22 / 51
21話
しおりを挟む
カチャン……と小さく音を立てて、フォークは蒼の手から滑り落ちる。
「……嘘だろ……」
招待客たちのテーブルから少し離れた末席に座る蒼の呟きを拾う者はいない。
華やかなショーの行われているステージ。今日のステージは養父母の知り合いの旅一座が務めていると言う。玉乗りや手品、綱渡りといった見慣れたものからナイフ投げや猛獣の火の輪くぐりなどあまりみることのないものまで様々なショーが行われていた。その最後。大トリとも言える場面で出てきたのは、蒼が見知った顔だった。
すらりと伸びた手足は、かつて共に過ごしていた頃よりも成長していることを感じさせる。しかし、客席に向けられる楽しそうな笑みや翼があるかのような身のこなしは、蒼がよく知っているものだった。銀色の髪も黒い瞳も蒼にとっては懐かしい。
軽い足取りでステージに建てられた足場に登り、高い位置に吊られた持ち手に手をかけると、彼女……杳は勢いをつけて足場を蹴った。
わーー!!と歓声が響く。音楽に合わせて、杳は右に左にと移動したり、足を引っ掛けて宙吊りになったりする。そして、ふっと持ち手から手を離すと空中に身を躍らせる。きゃーー!という悲鳴とも歓声ともとれる声を浴びながら、杳は宙でくるりと回転して風のようにふわりとステージへと着地するのに合わせて、衣装の裾と美しい銀髪もふわりと広がる。
杳がにこりと微笑むと観客たちは立ち上がって大きな歓声と拍手を彼女へと送る。その歓声と拍手を受けて、杳は客席への各所へ向けて深くお辞儀をする。……と、一瞬動きを止めた杳は、目を細めると心から嬉しそうに微笑んだ。
変わらないな……
軽い身のこなしやその容姿だけでなく、彼女の内面を蒼が知っている杳のままのようだ。遠征から帰ってきたとき、仲間の姿を見つけると杳は目を細めて頬を少し紅潮させて本当に心から嬉しそうに微笑んだ。その笑みを蒼は忘れることはない。
杳の笑みにつられて蒼が小さく笑むと杳はニコリと笑みを変えて他の観客へと手を振り始めた。
変わらない……でも、こんなところで会うなんて……
それは、偶然かはたまた必然か。
何かを暗示するように、木々がざわりと風に揺れた。
ショーが終わると会場である庭では、来客たちとの歓談の時間となる。蒼も養父と共に各所へと挨拶をして回る。
「いやーー、こんな素晴らしい息子さんがいらっしゃるなんて。フュード財閥は今後も安泰ですな」
「ありがとうございます。まだまだ学生ですから……息子に継いでもらうまで、わたしもがんばりますよ」
振りまかれるおべっかに対して、いつものように笑顔と共に養父は言葉を返す。躊躇いもなく「息子」と言われることに、蒼はまだ慣れない。どこかくすぐったさを感じながら、蒼も養父に合わせて微笑む。
「悪いね、疲れただろう。部屋に戻っても大丈夫だよ」
ひとしきり挨拶を終えたところで、養父は蒼に向かって微笑んだ。会場は盛り上がっており、ステージでショーを行った演者たちも混ざって、まだまだこれから……といった雰囲気だ。
「帰ってきたばかりだし、今日は早めに休んだら?」
招待客への対応をしていた養母も蒼の側にやってきて微笑む。
疲れている自覚はない。けれど、二人がそう言うのならもしかしたら疲れが顔に出ているのかも知れない。
「じゃあお言葉に甘えて、部屋に戻ることにします」
「えぇえぇ、そうなさい」
「少し外が賑やかかもしれないけれど、ゆっくり休むんだよ」
二人に礼をして、蒼は室内へと戻る。大階段を上がり、長い廊下の突き当りに蒼の部屋はある。扉を押し、室内に入ると広い空間が広がる。大きな寝心地の良さそうな天蓋つきのベッドと洋服ダンス、窓の近くには机とクッションの効いた椅子が置かれ、それとは別に長椅子とテーブルのセットもある。部屋の隅には、この休暇に必要な荷物がいくつか積まれていた。
はぁ……
蒼は小さく息を吐いて、ジャケットを脱ぐと締めていたネクタイを少し緩めた。
窓から庭に目をやると、ステージの上ではまた何か催しが始まったようだった。アルコールも入って酔いも回り始めた客の中には、テーブルから離れてステージのすぐ側でかぶりつきで見ている者もいる。そこから少し離れた場所で、どこかの企業の重役だろうか……太鼓腹を抱えた男とロマンスグレイの髪をした年齢の割には背の高い紳士と話す養父の姿が見えた。鋭い光を放つ切れ長の瞳が、その手腕を伺わせる。
コンコン……
「どうぞ」
小さく響くノックの音に返事を返すと、すぐにドアが開き誰かが入ってくる気配がする。
蒼は外しかけた袖のカフスを止め直して、入ってきた人物の方へと向き直った。
「蒼くん久しぶりーー」
明るい声で言いながら、彼女……杳は蒼の前に立った。
肩先で揃えた銀色の髪と少し吊った黒い瞳。スラリと伸びる手足は、健康的な小麦色をいている。
「杳……」
「『どうしてここに?』って聞かないの?」
杳は少しいたずらっぽく笑みを浮かべて言う。
「仕事だろ?さっきステージに上がってるところ見てた」
「見てくれたんだ♪嬉しいな~。どうだった?どうだった?」
ニコニコと嬉しそうに笑いながら、杳はズンズンと蒼の方に迫ってくる。
「……どうもこうも……杳ならあれくらいできて当然だ」
迫ってくる杳に気圧されながら蒼は答えた。
高い位置にあるブランコにぶら下がることくらい杳ならできる。もちろん、隣のブランコに飛び移ることだってできるし、そこから怪我をすることなく着地することももっと高いところへ飛び移ることもできるだろう。……というか、杳でなく蒼もできる。もっと言えば、火群の隊員ならできる。できるように訓練を受けてきた。
「あはは♪蒼くんならそう言うと思ったのーー」
楽しそうに笑う杳を見て、蒼は肩の力が少し抜けるのを感じる。
緊張していたつもりはないし、緊張をする必要もない。自宅でのパーティーだ。帰ってきたばかりの蒼を養父母も気遣ってくれていた。それでも、少し方に力が入っていたのかもしれない。
ふっと息を吐いて、蒼は視線を杳へと戻した。
「……で?」
「……で?」
蒼の言葉を繰り返して、杳は首を傾げる。
「何か用があるからここに来たんだろ?」
『ここ』が指すのは人気のない蒼の部屋のことだ。旅一座の仕事でこの家に来たのだろうけれど、この部屋に来たからには何か蒼に言いたいことがあるのだろう。でなければきっと杳は、たとえ旧知の仲の蒼の家に仕事できたとしても、この部屋に上がってくるとは思えない。お互いに連絡先を告げずに別れた。またいつか、皆揃って会えるまで。『そのとき』が来れば、わかる。『そのとき』でないならば、どこかで見かけても決して話しかけることはしない。そういう線引をきちんとできるのが杳だ。
「……そうね」
杳の返事はどこか歯切れが悪い。
「……巴か?」
蒼の声に杳はぴくっと肩を震わせる。
かつて蒼のいた火群のリーダーである巴と杳は、メンバーの中でも珍しい『夢渡』をすることができる。特別な能力を持つ集団である火群の中でもさらに特殊な能力で、それは持って生まれた才能の為せる技だという。
「蒼くんは……今、幸せ?」
絞り出すような声音で、少し困ったように眉を寄せて、どこか不安そうに瞳を揺らしながら杳は問う。
『幸せか』と聞かれると、蒼はいつも返答に困ってしまう。火群を離れたのが十二にの頃。ほとんど着の身着のままのよな状態だった自分を引き取ってくれたのが養父母だった。養父母の家に来ることができ、二人に愛され、学校に通わせてもらっているのは蒼にとって幸運なことだろう。
でも、蒼には『幸せ』が何なのかがわからない。楽しいとか嬉しいとかそういう感情を感じることはできる。ただ、『幸せか』と問われると、どこか心の奥底にぽっかりと空いた穴に冷たい風が吹き込むような思いに駆られる。何かが足りない。その『何か』はわかっていても今は手にすることができない。
難しい質問だったかな……
黙りこくってしまった蒼を見て、杳は眉根をさらに寄せる。
わかりきった質問だったかもしれない。今の蒼には、とても大切で重要なピースが足りない。それが何かも杳は知っている。それでも、蒼が『幸せだ』と答えるのであれば、杳は続きを話すのをやめたかもしれない。
「巴くんがね、手伝ってほしいんだって」
窓から差し込む月の光が、二人の横顔を照らす。その横顔は、まるで鏡のようによく似ていた。
「……嘘だろ……」
招待客たちのテーブルから少し離れた末席に座る蒼の呟きを拾う者はいない。
華やかなショーの行われているステージ。今日のステージは養父母の知り合いの旅一座が務めていると言う。玉乗りや手品、綱渡りといった見慣れたものからナイフ投げや猛獣の火の輪くぐりなどあまりみることのないものまで様々なショーが行われていた。その最後。大トリとも言える場面で出てきたのは、蒼が見知った顔だった。
すらりと伸びた手足は、かつて共に過ごしていた頃よりも成長していることを感じさせる。しかし、客席に向けられる楽しそうな笑みや翼があるかのような身のこなしは、蒼がよく知っているものだった。銀色の髪も黒い瞳も蒼にとっては懐かしい。
軽い足取りでステージに建てられた足場に登り、高い位置に吊られた持ち手に手をかけると、彼女……杳は勢いをつけて足場を蹴った。
わーー!!と歓声が響く。音楽に合わせて、杳は右に左にと移動したり、足を引っ掛けて宙吊りになったりする。そして、ふっと持ち手から手を離すと空中に身を躍らせる。きゃーー!という悲鳴とも歓声ともとれる声を浴びながら、杳は宙でくるりと回転して風のようにふわりとステージへと着地するのに合わせて、衣装の裾と美しい銀髪もふわりと広がる。
杳がにこりと微笑むと観客たちは立ち上がって大きな歓声と拍手を彼女へと送る。その歓声と拍手を受けて、杳は客席への各所へ向けて深くお辞儀をする。……と、一瞬動きを止めた杳は、目を細めると心から嬉しそうに微笑んだ。
変わらないな……
軽い身のこなしやその容姿だけでなく、彼女の内面を蒼が知っている杳のままのようだ。遠征から帰ってきたとき、仲間の姿を見つけると杳は目を細めて頬を少し紅潮させて本当に心から嬉しそうに微笑んだ。その笑みを蒼は忘れることはない。
杳の笑みにつられて蒼が小さく笑むと杳はニコリと笑みを変えて他の観客へと手を振り始めた。
変わらない……でも、こんなところで会うなんて……
それは、偶然かはたまた必然か。
何かを暗示するように、木々がざわりと風に揺れた。
ショーが終わると会場である庭では、来客たちとの歓談の時間となる。蒼も養父と共に各所へと挨拶をして回る。
「いやーー、こんな素晴らしい息子さんがいらっしゃるなんて。フュード財閥は今後も安泰ですな」
「ありがとうございます。まだまだ学生ですから……息子に継いでもらうまで、わたしもがんばりますよ」
振りまかれるおべっかに対して、いつものように笑顔と共に養父は言葉を返す。躊躇いもなく「息子」と言われることに、蒼はまだ慣れない。どこかくすぐったさを感じながら、蒼も養父に合わせて微笑む。
「悪いね、疲れただろう。部屋に戻っても大丈夫だよ」
ひとしきり挨拶を終えたところで、養父は蒼に向かって微笑んだ。会場は盛り上がっており、ステージでショーを行った演者たちも混ざって、まだまだこれから……といった雰囲気だ。
「帰ってきたばかりだし、今日は早めに休んだら?」
招待客への対応をしていた養母も蒼の側にやってきて微笑む。
疲れている自覚はない。けれど、二人がそう言うのならもしかしたら疲れが顔に出ているのかも知れない。
「じゃあお言葉に甘えて、部屋に戻ることにします」
「えぇえぇ、そうなさい」
「少し外が賑やかかもしれないけれど、ゆっくり休むんだよ」
二人に礼をして、蒼は室内へと戻る。大階段を上がり、長い廊下の突き当りに蒼の部屋はある。扉を押し、室内に入ると広い空間が広がる。大きな寝心地の良さそうな天蓋つきのベッドと洋服ダンス、窓の近くには机とクッションの効いた椅子が置かれ、それとは別に長椅子とテーブルのセットもある。部屋の隅には、この休暇に必要な荷物がいくつか積まれていた。
はぁ……
蒼は小さく息を吐いて、ジャケットを脱ぐと締めていたネクタイを少し緩めた。
窓から庭に目をやると、ステージの上ではまた何か催しが始まったようだった。アルコールも入って酔いも回り始めた客の中には、テーブルから離れてステージのすぐ側でかぶりつきで見ている者もいる。そこから少し離れた場所で、どこかの企業の重役だろうか……太鼓腹を抱えた男とロマンスグレイの髪をした年齢の割には背の高い紳士と話す養父の姿が見えた。鋭い光を放つ切れ長の瞳が、その手腕を伺わせる。
コンコン……
「どうぞ」
小さく響くノックの音に返事を返すと、すぐにドアが開き誰かが入ってくる気配がする。
蒼は外しかけた袖のカフスを止め直して、入ってきた人物の方へと向き直った。
「蒼くん久しぶりーー」
明るい声で言いながら、彼女……杳は蒼の前に立った。
肩先で揃えた銀色の髪と少し吊った黒い瞳。スラリと伸びる手足は、健康的な小麦色をいている。
「杳……」
「『どうしてここに?』って聞かないの?」
杳は少しいたずらっぽく笑みを浮かべて言う。
「仕事だろ?さっきステージに上がってるところ見てた」
「見てくれたんだ♪嬉しいな~。どうだった?どうだった?」
ニコニコと嬉しそうに笑いながら、杳はズンズンと蒼の方に迫ってくる。
「……どうもこうも……杳ならあれくらいできて当然だ」
迫ってくる杳に気圧されながら蒼は答えた。
高い位置にあるブランコにぶら下がることくらい杳ならできる。もちろん、隣のブランコに飛び移ることだってできるし、そこから怪我をすることなく着地することももっと高いところへ飛び移ることもできるだろう。……というか、杳でなく蒼もできる。もっと言えば、火群の隊員ならできる。できるように訓練を受けてきた。
「あはは♪蒼くんならそう言うと思ったのーー」
楽しそうに笑う杳を見て、蒼は肩の力が少し抜けるのを感じる。
緊張していたつもりはないし、緊張をする必要もない。自宅でのパーティーだ。帰ってきたばかりの蒼を養父母も気遣ってくれていた。それでも、少し方に力が入っていたのかもしれない。
ふっと息を吐いて、蒼は視線を杳へと戻した。
「……で?」
「……で?」
蒼の言葉を繰り返して、杳は首を傾げる。
「何か用があるからここに来たんだろ?」
『ここ』が指すのは人気のない蒼の部屋のことだ。旅一座の仕事でこの家に来たのだろうけれど、この部屋に来たからには何か蒼に言いたいことがあるのだろう。でなければきっと杳は、たとえ旧知の仲の蒼の家に仕事できたとしても、この部屋に上がってくるとは思えない。お互いに連絡先を告げずに別れた。またいつか、皆揃って会えるまで。『そのとき』が来れば、わかる。『そのとき』でないならば、どこかで見かけても決して話しかけることはしない。そういう線引をきちんとできるのが杳だ。
「……そうね」
杳の返事はどこか歯切れが悪い。
「……巴か?」
蒼の声に杳はぴくっと肩を震わせる。
かつて蒼のいた火群のリーダーである巴と杳は、メンバーの中でも珍しい『夢渡』をすることができる。特別な能力を持つ集団である火群の中でもさらに特殊な能力で、それは持って生まれた才能の為せる技だという。
「蒼くんは……今、幸せ?」
絞り出すような声音で、少し困ったように眉を寄せて、どこか不安そうに瞳を揺らしながら杳は問う。
『幸せか』と聞かれると、蒼はいつも返答に困ってしまう。火群を離れたのが十二にの頃。ほとんど着の身着のままのよな状態だった自分を引き取ってくれたのが養父母だった。養父母の家に来ることができ、二人に愛され、学校に通わせてもらっているのは蒼にとって幸運なことだろう。
でも、蒼には『幸せ』が何なのかがわからない。楽しいとか嬉しいとかそういう感情を感じることはできる。ただ、『幸せか』と問われると、どこか心の奥底にぽっかりと空いた穴に冷たい風が吹き込むような思いに駆られる。何かが足りない。その『何か』はわかっていても今は手にすることができない。
難しい質問だったかな……
黙りこくってしまった蒼を見て、杳は眉根をさらに寄せる。
わかりきった質問だったかもしれない。今の蒼には、とても大切で重要なピースが足りない。それが何かも杳は知っている。それでも、蒼が『幸せだ』と答えるのであれば、杳は続きを話すのをやめたかもしれない。
「巴くんがね、手伝ってほしいんだって」
窓から差し込む月の光が、二人の横顔を照らす。その横顔は、まるで鏡のようによく似ていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる