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静香の異変

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 時は流れて新学期に入った。
 柚希ちゃんとは、平日は登下校時にしかふれ合う機会がないが、休日になればデートなどでイチャイチャできるからよしとしよう。
 今日の授業も無事に終わり、和人や縁、裕也と共に校門に向かう時に、三つの姿が見えた。
 一人は柚希ちゃんだが、他の二人は誰だ?

「柚希に…、あれはとどろき家の双子の姉妹か」

とどろき家?」

「私達、徳山家と同じ護衛に優れた一家よ。 双子は、お嬢様と静香ちゃんの守りを任されているけど…」

 柚希ちゃんの様子もおかしいし、何よりも静香がいない。
 何があったんだろうか?
 そう思いながら、俺達は柚希ちゃんの元へ急ぐ。

「真人お兄ちゃん…」

「柚希ちゃん、静香はどうしたんだ? 何があったんだ?」

「静香ちゃんは、先に父様の車でお家に帰ってます」

「そうか…」

 静香はおじさんの車で先に帰ったみたいだ。 それに関しては安心したが、一体何があったのかは分からないまま。

「静香ちゃん、最近になって性的な嫌がらせをされているのです」

「何だって…!?」

 静香が性的な嫌がらせ?
 傍らで聞いている和人も顔を歪めていた。 そういや和人は静香が好きになったんだったなぁ。

「スカートの中を盗撮されたり、着替えを覗かれたり…。 果てにはトイレも覗かれたり…」

「最悪じゃねぇか…」

「質が悪いことに、私達の僅かな隙を突いてトイレを阻止したり…。 すぐに私達が止めたので、静香さんは漏らさずに済みましたが…」

 静香にそんな事をする奴がいたのかよ。
 許せねぇな…!
 和人も怒りで、より表情を歪ませていた。 やはり、和人もそいつを許せないんだろうな。

「担任の教師に相談したの?」

 そこに縁が柚希ちゃん達に聞いていた。 確かに担任なら…と。 しかし、返ってきた答えは最悪な内容だった。

「それが、事なかれ主義の人なので、対応してくれなかったのです」

「ハズレ担任かよ…!」

「二学期になってから、前の先生が産休に入った影響で担任が変わったんです。 ボク達も訴えましたが、聞く耳持ちませんでした」

 柚希ちゃんと轟姉妹による話は、静香にとって最悪な流れになっていたようだ。
 前の担任が産休に入った為に、代わりの教師が担任になったが、そいつは事なかれ主義のようで、静香が性的な 嫌がらせをされている事を報告しても、対応してくれなかったとか。
 だから、それをいい事に静香に対しエスカレートしていったのだろう。

「静香ちゃんが親父の車で送ったのなら、親父も知っているわけだな?」

「はい。 私が父様に伝えたので」

「俺達もすぐに行こう。 静香が心配だ」

「そうね。 今後の対策も考えないといけないし、最悪、登校拒否も視野に入れないと」

「そうだな。 静香ちゃんを守る為にも手段は選んでられないな」

「ボク達も手伝います」

「私達も静香ちゃんと友達なので、放って置けないですから」

 縁も裕也、そして轟姉妹も考えは同じようで、静香の登校拒否を視野に入れて俺達はすぐに用意された車に乗り、静香の元へ急いだ。

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