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帰宅、そして待ち伏せ

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 病院を出た俺と静香は、警視総監の人と縁と裕也を伴って、刑事さんの車で家に送ってもらっている。
 父さんを刺し、さらには目撃者の数人を殺したあの座間ざま 葛葉くずはが俺を狙う可能性があり、さらに静香を巻き込む可能性もあるからだ。

「念のため、他の手の空いてる護衛に周辺の警戒をしてもらってるわ」

「悪いな、縁」

「気にしないで。 クラスメイトかつ友達だからね。 しかし、折角のクリスマスがこんな事になるなんてね」

「ああ、俺も予想外だったよ。 静香ちゃんは大丈夫か?」

「はい。 父が無事だったので……」

 縁は念のため、他の護衛さんに周辺の警戒をしてもらっていると伝えてくれた。
 そして、裕也は静香に気を遣いつつ声を掛けた。
 静香自身は、父さんが無事だった事で気丈に振舞っているが、それでも座間ざま 葛葉くずはが絶賛逃亡中なために、内心で恐怖にさらされているはずだ。

「あ、お兄ちゃん……」

 俺はたまらず静香を抱き寄せる。
 今の俺が妹を安心させるにはこれしかないからな。
 静香も、俺の温もりに安心したのか、穏やかな笑顔を浮かべた。

「解決したら、和人を呼ぼうな」

「うん、柚希ちゃんもね」

「ああ……」

 何とか安心させることができたので、静香を抱き寄せたまま俺の家に着くのを待つ。
 裕也は他の護衛さんと連絡を取り合っているようだし、警視総監も他の刑事さんに連絡をしているみたいだった。

「お母さんの方も、光司様がいるけど念のため護衛をおいているよ」

「ああ、そこも助かるよ。 和人と親友でよかったと思う」

 さらに縁から、病院にいる母さんや父さんの周辺にも護衛を置いたとの事。
 あのクズなら、不意を突いて父さんや母さんを狙って来る可能性だってあるだろうから、そこも安心だろう。

「もうすぐ真人君の家に着くな。 警戒は怠らないようにしよう」

「はっ!」

「裕也、こっちも警戒を強めましょう」

「ああ……」

 俺の家が近づくにつれて、警戒を強めようとする警察側と楠家の護衛側。
 確かに家に戻って来たと安堵する瞬間が襲われやすいのだろう。
 俺と静香も気を引き締める。

「到着しました」

「よし、我々が先に降りよう」

「了解しました」

 玄関前に車を止めた後、警視総監や刑事さん、そして縁と裕也が先に降り、その後で俺と静香が降りる。
 その直後だった。

「死ねぇぇぇぇぇっ!! この無能があぁぁぁぁぁっ!!」

「お兄ちゃん! 危ない!!」

「やはり待ち伏せしていたか!!」

 近くの電柱から座間ざま 葛葉くずはがナイフを持って俺を刺そうと襲い掛かって来た。
 だが、俺は奴が持つその刃が俺に届くことはないと確信していた。
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