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六章 文化祭
文化祭準備
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本日から文化祭の取り組み、というより屋台の設計とかは先にやっていたらしく、それをつくる作業をするらしい。
ちなみに文化祭でやるものはずばり、屋台だ。
屋台だ。
そう、屋台だ。案がいっぱいあるならその分屋台を立てようじゃないの、とかいうバカみたいな案のせいで、しかもそれを実行できる伝手もあったため、三週間もないこの状況で一気に馬鹿にならないほどの仕事が山積みされたのだ。
しかも、文化祭の委員をはじめとする主要メンバーが教室を使って会議ばかり繰り返しているせいで、主要ではない俺たちに仕事がすべて回って来る状態だ。会議には紗耶香も出席しているらしいが、会議が始まってから数日たったがずっと雑談だと言っていた。
こっちに仕事回して、自分たちは楽をして、それで文化祭直前までこき使った挙句、SNSなどで私たちの作り上げた文化祭だの私たちのクラス、完成度高いよ! とか言って盛り上がるのだろう。お前ら何にもしてないくせにな! 仕事を当日もこっちに押し付けて、ずっと遊んでいるのだろうな! あぁ、楽しそうな文化祭で、いいなぁ!
俺は正直こんなクソみたいな文化祭さっさと投げてしまいたいんだが、これを投げる=文化祭企画の進行が停止する=間に合わない=面倒ごと=先生が動きだすというクソみたいなイコールの式が成り立った。会議組はそれを盾にするようにして俺たちをさらにこき使う。あぁ、この世界はなんて不平等なのだ!
とりあえず材料を買い出しに行くか。
......いや、待てよ
「司、創造師してくれよ」
俺は小声で司に頼み込む。
「ほんとはいやって言いたいところなんだけどぉ......この仕事量を見ると、流石にしたくなっちゃうよねぇ.......」
主要メンバーは会議と言ったが、それ以外が仕事を押し付けられたわけではない。というか、俺たち以外は帰った。何も言わず、それがさも当たり前のように。わたしたちはそんなお前らにもできる仕事はしないんだと、あざ笑うかのように。
最終的に当たり前のようにみんな残ると思っていた俺たちだけが、取り残された。
さて、どうしよう。正直な話、俺たちがスキルなしでこれをやろうとしたら絶対に間に合わない。
そこで俺は気づいてしまった。
「何故ほかのやつのために、俺たちだけが身を粉にして働かなければならないのか」
よく考えれば、遅れようが俺たちのしったこっちゃない。というか、ざまぁみろ。
その考えは声として漏れ出していたようだが、二人も気づいてしまったのか、帰る支度をはじめる。
俺は言葉にできない開放感を感じながら、自転車のペダルをこぐのだった。
翌日、会議の面面がキレていた。間に合わないじゃない、お金どうするのよ、etc......
後ろのほうで紗耶香と勇気が話し合っていた......というより、勇気が一方的に話しかけていた。
紗耶香は顔にこそ出ていないが、はやく話を終わらせたいという雰囲気を体全体から漂わせていた。俺たちは何もできないのだが。
それに会議組が問題という問題をすべてこちらに押し付けてくるあたり、もう会議が形骸化しているのが浮き彫りになった。
しかし、コミュニケーションを今までまともに取らなかった弊害で、そんなことを指摘することはできない。
結局会議組はすべて押し付けて会議へと言ってしまった。
ほかのやつらも、自分から指示に回ろうとはしない。なぜなら、指示に回るということは責任者になることとほぼ同義であり、頭を悩ませた挙句に上からも下からもぐちぐち言われることが確定しているからだ。
だが、下手なプライドが俺たちに指示されることを拒んでしまって、結局何もできずに待つしかできない。
これが、クラス、これが、学校。
生徒によって作り上げられた一つの社会だ。
しかし、俺はこの問題に対する答えを持っている。
俺は少し席を外すと携帯で紗耶香に電話をかけた。
数コールの後、紗耶香が電話に出る。
「どうしたの? 電話なんて珍しいじゃない」
「まぁ、そうだな。ちょっと面倒なことになっててな......そっちにいる勇気、暇そうか?」
「いや、今雑談で忙しそうに話しているところよ。いつも彼を中心とした話題しかしてないからたぶん終わらないわよ?」
「なら紗耶香、教室前に来てくれ。説明は電話じゃ面倒だろう」
「そうね。今から行くわ」
電話を切る。今回の問題はカーストトップの人が抜けたせいで、それ以外が中間管理職の立ち位置になるのを拒んでいるのだ。中間管理職が悪いわけじゃない。ただ上と下の板挟みが嫌なだけだ。
そこで、カーストトップを一人指示役に立てる、というわけだ。
紗耶香も薄々察していたのだろう。重い足取りでこっちへと歩いてきた。
「私に指示させるつもりでしょう?」
やはり見破られていたようだ。俺は何も言わなかった。
「その沈黙は肯定と同義よ。まぁ、わかったわ。」
そういうと、彼女は教室の中へと入って行く。
一応勇気に気に入られている彼女なら問題ないだろう。
その推測は当たっていたようで、教室の空気が変わった。あとは彼女にすべて投げれば万事解決だ。さっさと帰って探索者データベースでも見るか。
「拓海くん? どこにいこうとしてるの?」
冷汗が背中を流れる。まぁわかってはいたが、やはり彼女は俺を逃がしてはくれないようだ。
結局、下校時刻までこき使われた。
さて、文化祭前日となった。
クラスの出し物も、紗耶香の説得により、量を減らすことに成功し、予算内で屋台を二つすることとなった。
そして現在、生徒会室で会議となっている。
この場に呼ばれたのは俺と徹、司、そして紗耶香だ。
「さて、今日は敵の進入ルート、それから私の段取りを説明していくわ。」
ちなみに文化祭でやるものはずばり、屋台だ。
屋台だ。
そう、屋台だ。案がいっぱいあるならその分屋台を立てようじゃないの、とかいうバカみたいな案のせいで、しかもそれを実行できる伝手もあったため、三週間もないこの状況で一気に馬鹿にならないほどの仕事が山積みされたのだ。
しかも、文化祭の委員をはじめとする主要メンバーが教室を使って会議ばかり繰り返しているせいで、主要ではない俺たちに仕事がすべて回って来る状態だ。会議には紗耶香も出席しているらしいが、会議が始まってから数日たったがずっと雑談だと言っていた。
こっちに仕事回して、自分たちは楽をして、それで文化祭直前までこき使った挙句、SNSなどで私たちの作り上げた文化祭だの私たちのクラス、完成度高いよ! とか言って盛り上がるのだろう。お前ら何にもしてないくせにな! 仕事を当日もこっちに押し付けて、ずっと遊んでいるのだろうな! あぁ、楽しそうな文化祭で、いいなぁ!
俺は正直こんなクソみたいな文化祭さっさと投げてしまいたいんだが、これを投げる=文化祭企画の進行が停止する=間に合わない=面倒ごと=先生が動きだすというクソみたいなイコールの式が成り立った。会議組はそれを盾にするようにして俺たちをさらにこき使う。あぁ、この世界はなんて不平等なのだ!
とりあえず材料を買い出しに行くか。
......いや、待てよ
「司、創造師してくれよ」
俺は小声で司に頼み込む。
「ほんとはいやって言いたいところなんだけどぉ......この仕事量を見ると、流石にしたくなっちゃうよねぇ.......」
主要メンバーは会議と言ったが、それ以外が仕事を押し付けられたわけではない。というか、俺たち以外は帰った。何も言わず、それがさも当たり前のように。わたしたちはそんなお前らにもできる仕事はしないんだと、あざ笑うかのように。
最終的に当たり前のようにみんな残ると思っていた俺たちだけが、取り残された。
さて、どうしよう。正直な話、俺たちがスキルなしでこれをやろうとしたら絶対に間に合わない。
そこで俺は気づいてしまった。
「何故ほかのやつのために、俺たちだけが身を粉にして働かなければならないのか」
よく考えれば、遅れようが俺たちのしったこっちゃない。というか、ざまぁみろ。
その考えは声として漏れ出していたようだが、二人も気づいてしまったのか、帰る支度をはじめる。
俺は言葉にできない開放感を感じながら、自転車のペダルをこぐのだった。
翌日、会議の面面がキレていた。間に合わないじゃない、お金どうするのよ、etc......
後ろのほうで紗耶香と勇気が話し合っていた......というより、勇気が一方的に話しかけていた。
紗耶香は顔にこそ出ていないが、はやく話を終わらせたいという雰囲気を体全体から漂わせていた。俺たちは何もできないのだが。
それに会議組が問題という問題をすべてこちらに押し付けてくるあたり、もう会議が形骸化しているのが浮き彫りになった。
しかし、コミュニケーションを今までまともに取らなかった弊害で、そんなことを指摘することはできない。
結局会議組はすべて押し付けて会議へと言ってしまった。
ほかのやつらも、自分から指示に回ろうとはしない。なぜなら、指示に回るということは責任者になることとほぼ同義であり、頭を悩ませた挙句に上からも下からもぐちぐち言われることが確定しているからだ。
だが、下手なプライドが俺たちに指示されることを拒んでしまって、結局何もできずに待つしかできない。
これが、クラス、これが、学校。
生徒によって作り上げられた一つの社会だ。
しかし、俺はこの問題に対する答えを持っている。
俺は少し席を外すと携帯で紗耶香に電話をかけた。
数コールの後、紗耶香が電話に出る。
「どうしたの? 電話なんて珍しいじゃない」
「まぁ、そうだな。ちょっと面倒なことになっててな......そっちにいる勇気、暇そうか?」
「いや、今雑談で忙しそうに話しているところよ。いつも彼を中心とした話題しかしてないからたぶん終わらないわよ?」
「なら紗耶香、教室前に来てくれ。説明は電話じゃ面倒だろう」
「そうね。今から行くわ」
電話を切る。今回の問題はカーストトップの人が抜けたせいで、それ以外が中間管理職の立ち位置になるのを拒んでいるのだ。中間管理職が悪いわけじゃない。ただ上と下の板挟みが嫌なだけだ。
そこで、カーストトップを一人指示役に立てる、というわけだ。
紗耶香も薄々察していたのだろう。重い足取りでこっちへと歩いてきた。
「私に指示させるつもりでしょう?」
やはり見破られていたようだ。俺は何も言わなかった。
「その沈黙は肯定と同義よ。まぁ、わかったわ。」
そういうと、彼女は教室の中へと入って行く。
一応勇気に気に入られている彼女なら問題ないだろう。
その推測は当たっていたようで、教室の空気が変わった。あとは彼女にすべて投げれば万事解決だ。さっさと帰って探索者データベースでも見るか。
「拓海くん? どこにいこうとしてるの?」
冷汗が背中を流れる。まぁわかってはいたが、やはり彼女は俺を逃がしてはくれないようだ。
結局、下校時刻までこき使われた。
さて、文化祭前日となった。
クラスの出し物も、紗耶香の説得により、量を減らすことに成功し、予算内で屋台を二つすることとなった。
そして現在、生徒会室で会議となっている。
この場に呼ばれたのは俺と徹、司、そして紗耶香だ。
「さて、今日は敵の進入ルート、それから私の段取りを説明していくわ。」
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