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第零章 序章
0-2 神様
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「さて、君は......この状況を一番理解しているようだ」
「......現実に起きるとは思っていなかったですけれど」
あたりを見回す。あたり一面真っ白で、どこから地面でどこから空なのかはわからない。が、不思議と落ち着いている。
目の前には白い服を着た女性が。ショートの青い髪が特徴的なその女性は少し俺の周りを歩いた後、ひょこ、とまた目の前に現れた。
「君、気に入った! 少し話をしようじゃないか!」
少し話を、と言われたからには質問を飛ばしてみよう。
「あなた、女神とかそう言った高次元の存在ということで間違いはないですか」
「最初から色気のない質問を......あぁ、そうだ。一応異世界で女神、やらせてもらっているよ」
あっさりとその言葉を肯定する目の前の女性。
それにしても、異世界、という言葉までこのタイミングで聞けるとは思っていなかった。
「剣と魔法の、スキル有りの西洋風ファンタジー世界?」
「その通り。理解が早くて助かるよ」
そこまで、完全にテンプレをなぞっているようだった。
確かに、これだけの情報を伝えるのにも時間がかかるし、俺が選ばれたのにも納得といえば納得だった。
「それで、女神さまは一番理解している俺を呼び出して......どうしたいんですか?」
率直な疑問をぶつける。
異世界に呼び出されるときは、女神と会える場合と会えない場合があるだろう。なんで会えたか、というのはやはり疑問に思って当然だろう。
その考えを理解した女神は質問に対する答えを口にした。
「そうだねぇ......ま、最悪の事態を回避するため、かな」
「最悪の事態?」
急に文章の中に、彼女が理解していて俺が理解していない固有名詞が出てきた。
それについて説明を、と思ったが、女神はそれをわかってか、言葉を続けた。
「まぁ、それはいつかわかるよ。君がその最悪の事態を回避することが出来る可能性が一番高かった。それだけ」
そう、淡々と告げる。
最悪の事態を説明している時間はないのか、説明することが出来ないのか。明言こそしていないが、正直それはどっちでもよかった。
「それでは、元の世界に戻ることはできますか」
「できるよ。条件を満たしていれば」
「条件?」
「そうだ。元の世界に戻るための必須条件は――――三年後、最悪の事態を回避したうえで、クラスメイト全員の生存だ」
必須、という何やら不穏なワードが飛び出してきたが、これも最悪の事態同様、教えてはもらえないのだろう。
「無論、そのための力は私が与えよう。最悪の事態は、なんとしても回避しなければならない。
最悪の事態。それが何を指し示すのかはやはりわからない。が、力が別でさらにもらえるというなら賛同する以外の選択肢は俺にはなかった。
「それじゃ、頼んだよ――――」
意識がどんどん薄れていく。
「あ――うだ――――」
声が遠くから聞こえる。
女神が手を口に当てているのが見える。
何かを伝え忘れたのだろうか。今後会えないのだとしたらとてつもなく面倒なんだが......
俺は耳を澄ませる。遠くなっていく女神の声に、前意識を研ぎ澄ませて――――
「スキル――すぐに使――――」
わずかに聞こえた声。
スキル――――使え? 使うな? そこが聞き取れなかったが......ともあれ、スキルが与えられていることは理解した。
異世界についたら、すぐに確認しよう。
そう考えたところで、ふっ、と視界が真っ黒に染まった。
「......現実に起きるとは思っていなかったですけれど」
あたりを見回す。あたり一面真っ白で、どこから地面でどこから空なのかはわからない。が、不思議と落ち着いている。
目の前には白い服を着た女性が。ショートの青い髪が特徴的なその女性は少し俺の周りを歩いた後、ひょこ、とまた目の前に現れた。
「君、気に入った! 少し話をしようじゃないか!」
少し話を、と言われたからには質問を飛ばしてみよう。
「あなた、女神とかそう言った高次元の存在ということで間違いはないですか」
「最初から色気のない質問を......あぁ、そうだ。一応異世界で女神、やらせてもらっているよ」
あっさりとその言葉を肯定する目の前の女性。
それにしても、異世界、という言葉までこのタイミングで聞けるとは思っていなかった。
「剣と魔法の、スキル有りの西洋風ファンタジー世界?」
「その通り。理解が早くて助かるよ」
そこまで、完全にテンプレをなぞっているようだった。
確かに、これだけの情報を伝えるのにも時間がかかるし、俺が選ばれたのにも納得といえば納得だった。
「それで、女神さまは一番理解している俺を呼び出して......どうしたいんですか?」
率直な疑問をぶつける。
異世界に呼び出されるときは、女神と会える場合と会えない場合があるだろう。なんで会えたか、というのはやはり疑問に思って当然だろう。
その考えを理解した女神は質問に対する答えを口にした。
「そうだねぇ......ま、最悪の事態を回避するため、かな」
「最悪の事態?」
急に文章の中に、彼女が理解していて俺が理解していない固有名詞が出てきた。
それについて説明を、と思ったが、女神はそれをわかってか、言葉を続けた。
「まぁ、それはいつかわかるよ。君がその最悪の事態を回避することが出来る可能性が一番高かった。それだけ」
そう、淡々と告げる。
最悪の事態を説明している時間はないのか、説明することが出来ないのか。明言こそしていないが、正直それはどっちでもよかった。
「それでは、元の世界に戻ることはできますか」
「できるよ。条件を満たしていれば」
「条件?」
「そうだ。元の世界に戻るための必須条件は――――三年後、最悪の事態を回避したうえで、クラスメイト全員の生存だ」
必須、という何やら不穏なワードが飛び出してきたが、これも最悪の事態同様、教えてはもらえないのだろう。
「無論、そのための力は私が与えよう。最悪の事態は、なんとしても回避しなければならない。
最悪の事態。それが何を指し示すのかはやはりわからない。が、力が別でさらにもらえるというなら賛同する以外の選択肢は俺にはなかった。
「それじゃ、頼んだよ――――」
意識がどんどん薄れていく。
「あ――うだ――――」
声が遠くから聞こえる。
女神が手を口に当てているのが見える。
何かを伝え忘れたのだろうか。今後会えないのだとしたらとてつもなく面倒なんだが......
俺は耳を澄ませる。遠くなっていく女神の声に、前意識を研ぎ澄ませて――――
「スキル――すぐに使――――」
わずかに聞こえた声。
スキル――――使え? 使うな? そこが聞き取れなかったが......ともあれ、スキルが与えられていることは理解した。
異世界についたら、すぐに確認しよう。
そう考えたところで、ふっ、と視界が真っ黒に染まった。
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