全くお母さんは……。 あ、見えた」
何故かお母さんはジャック君に、ミーナも一緒に来るようにとの伝言をしていた。
どういう事なのか、実際に聞かないと分からないだろう。
丁度、ジャック君の実家である帽子屋さんが見えて来たので、理由なんかも聞いてみようかな?
「アリス!」
「お母さん!!」
お母さんはボクが見えるとすぐにボクの元に駆け寄って、そのまま抱きしめた。
ボクもそれにつられて、抱き返す。
「ごめんね、あなたがあんな辛い目に遭ってたなんて……」
「いいよ、お母さん。 一応、クレームも入れてくれたんでしょう?」
「ええ。 でも、もみ消されたからね。 王家経由でのクレームも」
お互い抱き合いながらボクとお母さんはそう話した。
やはり、母親でありながら娘の辛さを気付けなかったという無念さが伝わってくる。
とはいえ、もみ消されたとは言ってもクレームをしっかり入れてくれたのは感謝しかない。
「それにしても、急にフリスクが校長になってからワルジールがそこまで堕ちていたとはな」
「そうですね、お父様。 前のフリット校長先生はいい人でしたのに」
「えっと、あなた達は……?」
お母さんに抱きしめられながら、ボクは後ろにいる二人に尋ねる。
片方の女の子は『お父様』と言ってたから、娘さんなのだろうけど……。
「これは失礼。 私は聖魔女のイリスと共にかつて勇者パーティの一員として動いていたクレス・エトワールだ。 周囲からは賢者と呼ばれているが」
「私は娘のファナ・エトワールです」
「アリス・パリカールです」
「私はミーナ・ファーウェイです」
「俺はジャック・エヴァンス」
二人はかつて勇者パーティーの一員として動いていたお母さんと同じ仲間の賢者のクレス様とその娘さんのファナさんだった。
自己紹介されたので、ボク達も自己紹介をした。
周囲からは賢者と言われている辺り、確かに魔力の圧が段違いだよね。
「そのー、賢者様が俺達に何の御用で?」
「まず、君達三人にこの名刺を渡さないとな」
「これは……?」
ジャック君が恐る恐るクレス様に用件を尋ねた。
そこで、クレス様は三枚の名刺をボク達に渡したのだ。
そこには……。
「え!? 【エトワール魔法学校】!? その校長!?」
「4か月前にクレスによって新設された魔法学校でね。 アリスよりはマシだとは言え、同じくフリスクの思想の犠牲になった子達を保護してそこで学んでるみたい」
「私も今年からそこで学んでおります」
エトワール魔法学校。
お母さんが言うには、ボクがまだフリット校長先生時代のワルジール魔法学校に入学して2か月後に設立した新規の魔法学校らしい。
現在では、程度はボクよりマシなものの、フリスクの初期魔力至上主義の犠牲になった生徒たちを保護して、そこで学ばせている。
クレス様の娘のファナも、そこで学んでいると言う。
「その名刺を渡したって事は、私達も?」
「そうだ。 君達三人も、ワルジール魔法学校を退学したと言う話をイリスから聞いてね。 せひ、我が校に入学して欲しいのだ」
まさかのクレス様からのスカウトにボク達三人は固まった。
確かに、魔法学校を卒業しないと、冒険者やその他の職には就けないんだけど……。
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