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第三部 ダンジョンマスター 中編
深海少年 二匹目
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数日後。
「ねぇ、ちょっと、本当にやるの?」
「あぁ、本当にだ」
俺はピクシーとともにダンジョンの外へと散歩をしに行くことに決めた。
「確かにここに逃げ込めたのは私の加護があったからだとはいえ、危険な外にわざわざ行くことなんて......」
「ポイントがなかったらどっちみち死ぬだろうし、今のうちに打てる手は打っておきたい」
「もう、分かったわよ、一番近い陸でいいわね!」
「あぁ、それで構わない」
俺はあるものを握りしめ、ダンジョンの外、深海を抜けて地上、陸を目指す。
「たぶんここから陸までは一時間もかからないわ。ほとんど上昇だから地下でよければ十分程度よ」
「まぁ、地上に出してくれ」
「わかったわよ、それにしてもピクシーをこんな用途に使うなんてあなただけじゃないかしら」
「そんなことはないさ、きっとほかのダンジョンマスターも中々に発想が面白いと思うよ」
実際、ダンジョンマスターとして呼び出された人たちはポイントをやりくりできる計算能力、奇抜でなくても良いから防衛のため策を講じることが出来る人、そして厳しい環境下で非情になれるというものを持ち合わせている人が多かった。
実際はほとんどがある一人の男の気まぐれなのだが、結果的に成功しているので良しとしている二人がいるのだが、そんなことはだれも知らない。
「そうね、きっと私たちが地上に進出したころには生き残っているのは奇抜な人たちだけよ」
「え、それはどうして?」
「普通のダンジョンじゃあ勇者がすぐに攻略するでしょうから」
「え、勇者?」
「あら、言ってなかったっけ」
「初耳だよ!!」
初耳の危険因子に驚くが、それにしても勇者とは、なんともテンプレだな......
「その能力から、出会ったら諦めるのが一番良いってよく言われてるのよ」
「それ何もよくないと思うんだが......」
話を聞いていく。確かに勇者は出会ったら無駄な希望を持たないほうが良いかもしれない。
いくつもの特殊スキルを所持し、そのうえバランスが良く、特にダンジョン攻略に特化している能力分配なんて、正直意図的に作られた天敵感がある。まぁ、流石に勇者が深海のダンジョンを発見して、それをわざわざ潜って攻略しに来るだなんて......これ以上はフラグだからやめておこう。
ともあれ、勇者という存在はそれだけ俺たちダンジョンマスターにとって害であり、同時に人間にとっては希望の光なのだとか。
「勇者の対策法なんて、それこそこれなんじゃないかな」
「これ? これってどれよ」
「今からしようとしていること」
「何よ、気になるじゃない、あ、ほら、地上だから早く教えて!」
「はいはい」
急かすピクシーだが、俺は特にこれと言って細かい、ルールの穴を突くようなことはしない。
ただ、俺はポイントに困りたくないだけだ。
「それじゃ、ここにするか」
降り立った土地、そこは白い砂が輝く砂浜だった。
サンゴのような大きなものではなく、ただ単純にさらさらとした砂が広がっているだけだが、それだけなのになぜか心地よい。
「それで、これをっと」
「まさか、それは......ダンジョンコア!?」
そう、ダンジョンコアだ。深海にあるものを持ってきたわけではなく、二つ目を購入したのだ。
これを地上に置いて......
「塔型ダンジョン作成っと」
その瞬間、小さな塔が現れる。やっと魔法的要素を確認できたのでうれしみがある。
「さて、これで旅行が楽になる」
そこに転移ゲートを設置した俺は一人、これから始まる旅行計画に胸をうずうずさせた。
――――これが後に世界を埋め尽くすほどのダンジョン領域を獲得し、それを手足のように上手く戦術に取り入れる『触手王』の始まりだった。
――――が、その先を記すには、どうやら時間が足りないようだ。
「ねぇ、ちょっと、本当にやるの?」
「あぁ、本当にだ」
俺はピクシーとともにダンジョンの外へと散歩をしに行くことに決めた。
「確かにここに逃げ込めたのは私の加護があったからだとはいえ、危険な外にわざわざ行くことなんて......」
「ポイントがなかったらどっちみち死ぬだろうし、今のうちに打てる手は打っておきたい」
「もう、分かったわよ、一番近い陸でいいわね!」
「あぁ、それで構わない」
俺はあるものを握りしめ、ダンジョンの外、深海を抜けて地上、陸を目指す。
「たぶんここから陸までは一時間もかからないわ。ほとんど上昇だから地下でよければ十分程度よ」
「まぁ、地上に出してくれ」
「わかったわよ、それにしてもピクシーをこんな用途に使うなんてあなただけじゃないかしら」
「そんなことはないさ、きっとほかのダンジョンマスターも中々に発想が面白いと思うよ」
実際、ダンジョンマスターとして呼び出された人たちはポイントをやりくりできる計算能力、奇抜でなくても良いから防衛のため策を講じることが出来る人、そして厳しい環境下で非情になれるというものを持ち合わせている人が多かった。
実際はほとんどがある一人の男の気まぐれなのだが、結果的に成功しているので良しとしている二人がいるのだが、そんなことはだれも知らない。
「そうね、きっと私たちが地上に進出したころには生き残っているのは奇抜な人たちだけよ」
「え、それはどうして?」
「普通のダンジョンじゃあ勇者がすぐに攻略するでしょうから」
「え、勇者?」
「あら、言ってなかったっけ」
「初耳だよ!!」
初耳の危険因子に驚くが、それにしても勇者とは、なんともテンプレだな......
「その能力から、出会ったら諦めるのが一番良いってよく言われてるのよ」
「それ何もよくないと思うんだが......」
話を聞いていく。確かに勇者は出会ったら無駄な希望を持たないほうが良いかもしれない。
いくつもの特殊スキルを所持し、そのうえバランスが良く、特にダンジョン攻略に特化している能力分配なんて、正直意図的に作られた天敵感がある。まぁ、流石に勇者が深海のダンジョンを発見して、それをわざわざ潜って攻略しに来るだなんて......これ以上はフラグだからやめておこう。
ともあれ、勇者という存在はそれだけ俺たちダンジョンマスターにとって害であり、同時に人間にとっては希望の光なのだとか。
「勇者の対策法なんて、それこそこれなんじゃないかな」
「これ? これってどれよ」
「今からしようとしていること」
「何よ、気になるじゃない、あ、ほら、地上だから早く教えて!」
「はいはい」
急かすピクシーだが、俺は特にこれと言って細かい、ルールの穴を突くようなことはしない。
ただ、俺はポイントに困りたくないだけだ。
「それじゃ、ここにするか」
降り立った土地、そこは白い砂が輝く砂浜だった。
サンゴのような大きなものではなく、ただ単純にさらさらとした砂が広がっているだけだが、それだけなのになぜか心地よい。
「それで、これをっと」
「まさか、それは......ダンジョンコア!?」
そう、ダンジョンコアだ。深海にあるものを持ってきたわけではなく、二つ目を購入したのだ。
これを地上に置いて......
「塔型ダンジョン作成っと」
その瞬間、小さな塔が現れる。やっと魔法的要素を確認できたのでうれしみがある。
「さて、これで旅行が楽になる」
そこに転移ゲートを設置した俺は一人、これから始まる旅行計画に胸をうずうずさせた。
――――これが後に世界を埋め尽くすほどのダンジョン領域を獲得し、それを手足のように上手く戦術に取り入れる『触手王』の始まりだった。
――――が、その先を記すには、どうやら時間が足りないようだ。
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