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03 大好きな彼がボロボロになってました
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「というか、ルーくんが何でこんな事に? 身体もボロボロだし……」
「我々にも分かりませんが……、おそらく彼は北側からこっちに来たものだと思います……」
「帰って来た……と言うべきかしら。 こんな状態でだけど」
横たわっているボロボロの状態のルーくんことルクス・フォートナイト君の傍でボクとカタリナ叔母さんと兵士さんで話をした。
彼はどうも北側から来た……というより『戻って』きたというべきだろうか。
「とにかくうちの娘……アメリアを呼んで頂戴。 確かあの子は教会にいるはずよ」
「はっ、畏まりました」
叔母さんが兵士さんに教会にいるとされるアメリアという少女を呼ぶように伝えた。
アメリア・カトワールはカタリナ叔母さんの実の娘で、ボクの従妹であり、さらには回復魔法のスペシャリストとされる『聖女』でもある。
確かにアメリアならルーくんを治す事も簡単だろうね。
でも、そんな事を考えていると何故か不意に身体が震えて来た。
それに気付いたカタリナ叔母さんが声を掛けてくれた。
「ネディ……、ルクス君が追い出された後の事……思い出しちゃったのね?」
「うん……」
「大丈夫よ。 もうあなたを縛るものはいないから。 あの時、気付いてあげられなくてごめんね」
「うん……」
カタリナ叔母さんはボクを優しく抱きしめながら謝罪していた。
その時に不意に流れた涙は、なかなか止まらなかった。
4年前に家族ごと彼がここから追放された時はショックを受けたのは未だに忘れられないし、そんなボクに対する毒親の態度も気に食わなかった。
だが、まだボクは子供であるが故に毒親に逆らう事が出来ず、成すがままにされるしかなかったのだ。
自分達の思うままに動く人形と化するための『英才教育』と言う名のスパルタ教育が未だにトラウマとなっている位だ。
幸運にもあの学校の教頭先生が叔母さんの親友で、ボクの様子がおかしい事と、どこかで毒親が見張り続けている事を叔母さんに教えてくれたことで大きく動いたのだ。
毒親は、自分達の障害である叔母さん達を欺く為に色々仕込みをしていたようで、貴族主義の国家にもパイプがあったようでそれを使って姉夫婦を欺いたのだ。
それが教頭先生からの報告が入った事を知らずに見張っていたものだから、姉夫婦と国王が来たときは慌てていたと教えてくれたのだ。
「お待たせしました! ルー兄様がボロボロになって帰って来たって聞きましたが!」
「ええ、そこで横たわってるわ。 生きてはいるけど意識が無い状態よ」
「何て酷い……。 すぐにでも魔法で治しましょう!」
暫くしてアメリアが慌てた様子で部屋に入って来た。
カタリナ叔母さんはそれを咎めることなく、ルーくんが横たわってるベッドに指差しした。
彼の様子を見たアメリアが、ショックを受けたようだが、すぐにきを取り直して聖なる杖をルーくんの身体に向けて詠唱を始めたのだった。
これで治ってくれるといいんだけど……。
「我々にも分かりませんが……、おそらく彼は北側からこっちに来たものだと思います……」
「帰って来た……と言うべきかしら。 こんな状態でだけど」
横たわっているボロボロの状態のルーくんことルクス・フォートナイト君の傍でボクとカタリナ叔母さんと兵士さんで話をした。
彼はどうも北側から来た……というより『戻って』きたというべきだろうか。
「とにかくうちの娘……アメリアを呼んで頂戴。 確かあの子は教会にいるはずよ」
「はっ、畏まりました」
叔母さんが兵士さんに教会にいるとされるアメリアという少女を呼ぶように伝えた。
アメリア・カトワールはカタリナ叔母さんの実の娘で、ボクの従妹であり、さらには回復魔法のスペシャリストとされる『聖女』でもある。
確かにアメリアならルーくんを治す事も簡単だろうね。
でも、そんな事を考えていると何故か不意に身体が震えて来た。
それに気付いたカタリナ叔母さんが声を掛けてくれた。
「ネディ……、ルクス君が追い出された後の事……思い出しちゃったのね?」
「うん……」
「大丈夫よ。 もうあなたを縛るものはいないから。 あの時、気付いてあげられなくてごめんね」
「うん……」
カタリナ叔母さんはボクを優しく抱きしめながら謝罪していた。
その時に不意に流れた涙は、なかなか止まらなかった。
4年前に家族ごと彼がここから追放された時はショックを受けたのは未だに忘れられないし、そんなボクに対する毒親の態度も気に食わなかった。
だが、まだボクは子供であるが故に毒親に逆らう事が出来ず、成すがままにされるしかなかったのだ。
自分達の思うままに動く人形と化するための『英才教育』と言う名のスパルタ教育が未だにトラウマとなっている位だ。
幸運にもあの学校の教頭先生が叔母さんの親友で、ボクの様子がおかしい事と、どこかで毒親が見張り続けている事を叔母さんに教えてくれたことで大きく動いたのだ。
毒親は、自分達の障害である叔母さん達を欺く為に色々仕込みをしていたようで、貴族主義の国家にもパイプがあったようでそれを使って姉夫婦を欺いたのだ。
それが教頭先生からの報告が入った事を知らずに見張っていたものだから、姉夫婦と国王が来たときは慌てていたと教えてくれたのだ。
「お待たせしました! ルー兄様がボロボロになって帰って来たって聞きましたが!」
「ええ、そこで横たわってるわ。 生きてはいるけど意識が無い状態よ」
「何て酷い……。 すぐにでも魔法で治しましょう!」
暫くしてアメリアが慌てた様子で部屋に入って来た。
カタリナ叔母さんはそれを咎めることなく、ルーくんが横たわってるベッドに指差しした。
彼の様子を見たアメリアが、ショックを受けたようだが、すぐにきを取り直して聖なる杖をルーくんの身体に向けて詠唱を始めたのだった。
これで治ってくれるといいんだけど……。
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