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幕間~その頃の楠家
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場所は楠家のとある部屋。
そこで、和人と柚希の父親である楠 裕翔と母の楠 要が、ある人物を迎え入れていた。
「父さん、久しぶり」
「お久しぶりです、お義父様」
「おお、久しぶりだな。 相変わらず忙しいようじゃが…」
「ああ、色々とあってね」
出迎えの相手は、裕翔の父…つまりは和人や柚希からしたら祖父にあたる楠グループの前会長の楠 光司だった。
家を息子夫婦に任せ、光司自身は山中にある私有地で隠居生活をしていた。
「それで、裕翔の部下の…御厨君だったか? 彼とその息子の真人君は元気かね?」
「お陰さまでね。 しかし、父さんが真人君を発見していたとはね。 電話がきたときは驚いたよ。 慌てて勇人を呼び戻す形になったし」
「当時の警察も当てにならなかったですし…」
「捨てたという証拠がないのをいいことにな。 全く、あの女は座間家の恥だな。 故に狡猾で厄介なのじゃが」
そう。
あの座間母娘が捨てた真人を発見したのは、光司だったのだ。
彼が日課の散歩の途中で、震える幼い真人を発見。 保護することにしたのだ。
そして、当時の真人の話を聞いて、警察に通報したものの既に証拠は隠滅させられ、子供の戯言として片付けられた。
当然ながら光司は激怒したが、あの母娘が去って光司が発見するまでの間の目撃証言が無かったことも痛手となった。
いわば、葛葉と香里はそれを狙って真人を捨てたので、証拠隠滅も容易かったのだろう。 それ程にまで狡猾なのだ。
「勇人はそれを理由に離婚して、座間家の当主も葛葉を絶縁したのだが、ここで葛葉が養子を得ていたというのを知ったからな」
「絶縁してもなお、あの女が座間を名乗る理由は? 聞いた話では絶縁時にその苗字を名乗るなと言われていましたよね」
「おそらく、座間家に対する復讐じゃろうな。 追い出すときに多額のお金も痕跡なく持っていかれたらしいからの。 それに座間を名乗り続ける事で座間家のブランドを低下させることも狙っておるな」
「自分の思うようにいかさなかった者への復讐ね…。 あまりにも幼稚すぎるな」
妻の要の疑問に対し、光司は葛葉が追放しても禁止されてるはずの『座間』を名乗っているのは、その名のイメージを低下させる狙いもあるのではと考えていた。
裕翔は、そんな葛葉の目的を幼稚と吐き捨てる。
「息子からの話では、最近の真人君が受けた嘘告白系もバックにあの母娘が絡んでると…」
「どこまでも真人君を殺したいのか…。 大した妄念じゃな」
そして、話は真人が受けたあの嘘告白系の話題になる。
初めて聞いた話に、光司はため息をつかざるおえなくなった。
「でも、彼には今は娘の柚希が支えてるよ」
「ほぉ、柚希ちゃんが…。 あの子もなかなかやるおるのぉ」
「何せ私達の娘ですから。 息子とは別の方向で優秀なんですよ」
真人が現在は柚希と付き合っていると聞いて、雰囲気が多少明るくなるが、すぐに気を引き締める。
「それを守るために俺達もそろそろ動いていこうと思う。 あの母娘は楠家を怒らせたのだから」
「で、どうするのじゃ?」
「義理の娘の香里と言う女が北海道から帰ってきた時が、仕掛け時だよ。 現行犯逮捕できるように仕込んでおくさ」
「なるほどのぉ。 ならわしも強力しようじゃないか」
「ええ、お願いしますわ。 私も彼を迎え入れてあげたいので…」
今後は、葛葉と香里を現行犯逮捕できるように仕込むことに決定し、それぞれが動くことになった。
葛葉と香里の破滅の時は、急速接近することになる…。
そこで、和人と柚希の父親である楠 裕翔と母の楠 要が、ある人物を迎え入れていた。
「父さん、久しぶり」
「お久しぶりです、お義父様」
「おお、久しぶりだな。 相変わらず忙しいようじゃが…」
「ああ、色々とあってね」
出迎えの相手は、裕翔の父…つまりは和人や柚希からしたら祖父にあたる楠グループの前会長の楠 光司だった。
家を息子夫婦に任せ、光司自身は山中にある私有地で隠居生活をしていた。
「それで、裕翔の部下の…御厨君だったか? 彼とその息子の真人君は元気かね?」
「お陰さまでね。 しかし、父さんが真人君を発見していたとはね。 電話がきたときは驚いたよ。 慌てて勇人を呼び戻す形になったし」
「当時の警察も当てにならなかったですし…」
「捨てたという証拠がないのをいいことにな。 全く、あの女は座間家の恥だな。 故に狡猾で厄介なのじゃが」
そう。
あの座間母娘が捨てた真人を発見したのは、光司だったのだ。
彼が日課の散歩の途中で、震える幼い真人を発見。 保護することにしたのだ。
そして、当時の真人の話を聞いて、警察に通報したものの既に証拠は隠滅させられ、子供の戯言として片付けられた。
当然ながら光司は激怒したが、あの母娘が去って光司が発見するまでの間の目撃証言が無かったことも痛手となった。
いわば、葛葉と香里はそれを狙って真人を捨てたので、証拠隠滅も容易かったのだろう。 それ程にまで狡猾なのだ。
「勇人はそれを理由に離婚して、座間家の当主も葛葉を絶縁したのだが、ここで葛葉が養子を得ていたというのを知ったからな」
「絶縁してもなお、あの女が座間を名乗る理由は? 聞いた話では絶縁時にその苗字を名乗るなと言われていましたよね」
「おそらく、座間家に対する復讐じゃろうな。 追い出すときに多額のお金も痕跡なく持っていかれたらしいからの。 それに座間を名乗り続ける事で座間家のブランドを低下させることも狙っておるな」
「自分の思うようにいかさなかった者への復讐ね…。 あまりにも幼稚すぎるな」
妻の要の疑問に対し、光司は葛葉が追放しても禁止されてるはずの『座間』を名乗っているのは、その名のイメージを低下させる狙いもあるのではと考えていた。
裕翔は、そんな葛葉の目的を幼稚と吐き捨てる。
「息子からの話では、最近の真人君が受けた嘘告白系もバックにあの母娘が絡んでると…」
「どこまでも真人君を殺したいのか…。 大した妄念じゃな」
そして、話は真人が受けたあの嘘告白系の話題になる。
初めて聞いた話に、光司はため息をつかざるおえなくなった。
「でも、彼には今は娘の柚希が支えてるよ」
「ほぉ、柚希ちゃんが…。 あの子もなかなかやるおるのぉ」
「何せ私達の娘ですから。 息子とは別の方向で優秀なんですよ」
真人が現在は柚希と付き合っていると聞いて、雰囲気が多少明るくなるが、すぐに気を引き締める。
「それを守るために俺達もそろそろ動いていこうと思う。 あの母娘は楠家を怒らせたのだから」
「で、どうするのじゃ?」
「義理の娘の香里と言う女が北海道から帰ってきた時が、仕掛け時だよ。 現行犯逮捕できるように仕込んでおくさ」
「なるほどのぉ。 ならわしも強力しようじゃないか」
「ええ、お願いしますわ。 私も彼を迎え入れてあげたいので…」
今後は、葛葉と香里を現行犯逮捕できるように仕込むことに決定し、それぞれが動くことになった。
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