上 下
70 / 102

刺した犯人は、あの女

しおりを挟む
「母さん……!」

「真人、静香……。 それに和人君と柚希ちゃんも……」

「真人君、静香君もしばらくぶりしゃな」

「じっちゃんも……」

 轟姉妹の片割れの美矢ちゃんから、父さんが刺されたと聞き、おじさんの車で病院に急いだ。
 病院内には、母さんと俺を助けたじっちゃんもいた。

「ごめん、母さん。 父さんが刺されたって知ったの今朝なんだ……」

「いいの。 手術は成功して命に別状はなかったから。 それにせっかくの楽しみを壊したくはなかったから……」

「お母さん……」

 父さんは無事に手術は成功、命に別状はないようだ。
 だが、誰が父さんを刺したのかは分かっていない。

「真人君、暫くぶりだね」

「あ、あなたはあの時の……」

「ああ、静香君の一件で会って以来の警視総監だ」

 そして、静香が性的ないじめを受けていた時に、柚希ちゃんと和人のお母さんが呼んだとされる警視総監の人もいた。

「君の父親を刺した犯人を言う前に、謝罪しないといけなくなってね」

「どういう事でしょうか?」

 警視総監が俺に謝罪というのはもしかして……?
 嫌な予感が頭を過る。

「君を捨てたとされ、絶縁した元母の座間ざま 葛葉くずはが脱走してしまってな……」

「な……!?」

「だ、脱走したのですか!?」

 あの元母が脱走した事に俺と静香は驚きを隠せなかった。

「ああ、奴は刃物を持って真っ先に君の父親を狙っていたものと見られる。 それだけでなく、奴は目撃者の人をすかさず刺し殺していたよ」

「目撃者まで……」

「大方、口封じ的な形で殺そうとしたのだろう。 それをあちらのくすのき 光司こうじさんが止めてね」

「お爺様が……」

「まぁ、残念ながら奴は刃物を持ったまま逃げられてしもうたがな」

 柚希ちゃんがびっくりするくらいにアクティブに動くんだな、じっちゃんは。

「光司さんの証言と刺された目撃者の中から壊されなかったスマホの動画から奴……座間 葛葉が脱走した上で殺人を犯したとして指名手配する事にした」

「殺人?」

「刺された目撃者の何人かは死亡し、かつスマホを壊されたからな……。 口封じも徹底していたという事だ」

 あのクズはついに殺人を犯した訳か。
 どこまでもクズすぎるな。

「おそらく奴は君を狙ってくるだろう。 なので、私も護衛的な感じて、側にいるとしよう。 奴の脱走を許した不手際も精算しないといけないからな」

「こっちも縁と裕也を付けるよ。 二人は武術も長けてるしな。 二人共、頼めるか?」

「ええ、任せて」

「警視総監さんとのタッグだ。 必ず奴を捕まえよう。 真人の為にも」

 縁と裕也もやる気満々だ。
 俺が安心できる為にも、あのクズを捕まえないとな。
 和人と柚希ちゃんは、一旦おじさんの車で家に帰り、俺と静香、そして裕也と縁は警視総監と一緒に刑事さんの車で自宅に帰る事にした。
 なお、母さんは引き続きじっちゃんと一緒に父さんの側にいるようだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

【R18】通学路ですれ違うお姉さんに僕は食べられてしまった

ねんごろ
恋愛
小学4年生の頃。 僕は通学路で毎朝すれ違うお姉さんに… 食べられてしまったんだ……

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

不倫をしている私ですが、妻を愛しています。

ふまさ
恋愛
「──それをあなたが言うの?」

大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について

ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに…… しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。 NTRは始まりでしか、なかったのだ……

処理中です...