58 / 68
七章 試練
迷宮攻略7-2
しおりを挟む
アルファの名を持つ魔物は、まだ未知数なことが多いが、一つ確定していることがある。それは基礎ステータスに重きを置いているということだ。その代わりスキル、それも動きが制限されるスキルは特に少ないらしい。
こいつは見た目筋力特化だが、見た目でだましている線もあるだろう。どう来る!
そう考えていたところで、アルファイエティの体がふっと消えた。
敏捷特化とは、俺の一番苦手なタイプかよ!
俺との相性が特に悪い敏捷。それもそのはず、とらえられない敵に対してどうやって弾丸を当てるというのだ。
そろそろ拘束系魔法覚えたいなぁ、でもあれ文字はともかく強度が難しいんだよなぁ......
足の速い敵に対してはその足を止めることが有効だというのは誰でも思い浮かぶだろう。そもそもの魔法の命中云々は置いといて、それが一番取りやすい対策であることは間違いない。
やはり、とらえられたら、の話であるが。
今俺の周りをぎゅんぎゅんと雪を巻き上げ風を起こして走っていくアルファイエティ。
いつ、どこから攻撃してくるかわからない、とでもしたいのだろう。しかし、その攻撃に弱点があることはもう考えついた。
「お前がずっと俺の周りをまわるのなら、魔弾を射出せずにとどめて置いたら果たしてどうなるのだろうか?」
そう言ってやったが、アルファイエティはもちろん人語を理解できないので、げらげらと笑いながら回っている。時たま聞こえてくるむせた音がこいつがどれだけ考えなしかを如実に表しているとさえ言える。
俺は確実に倒すため、魔力を一気に千万ほど込める。
千万の魔弾と聞いて強そうだと思うだろうが、実際は弱い。
というのも、比較対象が千万の魔力を込めた上級属性魔法だからなのだが。
同じ魔力の消費でも、威力の差ができるのはわけがあるのだが、今はいいだろう。この比較的弱い魔弾で倒せるのだから。
アルファイエティの走っている道の上に魔弾を構える。
大抵のことではびくともしない魔弾へと、豪速のアルファイエティが突っ込んだ。
「ギョオオオオオオオオオアアアアアアアアアア!!!」
醜い叫び声をあげながら、アルファイエティは胸元に魔弾をめり込ませて倒れた。
そして霧となっていくそれを見ながら、俺は反省を行う。
まず、敵があれだけ油断をしてくれたから俺は生きている。あいつが見つけてすぐに俺を殺そうとしていたら俺はなす術がなかっただろう。まずはそれに対する対策。
次に、中遠距離タイプといってもいい魔弾戦闘なのに、ここまで接近を許さないといけないこの地形に対して対策だ。
そしてやはり、俺の特化型ステータスは上をとれないと負ける。上というのは単純なレベルやステータスもあるが、戦いにおいていかにペースを握れるかにかかっている。
実際、今のアルファイエティは俺に対してペースをとったつもりでいたのだろう。雪の抉れかたとかでどこにいるかばれてしまい、結果半分自滅のような形になってしまったが、あの戦い方は雪でなければまだ有効だ。しかしその時は、まだイエティと呼ばれているかどうかを先に議論したほうがよさそうだ。
これから山を登るのもなんだし射出で飛んでもいいか
と考えたがその考えをすぐに捨て去る。
風の音に交じって聞こえる、大量の鳥の鳴き声。
なんでこんな寒いところに鳥がバカスカ湧いてんだよ、もっとあったかいところの住民じゃないのか! 渡り鳥とかいるんだし、迷宮くらい空を自由にさせてくれよ!
まぁそれはともかくとして、いくつかの反省点に対してどうにかして解決しないと百階層がしんどそうだ。
『わらわにも考えさせてくれ、もうおぬしが死ぬのはみとうない』
魔銃も対策法を考えてくれるらしい。俺もなにか案を出したいもんだ。
対策を話しながらも、俺たちは着実に山を登っていく。
こいつは見た目筋力特化だが、見た目でだましている線もあるだろう。どう来る!
そう考えていたところで、アルファイエティの体がふっと消えた。
敏捷特化とは、俺の一番苦手なタイプかよ!
俺との相性が特に悪い敏捷。それもそのはず、とらえられない敵に対してどうやって弾丸を当てるというのだ。
そろそろ拘束系魔法覚えたいなぁ、でもあれ文字はともかく強度が難しいんだよなぁ......
足の速い敵に対してはその足を止めることが有効だというのは誰でも思い浮かぶだろう。そもそもの魔法の命中云々は置いといて、それが一番取りやすい対策であることは間違いない。
やはり、とらえられたら、の話であるが。
今俺の周りをぎゅんぎゅんと雪を巻き上げ風を起こして走っていくアルファイエティ。
いつ、どこから攻撃してくるかわからない、とでもしたいのだろう。しかし、その攻撃に弱点があることはもう考えついた。
「お前がずっと俺の周りをまわるのなら、魔弾を射出せずにとどめて置いたら果たしてどうなるのだろうか?」
そう言ってやったが、アルファイエティはもちろん人語を理解できないので、げらげらと笑いながら回っている。時たま聞こえてくるむせた音がこいつがどれだけ考えなしかを如実に表しているとさえ言える。
俺は確実に倒すため、魔力を一気に千万ほど込める。
千万の魔弾と聞いて強そうだと思うだろうが、実際は弱い。
というのも、比較対象が千万の魔力を込めた上級属性魔法だからなのだが。
同じ魔力の消費でも、威力の差ができるのはわけがあるのだが、今はいいだろう。この比較的弱い魔弾で倒せるのだから。
アルファイエティの走っている道の上に魔弾を構える。
大抵のことではびくともしない魔弾へと、豪速のアルファイエティが突っ込んだ。
「ギョオオオオオオオオオアアアアアアアアアア!!!」
醜い叫び声をあげながら、アルファイエティは胸元に魔弾をめり込ませて倒れた。
そして霧となっていくそれを見ながら、俺は反省を行う。
まず、敵があれだけ油断をしてくれたから俺は生きている。あいつが見つけてすぐに俺を殺そうとしていたら俺はなす術がなかっただろう。まずはそれに対する対策。
次に、中遠距離タイプといってもいい魔弾戦闘なのに、ここまで接近を許さないといけないこの地形に対して対策だ。
そしてやはり、俺の特化型ステータスは上をとれないと負ける。上というのは単純なレベルやステータスもあるが、戦いにおいていかにペースを握れるかにかかっている。
実際、今のアルファイエティは俺に対してペースをとったつもりでいたのだろう。雪の抉れかたとかでどこにいるかばれてしまい、結果半分自滅のような形になってしまったが、あの戦い方は雪でなければまだ有効だ。しかしその時は、まだイエティと呼ばれているかどうかを先に議論したほうがよさそうだ。
これから山を登るのもなんだし射出で飛んでもいいか
と考えたがその考えをすぐに捨て去る。
風の音に交じって聞こえる、大量の鳥の鳴き声。
なんでこんな寒いところに鳥がバカスカ湧いてんだよ、もっとあったかいところの住民じゃないのか! 渡り鳥とかいるんだし、迷宮くらい空を自由にさせてくれよ!
まぁそれはともかくとして、いくつかの反省点に対してどうにかして解決しないと百階層がしんどそうだ。
『わらわにも考えさせてくれ、もうおぬしが死ぬのはみとうない』
魔銃も対策法を考えてくれるらしい。俺もなにか案を出したいもんだ。
対策を話しながらも、俺たちは着実に山を登っていく。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

旅の道連れ、さようなら【短編】
キョウキョウ
ファンタジー
突然、パーティーからの除名処分を言い渡された。しかし俺には、その言葉がよく理解できなかった。
いつの間に、俺はパーティーの一員に加えられていたのか。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる