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第四部 ダンジョンマスター 後編

死霊王の軌跡

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 死霊王――――哀川 愛理は、ぎらついた目を見せていた。

「やっと、やっと完成したわよ!」

「そうですね、ようやくです」

 彼女と側に使える執事は、目の前に広がる死者の軍勢、おおよそ一万を見て満足していた。

「情報だと、群衆王がすごい多いらしいけど、こっちは倒した分だけ味方になるからね」

「そうだね。愛理、良くここまで来たと思うよ」

 そう言って隣に歩いてきたのは金髪の男性。
 細身で、イケメン。そう、彼は一度死んで、そして愛理によって蘇った、死者である。

「私の死霊術もそうだし、配下の死霊術もレベルが上がったし、どこかに攻め込んでもいいかも。創造王ほど相性が悪い敵もいないから、早めにパーッと仲間増やしたいし」

 彼女はそう考察していた。そして考察は間違ってはいなかった。
 創造王は基本ゴーレムしか出てこない。ので、そもそも死ぬもくそもない。死霊術で味方になることはないのに、敵の生産力の高さからほぼ無尽蔵に攻めてくる。
 だから倒す集団を作ろうと思ったけど、それもやめた。

「統一すると効果が強くなるって、アンデッドやめろってことでしょ? それはできないわよね......」

 ぼそり、呟く。
 彼女の中では、隣にいるイケメンを手放すという選択肢はみじんもなかった。しかし、アンデッド戦法を使うならば創造王に勝てないのは自明の理。

「よし、行くわよ!」

「お嬢さま、どこへ!」

 執事が慌てて止める。今の私にはこの場所とイケメンと執事がいてくれるだけでいい。
 そして、それを害するやつは皆――――敵だ。

「行くわよ、どれでもいい、王を倒しに」

 そう強く、宣言した。
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