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不安

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今までの優ならその後2回戦に入るのを見守るか、充分堪能し浸ってからゆっくりその場を辞するが、急に不安になり急ぎ足でその場を離れる。

優「このまま行くと次はヴェイル…」

これまで襲われた4人も親友と言える奴らではあるがヴェイルに関しては、産まれた病院も一緒で産まれた月も一緒、ついでにお隣さんと盛り沢山な幼なじみで特別仲が良くお互いが親の顔より見ててかつそんなに一緒にいるのが嫌じゃなくむしろいないと不安になるレベルの仲良しな2人だ。
それは他の4人からは当然学校の皆からも公認お墨付きを貰える程。

なかなかにひどい話だが、4人には衝撃を受けはしたが楽しんでいた優がここに来てヴェイルも誰かに取られると想像した瞬間嫌だと素直に感じた優は一目散にヴェイルの部屋に向かって迷わず荒々しくノックをする。

優「ヴェイル!!なぁ、いるか!?ヴェイルッ!!」

ドンドンドンと最早扉を殴りつけるような勢い、いや殴って中に問いかけるが、返事はない。
この部屋は完全防音だとバルクが言っていたような気がするがご飯に誘われたときは普通にノックが聞こえたことから恐らく中に聞こえていると推測出来るが一向に返事がない。
焦った優はなりふり構わず更に大声をあげ扉を叩く。

優「ヴェイル!!ヴェイルーっ!!返事してくれ!頼むっ!!」

もう既に誰かに連れていかれて襲われているのか、そんな悪い想像が優を襲う。
諦め悪く更に叩こうとしたその時

?「うるせぇぞ」

突然廊下から声が聞こえた。
振り向くとそこにはギルドマスターであるジオがこちらにゆったりと歩いて来ていた。
ジオは始めに会った時からデカイとは思っていたがその時は座っていたため全容は今見たが途轍もなくデカかった。
横にもそうだが身長は3mはあるのではと感じる程でそんなジオから威圧感たっぷりに見下ろされて、一瞬たじろいだ優だったが他でもないヴェイルの事だった為ジオに掴みかかりながら問いかける。

優「なぁ!ヴェイル!知らないか!?何回も部屋叩いたけど返事なくて!!」
ジオ「…」
優「黙ってないでヴェイルどこにいるか知ってるなら…」
ジオ「…黙れ」
優「…っ!」

一際低い声が響き思わず息を呑む。

ジオ「ギャーギャーうっせぇ…部屋入って寝ろや」

極道ヤクザマフィア…そんな言葉が頭をよぎるくらいその筋の人が発するセリフ、威圧感だった為勢いが無くなるがヴェイルがどうしても心配だった優が尚も恐々としながらも食い下がる。

優「で、でもヴェイル…俺の家族みたいな奴でどうしても心配なんだ。…うるさくしたのは謝ります…だから教えてください」
ジオ「…ハァッ」

重いため息がジオから漏れビクリと体を揺らす優だったがジオから逃げず返答を待つ。

ジオ「…明日になったら分かる…だからもう寝ろ」
優「明日…今日は会えないんですか?」
ジオ「あぁ」
優「…やっぱり一目見るだけでも…」
ジオ「くどいっ!」

そういうとジオは優の首をふん掴み優の部屋へと引っ張り投げ込むように部屋へと強引に入れる。
優は苦しみながら投げられしたたかに体を打ち呻き声をあげた。

優「い…っつぅ…!」
ジオ「部屋でじっとしてろ」

そういうとジオは扉をバンと音が鳴るくらい荒々しく扉を閉じた。
優は強引に話を終了されたので納得など出来ず扉に近づき扉を開けようとした…が、外からカギでもかけられているのかガチャガチャ無情に音が鳴るだけで一向に開かない。

優「なっ…カギ…!?おいっ!開けろよっ!おいっっ!!」

扉を叩きながら外に叫ぶが全く応答がない。

優「くそっ…なんだよ!明日って!頼む開けてくれ!!ヴェイルに会わせてくれ!なぁ!おいーっ!!」

無情に優の声と扉の音が鳴り響くがその日扉が開くことはなかった。

優は絶望に打ちひしがれドアに力無くしなだれかかる。

優「…ヴェイル…」


そうして優にとって最大の絶望の日がやって来る。
これまで優がしてきたことのバチがあたったかのように…


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