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柚希ちゃんとお見舞い その1

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 白金の件に一応のケリをつけてから、はや数週間。
 12月の初旬になっている今、俺はベッドに横たわっていた。

「まさか、風邪を引いてしまうとはなぁ……。 あ、38度……」

 そう、俺は不覚にも風邪を引いてしまい、学校を休む羽目になってしまったのだ。
 ただ、期末テストが終わった後なのが、不幸中の幸いか。
 それでも、こうして風邪を引いているから、柚希ちゃんとも遊べないのが辛い。

「お兄ちゃんただいま。 調子はどう?」

 そんな事を思っていたら、静香が帰って来たようだ。 すぐ、俺の所に見舞いに来て状態を尋ねてきた。

「最悪だな。 未だに38度の発熱だよ」

「あちゃー……。 昨日の今日じゃ下がらないか。 病院の薬は飲んでるよね」

「ああ、ちゃんと飲んでる」

 昨日、即座に病院に行き、薬を貰ってそれを服用している。 もちろん解熱剤も。
 飲み始めたばかりなので、当然ながらまだ効いていない。明日明後日と時間を掛けて治すしかない。

「お粥作ってくるよ。 お兄ちゃんも一応お腹が空いたでしょ」

「食欲が湧かない影響もあるが、確かに何か食べないとな……」

「じゃあ、作って来るから待ってて」

「ああ」

 そう言って静香は、お粥を作る為に部屋から出て行った。
 義理とはいえ、兄想いのいい子だよ。
 俺を捨てた元母姉とはえらい違いだ。
 静香が話しながら設置してくれた専用のスタンドにはめ込まれたスマホを操作し、動画を見ながら静香がお粥を持って来てくれるのを待った。
 そんな中、下から静香の声が響いてきた。

「あれ、柚希ちゃん!? お兄ちゃんのお見舞いに?」

 え!? 柚希ちゃん!?

「はいです。 真人お兄ちゃんが風邪で休んでいるって兄様から聞いたので……」

 和人が教えたのかよ……。
 まさか、柚希ちゃんが来るなんて予想外だったよ。
 そして、二人の足音が大きくなる。

「お兄ちゃんお待たせ。 あと、柚希ちゃんがお見舞いに来たよ」

「真人お兄ちゃん、こんにちはなのです。 お見舞いに来たのです」

「ああ、わざわざありがとう、柚希ちゃん」

「兄様からは、真人お兄ちゃんは高熱が出てるって聞いたのです。 大丈夫ですか?」

「38度の発熱のせいで、身体は怠いかな……。 昨日、病院に行って薬を貰ったけどね」

「それならいいのです。 今は風邪を治すためにゆっくり休むのです。 クリスマスを楽しみにしてますから」

「柚希ちゃん……」

 発熱で身体は怠いのだが、お見舞いに来てくれた柚希ちゃんと話をしている時は心なしか安心感がある。 白金だとこんな事はないのだろうと考えてしまうが……。
 とにかく、こうして心配してくれている彼女の為にも、今はゆっくり休んで治さないとな。

「はい、準備できたよ」

 柚希ちゃんと話をしている間に、静香の方はお粥を食べさせる準備が整っていたようだった。

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