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七章 試練
またも星王
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「ねぇ、今日は行かないって約束したからと言って日付変わってから行く馬鹿がいる?」
「申し訳ありません」
現在俺は正座させられている。理由はお察しの通りだ。
「しかも今何時だと思ってるのよ! 一日フリーでお話しし放題だと思ったのに......」
最後のほうまで聞こえてしまって照れくさくなるが、それを顔に出すと紗耶香の怒りというかツンデレのツンというか、その表情が飛び出してくるので口には出さない。
「わかった? もう危険なことはしないこと! 迷宮潜ったらだめよ。わかったわね?」
「わか.....りません!」
あぶねぇ、危うく誘導されて約束を取り付けられるところだった。
「そんなに元気なら明日学校に行けるわね。退院の準備しなさい」
「そ、そんなぁ」
まぁ、どーせもう残すは金曜日だけだ。一日だけなら問題も起きないだろう。
これがフラグだったかのように、翌日、見慣れたメールが届くのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
藍染 拓海 様
新たな十二星が誕生しました。
よって星王会議を行います。
もし参加される場合は、金曜8:00に顔を隠すものなどをご着用の上、下記の場所に止まっている車へとコードネーム 双子座 と名乗ってください。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
うっわ、フラグしかもドンピシャで被って来やがった。これは......双子座に任せるか。もちろん学校のほうを。
記憶の共有は一応できないことはないが、起きているときに行うと情報過多で脳がいかれる。なので寝ている間に一緒にしてしまうのだ。が、本体側が寝ないと分体側の情報をもらえないので、至急の案件などを共有することができないのだ。
なので、あっちにできなくて俺にはできる呼び出し機能を用いて、最悪の場合は対応する。
別に分体が学校行ったってばれやしないだろう。
俺は心の中で紗耶香に謝りつつも、明日の星王会議に向けて装備を整えると、いつもより早めに床についた。
翌日。少し早めに起きた俺は、双子座を呼ぶとそれぞれの行動を開始した。
俺はさっさと飯を食って、装備をつけていつも......とはいっても、二回目なのだが、以前車に乗った場所へと向かう。
その間、双子座は制服に着替えて、学校へ向かう支度をしていた。
何もないことを祈り、以前と同じように車に乗った。
何もすることがなく、これ以上にないくらいに暇だったが、無事到着した。
前と同じ会議場だが、前回と違うのは、俺が到着した順番が最後ではなかったところだろう。
爺さんに案内されるがまま、俺は双子の天使が描かれた扉をくぐった。
中にほとんど何もない空間。あるのは小さな机とソファだけである。
仕方がないので俺はそこに腰かけ、最近溜まり気味だった小説の消化を始めた。一昔前までは異世界ファンタジーとかが主流だったのだが、最近は現代の学園ラブコメが注目を集めている。というのも、肝心の現代がこのファンタジーっぷりなので異世界ファンタジーの人気が薄れてしまった、というだけだ。昔から根強いファンを獲得していた作品が生き残り、最近出てきたような新タイトルは消えてしまったのが少し悲しく感じる。そういえば、VRゲームとかも人気だっけか......
携帯を開き、ブックマーク欄からお気に入りの作品の最新話までを読み終えて、新しい作品発掘へと向かう。
何個かブックマークをしたところで、メールが送られてきた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
拓海くん、おめでとう。
やっとあなたも到達者へと至ったのね。一応あなたに確認してきたわ。
本体の貴方はどこにいるのかしら?
それは置いときまして、到達者たちの集まりが月一度あるから、ぜひ来て頂戴。明日の九時、駅前の喫茶店集合よ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「マジかよ......」
会長からだった。やはり会長も到達者だったらしい。俺は鑑定を持たないためにそれに気が付けなかったが、一度見せてもらったステータスはその印象を確立するためだったのだろうか。それだったらなかなかの策士だ。
しっかし、到達者まで会議とは。星王会議を見ていると何を話すのか結構疑問ばかりなのだが......
まぁ、いいだろう。
と、そのときノックの音が聞こえた。
「どうぞ」
「失礼します、会議を始めますので、準備をお願いします」
「わかりました」
『のうのう、今日は戦うのかの?』
「今日はないだろう」
推測を口にする。確か前回魚座に勝って、序列があいつよりも上になったはずだ。それで新入社員は序列が一番低いやつと戦うから、俺は戦闘なし。
『そうか.....』
どこか残念そうだ。
『実は今日、神殺しの弾丸の詠唱を教えようと思っていたのじゃが......時間もなさそうだし、肝心の弾丸もないし、できそうにないの!』
ちょっと待て。
神殺しの弾丸に詠唱がいるってことが初耳な気がするんだが。
『言っておらんかったかの。まぁまぁ長いから覚悟するのじゃ。撃つ機会がないに越したことはないのじゃが、撃てないのと撃たないのではわけがちがうでの。また時間があるときにでもするのじゃ』
「そうだな」
俺は魔銃を直し、装備を整えると、会議場へと向かった。
「申し訳ありません」
現在俺は正座させられている。理由はお察しの通りだ。
「しかも今何時だと思ってるのよ! 一日フリーでお話しし放題だと思ったのに......」
最後のほうまで聞こえてしまって照れくさくなるが、それを顔に出すと紗耶香の怒りというかツンデレのツンというか、その表情が飛び出してくるので口には出さない。
「わかった? もう危険なことはしないこと! 迷宮潜ったらだめよ。わかったわね?」
「わか.....りません!」
あぶねぇ、危うく誘導されて約束を取り付けられるところだった。
「そんなに元気なら明日学校に行けるわね。退院の準備しなさい」
「そ、そんなぁ」
まぁ、どーせもう残すは金曜日だけだ。一日だけなら問題も起きないだろう。
これがフラグだったかのように、翌日、見慣れたメールが届くのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
藍染 拓海 様
新たな十二星が誕生しました。
よって星王会議を行います。
もし参加される場合は、金曜8:00に顔を隠すものなどをご着用の上、下記の場所に止まっている車へとコードネーム 双子座 と名乗ってください。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
うっわ、フラグしかもドンピシャで被って来やがった。これは......双子座に任せるか。もちろん学校のほうを。
記憶の共有は一応できないことはないが、起きているときに行うと情報過多で脳がいかれる。なので寝ている間に一緒にしてしまうのだ。が、本体側が寝ないと分体側の情報をもらえないので、至急の案件などを共有することができないのだ。
なので、あっちにできなくて俺にはできる呼び出し機能を用いて、最悪の場合は対応する。
別に分体が学校行ったってばれやしないだろう。
俺は心の中で紗耶香に謝りつつも、明日の星王会議に向けて装備を整えると、いつもより早めに床についた。
翌日。少し早めに起きた俺は、双子座を呼ぶとそれぞれの行動を開始した。
俺はさっさと飯を食って、装備をつけていつも......とはいっても、二回目なのだが、以前車に乗った場所へと向かう。
その間、双子座は制服に着替えて、学校へ向かう支度をしていた。
何もないことを祈り、以前と同じように車に乗った。
何もすることがなく、これ以上にないくらいに暇だったが、無事到着した。
前と同じ会議場だが、前回と違うのは、俺が到着した順番が最後ではなかったところだろう。
爺さんに案内されるがまま、俺は双子の天使が描かれた扉をくぐった。
中にほとんど何もない空間。あるのは小さな机とソファだけである。
仕方がないので俺はそこに腰かけ、最近溜まり気味だった小説の消化を始めた。一昔前までは異世界ファンタジーとかが主流だったのだが、最近は現代の学園ラブコメが注目を集めている。というのも、肝心の現代がこのファンタジーっぷりなので異世界ファンタジーの人気が薄れてしまった、というだけだ。昔から根強いファンを獲得していた作品が生き残り、最近出てきたような新タイトルは消えてしまったのが少し悲しく感じる。そういえば、VRゲームとかも人気だっけか......
携帯を開き、ブックマーク欄からお気に入りの作品の最新話までを読み終えて、新しい作品発掘へと向かう。
何個かブックマークをしたところで、メールが送られてきた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
拓海くん、おめでとう。
やっとあなたも到達者へと至ったのね。一応あなたに確認してきたわ。
本体の貴方はどこにいるのかしら?
それは置いときまして、到達者たちの集まりが月一度あるから、ぜひ来て頂戴。明日の九時、駅前の喫茶店集合よ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「マジかよ......」
会長からだった。やはり会長も到達者だったらしい。俺は鑑定を持たないためにそれに気が付けなかったが、一度見せてもらったステータスはその印象を確立するためだったのだろうか。それだったらなかなかの策士だ。
しっかし、到達者まで会議とは。星王会議を見ていると何を話すのか結構疑問ばかりなのだが......
まぁ、いいだろう。
と、そのときノックの音が聞こえた。
「どうぞ」
「失礼します、会議を始めますので、準備をお願いします」
「わかりました」
『のうのう、今日は戦うのかの?』
「今日はないだろう」
推測を口にする。確か前回魚座に勝って、序列があいつよりも上になったはずだ。それで新入社員は序列が一番低いやつと戦うから、俺は戦闘なし。
『そうか.....』
どこか残念そうだ。
『実は今日、神殺しの弾丸の詠唱を教えようと思っていたのじゃが......時間もなさそうだし、肝心の弾丸もないし、できそうにないの!』
ちょっと待て。
神殺しの弾丸に詠唱がいるってことが初耳な気がするんだが。
『言っておらんかったかの。まぁまぁ長いから覚悟するのじゃ。撃つ機会がないに越したことはないのじゃが、撃てないのと撃たないのではわけがちがうでの。また時間があるときにでもするのじゃ』
「そうだな」
俺は魔銃を直し、装備を整えると、会議場へと向かった。
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