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四章 文化祭
いきなり新学期
しおりを挟む「あ、そうだ、会長って名前なんて言うんですか? 前聞いてなくって......」
「あら、そうだったの。改めまして、私は飯塚 ......いや、やっぱりやめたわ。」
「えぇ......何でですか......」
「聞いていないほうが悪いんじゃない、それか紗耶香にでも聞いてみたら?」
なぜ本人が教えてくれなくて、妹に聞けだなんていうのかわからないが、この人は教えてくれなさそうなので、さっさと話題を切り上げると、補充した魔力バッテリーをわたし、からの魔力バッテリーをもらう。
「それでは」
「え、えぇ。休日、頑張ってね」
生徒会室を出ると、明日に備えるために準備を進めるのだった。
そのころ、生徒会室では。
「......だったはずなのに!」
「私に縋りつくぐらいに! 名前を聞こうとしてくる未来のはずだったのに! どこで変わったのよポンコツ予知!」
そう、彼女の見ていた予知結果では、拓海が名前をどうしても教えてほしい、と懇願するはずだったのだ。
しかし、いつの間にか未来は変わっていた。特に今回不幸な未来を避けるために誰かに伝えたこともない。
彼女には、未来が変わった理由がわからなかった。
その理由は、今、わかるものではなかった。
あれから、約四か月。
夏休み最終日。
え?夏休み?俺が毎日パソコン触って迷宮潜ってレベル上がらずに家に帰る話が聞きたいのかね?
飯塚姉妹からお誘いはきたが、俺はそこへと向かう勇気などない。
あの美女二人に囲まれて、我慢できないほうが正常だろう。
あんなこんなあったが、ステータスはこうなった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
藍染 拓海 人間 男 強化型歩く魔力タンクlv32
HP10/10
MP288000/288000
筋力10
体力10
敏捷10
知力10
魔防10
器用10
幸運10
スキル
魔力譲渡lv8
魔力回復増加lv9
魔力操作lv5
支援魔法lv4
感覚強化lv9
隠密lv5
暗視lv7
#狂化_バーサーク__#lv7
分体 lv9
スキルポイント 109
分体 人間 男
HP10/10
MP0/288000
筋力10
体力10
敏捷10
知力10
魔防10
器用10
幸運10
スキル
魔力譲渡lv8
魔力操作lv5
支援魔法lv4
感覚強化lv9
隠密lv5
暗視lv7
#狂化_バーサーク__#lv7
幻術眼lv2
偽装lv4
罠感知lv3
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今では九千ずつ上昇していく魔力値。
しかし、ほかのステータスはやはり上昇しないか。
俺はこの段階で九千上昇ははっきり言って異常だが、最終職になるとこれくらい上がってるやつはゴロゴロいる。
それよりも上昇しない弊害がここで出てきてしまった。
身体強化とかも見様見真似である程度様になってくるが、そっちは実際の数値は上昇しないので、一部攻撃が思ったより弱い。
これだと俺は、百階層だなんていけないだろう。
このステータスで現在60階層だ。
半分行ってる、と思ったかもしれないが、これから上は魔物が知能を持っているのか、さらに攻略が遅くなる。
しかもマップデータが一般公開されておらず、大会社と契約している一部の探索者だけが閲覧できる仕様のため俺はさらに進行ペースが遅くなっている。
それに加えて夏休みも終わり、長期的に迷宮にもぐれない。
解決策などあるはずもなく、俺はあきらめたように足から魔力で体を射出すると、学校付近まで一気に上空を吹っ飛ぶ。
街中で魔法を使おうと問題ないが、事件などになった場合は通常より厳しい罰が与えられるそうだ。が、飛行機が飛ぶくらいの高さを飛ぼうとか言っているわけでもないので、大丈夫だ。
久しぶりの学校へと向かう。門にいたのは生徒会長の......ああ、まだ名前聞いてないや。まぁ、いいや、生徒会長が門で仁王立ちしていた。
「ねぇ、拓海君?」
「はい、なんでしょう?」
「あなた、夏休み、連絡取れなかったけど、どこいたの?」
そう聞かれた。後ろに鬼を携えながら。
「何処って、想像の通りですよ」
「あなた、魔法バッテリー補充お願いできないせいで、私の予知、溜まってるんだけど?」
あぁ。忘れてた。そういえば夏休みあってないから、そりゃそうなるか。
「今すぐ補充なさい。」
「生徒会室でしてきますね」
そう言って、さっさと校門をくぐると、教室へと向かう前に生徒会室へと向かった。
中にあったのは、今までの比にならない、大きな机から零れ落ちるほどの魔力バッテリーだった。
「これ、補充しなさい。できるまで泊まり込みよ。」
「......は?」
「は?とはどの口が言うのですか。私も......一緒に泊まり込みますから、魔力を早く補充してください!」
確かに、予知を使えないのは困るだろう。未来が見えていた人が、急に未来が見られなくなるのだから、不安でいっぱいだったはずだ。なんか心読める人もそうだとか聞いたことあるし。
「はい、補充しました」
俺はすぐにすべてのバッテリーに魔力譲渡を行うと、さっさと生徒会室を出ようとした。
「ちょっと待ちなさい。全部、できたっていうの?」
「そうですよ、終わったので、教室へと戻ります」
「......そう。あなた、偽装スキルもレベル高くなっているのね」
なぜ偽装スキルが今ここで?あ、そうか。俺が偽装でバッテリーを隠したとか、バッテリーを赤く見せているとかと言いたいのか。
「正真正銘、すべて補充してありますが」
「そうじゃなくて......はぁ。もういいわ。教室へと戻りなさい」
そういわれたので、おとなしく教室へと戻る。
しかし、一学期とは違って研ぎ澄まされた精神と、レベルが上がった感覚強化が、そのつぶやきを聞き逃さなかった。
「読心も使えないなんて......どうしろっていうのよ」
そうか。心を読まれていたのか。一学期あれだけ心を読んだような返答をしてきて、あれだけ余裕があったのもそういう理由なのか。
しかし、俺は偽装で心を読まれないようにしたから、レベルが足りなくて読めなかった、と。
会長一学期そんなことしてたのか。そう思いながらクーラーのきいた教室へと入る。中には結構な人数がいた。試しに魔眼で覗いてみよう。
俺は目に魔力を少し通す。すると、視界にいろいろな色の魔力が見えた。
数人色が見えるな―とか思っていたら、天ノ川が教室へと入ってきた。あいつは......白。魔力量もまぁまぁ多い。色も真っ白で、極光の勇者してるようだった。
なんて見ていると、飯塚 紗耶香がこっちに近づいてきて、ひっそりと話しかけてきた。
「ねぇ、あなた、なんで魔力なくなってるの?」
「これは.....偽装でちょっといじった?」
「あぁ......なるほど! それならよかった」
「よかった?」
「えっ、まぁ......こっちの話! じゃあ行くね!」
彼女はとたんに顔を赤くしたかと思うと、自分の席へと座って、すぐに寝てしまった。
彼女は俺のこと知ってるし、今度徹と司もつれて四人で迷宮行ってみるか。
次に来たのは徹と司だ。
二人も結構迷宮へと行っていたようだ。
「おっす」
「久しぶりぃ、拓海」
俺の席まで来て話しかけてきた。
司はともかくとして、徹がイメチェンした!
今まで、髪も長く、何物も近づけさせない眼力を放っていたのに、今は髪の毛もさっぱりしていて、眼鏡からコンタクトにしていた。しかも近接職をするから日常生活の筋力も上げると言っていたが、こんな細マッチョに仕上がるとは......
「そっちはどうだ!」
「まぁ、順調だよ」
「二人とも、この後は食堂でお話ししよっか」
そう司にさえぎられた。仕方ないので俺は話すのをやめると、机に突っ伏した。
チャイムが鳴り、教室のドアが開く。入ってきたのは変わらぬ先生が。
「みんな、問題を起こさなかったようで何よりだ。プリントはこれ。以上」
やっぱやる気ねぇ......渡されたプリントをカバンに入れると、始業式のため体育館へと移動する。
「なぁ、徹、司、それから......飯塚さん! ちょっといい!」
そう呼ぶと、二人は不思議そうにこっちへと来て、飯塚さんはやはり顔が赤いがこっちへと来てくれた。
「なぁ、今度一緒に四人で迷宮いかね?」
「「「えっ」」」
真っ先に帰ってきたのはその言葉だった。
「まぁ、三人グルだったのは知ってたけど、今まで一緒じゃなかったの?」
「僕、戦闘苦手だけどぉ......いこっか!」
「まさかお前から誘ってくるとは思わなかった。俺も近々誘うつもりだったんだよ」
と飯塚さん、司、徹。
「ありがと、今度の土曜日、迷宮都市のとこでいい?」
「「「えっ」」」
と聞くと、またもや三人からその言葉が返ってきた。
「まさか、迷宮都市にもぐっていたとは......流石ね。それだけ強くなれるわけよ」
「うーん、僕は近場でいいかなぁー」
「迷宮都市、リーチのない俺はめんどくさいから近場のほうがいいかな」
と三人。それなら仕方ないので近場にすることにした。
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