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一章 入学と探索者
余韻
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拓海は歩いて帰宅すると、すぐに自室へ向かい、パソコンを起動、探索者データベースを開く。
もしかしたら五階層ボス部屋でのことが何かわかるかもしれない。
そう思い、検索欄にいろいろ入力してみる。
「魔人......百階層......試練の間......来るべき日......二年後......ああもう、何もヒットしねぇ!」
やはりというべきか、その情報はどこにもヒットしなかった。
手口を変えて、五階層のボス攻略情報のところに何か書き込みがないか調べる。
が、手掛かりは何も見つからなかった。
俺はベッドに倒れ込むようにして寝転ぶ。
百階層か......金も、手札も、レベルも、ステータスも何もかも足りない。
が、金は稼げる。手札も作れる。レベルは上げられる。ステータスだけが上がらない。
「基礎ステータスオール10で百階層とか、どうしろってんだ......」
探索者データベースを調べると、ステータスについて様々な情報が出てきた。
ステータスを強化するとかは......レアスキルの支援魔法適正、属性魔法の部分付与、それとステータスには反映されないが身体強化という技術がメジャーな上げ方らしい。
そう書かれた探索者データベースをじっと見て、あることを思い出す。
「そういや、スキル獲得してないな......ポイントはあるが、大半はステータス制限で使えないだろって見てないしな......いったん見てみるか。」
そう思い、慣れた手つきでステータスを開く。
職業がタッチでできたから、これもタッチすればいいんだろう。と思い触れると、やはり、というべきか、スキル獲得顔能な一覧が出てきた。
そこまで多くないリストを見ると、支援魔法適正があった。
これは即決だろうと、とりあえず支援魔法適正を獲得した。
しかし、いくら探してもほとんどの人は獲得できる属性魔法適正がない。
これがないとほとんどの魔法属性を決める文字が意味を成せない。つまりいくら魔力があろうとも手から火がー、だの、氷の剣でーだのと言ったTHA・ファンタジーができない。
そして属性魔法適正がないということはすなわちステータスアップの方法を一つ失っていることと同義である。
使えるものはすべて使ったうえでの攻略プランもこれでは大幅な遅れが発生することとなる。
「おいおいそれも解決しないとな......」
何か良い策はないものかと、思案を広げるのであった。
翌日。月曜日なので、大人しく学校へ向かう。
自転車を止めると、教室までいまだ重い体を引きずるようにして移動する。
教室に入ると、司と徹が真っ先に駆けつけてきた。
「おはよう。」
「おはよぉ。」
「ふたりとも、おはよう。」
二人ともどこか眠そうだ。どうせ徹夜でゲームでもしていたんだろう。勝手にそう解釈していると、司と徹がこっちに近づいてきた。
「これから毎週月曜、食堂の端の席で昼食時にミーティングだ。これ、俺の電話番号だから、登録しといてくれ。」
女子にもてたいといったものの、勇者君がいる限り俺にモテ期はこないだろうと思い了承する。
徹に電話番号の書かれた紙を渡される。そこには二つ電話番号がかかれていた。おそらくもう一つは司のものだろう。
「それは今日から?」
拓海は二人に問う。すると、どこか困った顔をしながら二人は答える。
「ああ、ちょっと相談事もあってな。」
「ちょっと、めんどうなことになったんだよぉ」
と言われる。思えば俺も困ったことばかりだ。
「そういえば俺も相談事だ。また食堂で。」
勇者たちに察知される前に、俺は席に着く。二人もそれを察したのか、解散してそれぞれの席に着く。
チャイムが鳴るまで、俺は好きなアニメ曲を聴きながら、いつも読んでいるweb小説の最新話を読む。
最近は新しいタイトルとかを追加しているせいで、数十作品を並行して読んでいる。たまに名前を忘れて読み返していると、あっという間に時間は経ち、ホームルームの時間となる。
「あー。おはよ」
いつもより増して疲れた顔をしながらプリントを配る。何があったものかと聞こうとしたが、聞く前にわかってしまった。
最前列、先生に一番近いからこそわかる、わずかなアルコールのにおい。これはほぼ間違いない。二日酔いだ。
未成年にはわからない苦痛を味わっているであろう先生に心の中で深い追悼の意を送る。
プリントを配り終えたすると先生はいつものように教室から出て行った。
昼休みになる。最初の授業ということもあって、先生の自己紹介と簡単な復習から入ったため、さして眠くならずに済んだ。
俺は階段を降り、食堂へと向かう。すると、先に席をとっていたらしい徹が、こっちに向かって手を振っていた。
俺は小さく手を振り返すと、小走りで二人のもとへ向かう。
「待たせたな、んで、面倒なことって何なんだ?勇者グループにはバレてはいないんだろうな。」
一番心配なのはそこだ。と思っていたが、杞憂だったようだ。
「それに関しては抜かりなく。面倒なことってのは、これだ。」
と言って見せられたのは、司のステータス。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
斎藤 司 人間 男 創造師lv1
HP10/10
MP10/10
筋力11
体力10
敏捷10
知力13
魔防11
器用15
幸運10
スキル
創造魔法lv1
製作の心得lv1
鑑定lv3
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「この職業、唯一らしい。」
唯一職。それは、文字通り一人しか確認されていない職業だ。
「しかも大きいのは、生産系ジョブの統合版みたいな感じらしく、それを詳細鑑定してもらった受付が叫びやがったせいで、名前はばれてないが、この付近にいると情報をつかまれているらしい。」
ほう、しかしそれなら。
「大手なら、就職に困らないんじゃないか?」
そう、思いついたことを口にした。
すると、徹は気づいていないのかという顔をしながらも俺に説明した。
「ばっか、お前!すぐ学校辞めさせられて、ずっと生産させられる可能性があるんだよ!」
何その法律無視のクソ社畜生活!
「そりゃ面倒じゃん!」
「だからそういってるだろ!」
ツッこまれた。そういえば最初からそういう話で呼ばれてたな。
「それで、俺たちが話し合うのは解決法か?それとも転校のお誘いか?」
「もちろん解決法だ。」
茶化しながらも、解決法がないか昼飯を食いながら思考をめぐらせる。
しかし、よい解決策は見当たらない。
ずっと考えていると、徹に肩をたたかれる。
「そーいや、拓海もなんか相談事って言ってたよな、なにかあったのか?」
と聞かれた。俺は職業のこととステータスのこと、そしてボススライムのドロップについて話した。
すると、二人の顔は驚愕に染まっていた。
「お前も唯一か!しかも魔力タンクとか人の扱いじゃないだろ!www」
「にしてもすごいねぇ......三日でボス倒しちゃったんだぁ」
そんな話をしていると、思い出す。
「なぁ、司。生産って途中から魔力使うやつばっかだろ?その伸びのないMP、大丈夫か?」
そう聞くと、司は落ち込みながら、
「うーん、ダメかな。創造魔法は特に消費が大きいみたいだ。」
そう答えた。
「ならさ、MP伸びないので生産高位のものはできません!って言ってしまえばどう?」
という俺のプラン。喜ぶ徹と、落ち込む司。
「どうした、これでめもつけられなくなるんだぞ?」
という徹の声に、司は落ち込みながら答えた。
「自分が良いもの作れないってばれると、今度はお客さんいなくならないかなって......」
ハッとする徹。しかし、俺はこれに関して解決法を持っている。
「私はMPの伸びしろないですよーっていうだろ?んで俺と協力して生産して、常連だけ良いの売ったらどうだ?」
「簡単に言うけど、生産に拓海がどうかかわるのさ?」
そういえば説明してなかった。
「俺の魔力タンクのスキルでな、魔力譲渡、魔力をあげることができるんだわ。だから、司の生産で減っていく魔力を俺が随時補充していく。これで生産できるだろ。」
そういうと、二人は驚いた顔をして、
「ごめんな、魔力タンク、人じゃないとか言って!」
「それにしよぉう!」
そう、答えた。
これで何とかなりそうと思ったところで、予鈴のチャイムが鳴り響く。
「なぁ、俺たち次体育じゃなかったか?」
「「......マジで?」」
携帯で保存していた時間割の画像を見る。月曜五限目には、俺たちを嘲笑うかのように体育の文字が輝いていた。
「「「いそげ!」」」
結局、足を引っ張りあったせいで三人とも遅刻した。
放課後。今日は迷宮行かずに家でゴロゴロするか。
放送のチャイムが鳴る。先生、呼ばれますよー
「一年、藍染 拓海。至急生徒会室まで。」
......俺、何かしたっけ。
今日の行動を振り返る。
先生の二日酔いを見破った。
食堂で三人ぶつぶつしてた。
体育遅刻した。
あぁ、今日はコンテンツ山盛りだったな。
遠い目をして、職員室へ生徒会室の場所を尋ねに行くのだった。
「失礼します!一年、藍染です!」
そう言って、生徒会室へ入る。
「もうすぐ来る頃だと思っていたよ。さぁ、そこに腰を掛けたまえ」
そういったのは、生徒会長。前壇上で話していた美人が、こんなに近くにいるとは。
しかし、ほかの人はいないのだな。つまり二人っきり.....いかんいかん、鋼の精神。
とりあえず、言われた通りに、会長の向かい側の席に座る。
すると、生徒会長は、顔を近づける。
「拓海。私のものにならないか」
そういわれ、拓海は数秒思考が停止する。
「どういうことですか、会長。」
自分なんかが恋愛的な意味で呼ばれるわけがないと思ったので、会長に問う。
すると、面白くない、といった表情で言う。
「あなたの職業、とても興味があるの。もしよろしければ、私と組まないかと思って」
ガタンッ!!!
俺は思わず席を立つ。いつ、そのことを知った。
「入学式の時、見させていただいたわ。......そう警戒しないで。私は、あなたと同じ極振りのステータス所持者。そして唯一職、預言者の職業に就いただけの ただの会長よ」
心が読まれたッ!
「そんなただの会長がいてたまるか」
「あら、心を見られないようにするなんて考えたじゃない。でも、わかっていたわ。そう答えることもね」
一体どういうことだ。まるで俺の行動が......いや、未来がわかっていたかのような口ぶり。
思考をめぐらせる俺を見た会長は、大胆な行動に出る。
「これ、私のステータス。とくとご覧になって?」
そう言われ、ステータスを見る。が、おかしいことになっていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■■ 人間 女 預言者lv5
HP10/10
MP10/10
筋力10
体力10
敏捷10
知力400
魔防10
器用10
幸運10
スキル
予知lv5
詳細鑑定lv3
妨害lv3
■■■
■■■
妨害効果発動中
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
となっていた。妨害によって一部隠されているのか。
「乙女の秘密、丸裸にできると思わないでね?」
まぁ、いい。知力極振りの会長に協力とは......?
「協力してほしいのは、二つよ。一つは、予知に必要な魔力を譲ってほしいってことね。もう一つは、情報。私のこの予知なんだけど、二年後を見られないのよね......それに関しての情報。何か知ってるでしょ?」
「条件があります」
「なぁに?」
「この学校及び生徒、教師には私が探索者をやってることを言わないでください。」
「わかったわ。それだけよね?知っているわ。」
「ええ、そうです。ならば、お教えします......と言いたいところなのですが、私もそう多く情報は持っていません。二年後......ぐっ!!!」
言おうとしたところで、体中が針に刺されるような痛みを感じる。
「どうしたの!?」
「わかりません......」
とは言ったものの、理由は見当がついている。
二年後の情報を口外しようとしたがゆえに、罰を受けた。そういったことだろう。
となると、俺は二年後を口外できないことになる......そうだ。
「会長、レベルを見るに、まだ五階層のボスはたおしてないですよね」
「えぇ、まだだけど......」
「そこを、ソロで攻略したらわかるかもしれません。」
もし、極振りが、同じ定めにあるのなら。そこに行けば恐らく知ることができるだろう。
「ちょっとしんどいので帰りますね。」
「うん、わかったわ。魔力の件もお願いね」
俺は生徒会室の扉を開くと、家まですぐに帰ったのだ。
もしかしたら五階層ボス部屋でのことが何かわかるかもしれない。
そう思い、検索欄にいろいろ入力してみる。
「魔人......百階層......試練の間......来るべき日......二年後......ああもう、何もヒットしねぇ!」
やはりというべきか、その情報はどこにもヒットしなかった。
手口を変えて、五階層のボス攻略情報のところに何か書き込みがないか調べる。
が、手掛かりは何も見つからなかった。
俺はベッドに倒れ込むようにして寝転ぶ。
百階層か......金も、手札も、レベルも、ステータスも何もかも足りない。
が、金は稼げる。手札も作れる。レベルは上げられる。ステータスだけが上がらない。
「基礎ステータスオール10で百階層とか、どうしろってんだ......」
探索者データベースを調べると、ステータスについて様々な情報が出てきた。
ステータスを強化するとかは......レアスキルの支援魔法適正、属性魔法の部分付与、それとステータスには反映されないが身体強化という技術がメジャーな上げ方らしい。
そう書かれた探索者データベースをじっと見て、あることを思い出す。
「そういや、スキル獲得してないな......ポイントはあるが、大半はステータス制限で使えないだろって見てないしな......いったん見てみるか。」
そう思い、慣れた手つきでステータスを開く。
職業がタッチでできたから、これもタッチすればいいんだろう。と思い触れると、やはり、というべきか、スキル獲得顔能な一覧が出てきた。
そこまで多くないリストを見ると、支援魔法適正があった。
これは即決だろうと、とりあえず支援魔法適正を獲得した。
しかし、いくら探してもほとんどの人は獲得できる属性魔法適正がない。
これがないとほとんどの魔法属性を決める文字が意味を成せない。つまりいくら魔力があろうとも手から火がー、だの、氷の剣でーだのと言ったTHA・ファンタジーができない。
そして属性魔法適正がないということはすなわちステータスアップの方法を一つ失っていることと同義である。
使えるものはすべて使ったうえでの攻略プランもこれでは大幅な遅れが発生することとなる。
「おいおいそれも解決しないとな......」
何か良い策はないものかと、思案を広げるのであった。
翌日。月曜日なので、大人しく学校へ向かう。
自転車を止めると、教室までいまだ重い体を引きずるようにして移動する。
教室に入ると、司と徹が真っ先に駆けつけてきた。
「おはよう。」
「おはよぉ。」
「ふたりとも、おはよう。」
二人ともどこか眠そうだ。どうせ徹夜でゲームでもしていたんだろう。勝手にそう解釈していると、司と徹がこっちに近づいてきた。
「これから毎週月曜、食堂の端の席で昼食時にミーティングだ。これ、俺の電話番号だから、登録しといてくれ。」
女子にもてたいといったものの、勇者君がいる限り俺にモテ期はこないだろうと思い了承する。
徹に電話番号の書かれた紙を渡される。そこには二つ電話番号がかかれていた。おそらくもう一つは司のものだろう。
「それは今日から?」
拓海は二人に問う。すると、どこか困った顔をしながら二人は答える。
「ああ、ちょっと相談事もあってな。」
「ちょっと、めんどうなことになったんだよぉ」
と言われる。思えば俺も困ったことばかりだ。
「そういえば俺も相談事だ。また食堂で。」
勇者たちに察知される前に、俺は席に着く。二人もそれを察したのか、解散してそれぞれの席に着く。
チャイムが鳴るまで、俺は好きなアニメ曲を聴きながら、いつも読んでいるweb小説の最新話を読む。
最近は新しいタイトルとかを追加しているせいで、数十作品を並行して読んでいる。たまに名前を忘れて読み返していると、あっという間に時間は経ち、ホームルームの時間となる。
「あー。おはよ」
いつもより増して疲れた顔をしながらプリントを配る。何があったものかと聞こうとしたが、聞く前にわかってしまった。
最前列、先生に一番近いからこそわかる、わずかなアルコールのにおい。これはほぼ間違いない。二日酔いだ。
未成年にはわからない苦痛を味わっているであろう先生に心の中で深い追悼の意を送る。
プリントを配り終えたすると先生はいつものように教室から出て行った。
昼休みになる。最初の授業ということもあって、先生の自己紹介と簡単な復習から入ったため、さして眠くならずに済んだ。
俺は階段を降り、食堂へと向かう。すると、先に席をとっていたらしい徹が、こっちに向かって手を振っていた。
俺は小さく手を振り返すと、小走りで二人のもとへ向かう。
「待たせたな、んで、面倒なことって何なんだ?勇者グループにはバレてはいないんだろうな。」
一番心配なのはそこだ。と思っていたが、杞憂だったようだ。
「それに関しては抜かりなく。面倒なことってのは、これだ。」
と言って見せられたのは、司のステータス。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
斎藤 司 人間 男 創造師lv1
HP10/10
MP10/10
筋力11
体力10
敏捷10
知力13
魔防11
器用15
幸運10
スキル
創造魔法lv1
製作の心得lv1
鑑定lv3
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「この職業、唯一らしい。」
唯一職。それは、文字通り一人しか確認されていない職業だ。
「しかも大きいのは、生産系ジョブの統合版みたいな感じらしく、それを詳細鑑定してもらった受付が叫びやがったせいで、名前はばれてないが、この付近にいると情報をつかまれているらしい。」
ほう、しかしそれなら。
「大手なら、就職に困らないんじゃないか?」
そう、思いついたことを口にした。
すると、徹は気づいていないのかという顔をしながらも俺に説明した。
「ばっか、お前!すぐ学校辞めさせられて、ずっと生産させられる可能性があるんだよ!」
何その法律無視のクソ社畜生活!
「そりゃ面倒じゃん!」
「だからそういってるだろ!」
ツッこまれた。そういえば最初からそういう話で呼ばれてたな。
「それで、俺たちが話し合うのは解決法か?それとも転校のお誘いか?」
「もちろん解決法だ。」
茶化しながらも、解決法がないか昼飯を食いながら思考をめぐらせる。
しかし、よい解決策は見当たらない。
ずっと考えていると、徹に肩をたたかれる。
「そーいや、拓海もなんか相談事って言ってたよな、なにかあったのか?」
と聞かれた。俺は職業のこととステータスのこと、そしてボススライムのドロップについて話した。
すると、二人の顔は驚愕に染まっていた。
「お前も唯一か!しかも魔力タンクとか人の扱いじゃないだろ!www」
「にしてもすごいねぇ......三日でボス倒しちゃったんだぁ」
そんな話をしていると、思い出す。
「なぁ、司。生産って途中から魔力使うやつばっかだろ?その伸びのないMP、大丈夫か?」
そう聞くと、司は落ち込みながら、
「うーん、ダメかな。創造魔法は特に消費が大きいみたいだ。」
そう答えた。
「ならさ、MP伸びないので生産高位のものはできません!って言ってしまえばどう?」
という俺のプラン。喜ぶ徹と、落ち込む司。
「どうした、これでめもつけられなくなるんだぞ?」
という徹の声に、司は落ち込みながら答えた。
「自分が良いもの作れないってばれると、今度はお客さんいなくならないかなって......」
ハッとする徹。しかし、俺はこれに関して解決法を持っている。
「私はMPの伸びしろないですよーっていうだろ?んで俺と協力して生産して、常連だけ良いの売ったらどうだ?」
「簡単に言うけど、生産に拓海がどうかかわるのさ?」
そういえば説明してなかった。
「俺の魔力タンクのスキルでな、魔力譲渡、魔力をあげることができるんだわ。だから、司の生産で減っていく魔力を俺が随時補充していく。これで生産できるだろ。」
そういうと、二人は驚いた顔をして、
「ごめんな、魔力タンク、人じゃないとか言って!」
「それにしよぉう!」
そう、答えた。
これで何とかなりそうと思ったところで、予鈴のチャイムが鳴り響く。
「なぁ、俺たち次体育じゃなかったか?」
「「......マジで?」」
携帯で保存していた時間割の画像を見る。月曜五限目には、俺たちを嘲笑うかのように体育の文字が輝いていた。
「「「いそげ!」」」
結局、足を引っ張りあったせいで三人とも遅刻した。
放課後。今日は迷宮行かずに家でゴロゴロするか。
放送のチャイムが鳴る。先生、呼ばれますよー
「一年、藍染 拓海。至急生徒会室まで。」
......俺、何かしたっけ。
今日の行動を振り返る。
先生の二日酔いを見破った。
食堂で三人ぶつぶつしてた。
体育遅刻した。
あぁ、今日はコンテンツ山盛りだったな。
遠い目をして、職員室へ生徒会室の場所を尋ねに行くのだった。
「失礼します!一年、藍染です!」
そう言って、生徒会室へ入る。
「もうすぐ来る頃だと思っていたよ。さぁ、そこに腰を掛けたまえ」
そういったのは、生徒会長。前壇上で話していた美人が、こんなに近くにいるとは。
しかし、ほかの人はいないのだな。つまり二人っきり.....いかんいかん、鋼の精神。
とりあえず、言われた通りに、会長の向かい側の席に座る。
すると、生徒会長は、顔を近づける。
「拓海。私のものにならないか」
そういわれ、拓海は数秒思考が停止する。
「どういうことですか、会長。」
自分なんかが恋愛的な意味で呼ばれるわけがないと思ったので、会長に問う。
すると、面白くない、といった表情で言う。
「あなたの職業、とても興味があるの。もしよろしければ、私と組まないかと思って」
ガタンッ!!!
俺は思わず席を立つ。いつ、そのことを知った。
「入学式の時、見させていただいたわ。......そう警戒しないで。私は、あなたと同じ極振りのステータス所持者。そして唯一職、預言者の職業に就いただけの ただの会長よ」
心が読まれたッ!
「そんなただの会長がいてたまるか」
「あら、心を見られないようにするなんて考えたじゃない。でも、わかっていたわ。そう答えることもね」
一体どういうことだ。まるで俺の行動が......いや、未来がわかっていたかのような口ぶり。
思考をめぐらせる俺を見た会長は、大胆な行動に出る。
「これ、私のステータス。とくとご覧になって?」
そう言われ、ステータスを見る。が、おかしいことになっていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■■ 人間 女 預言者lv5
HP10/10
MP10/10
筋力10
体力10
敏捷10
知力400
魔防10
器用10
幸運10
スキル
予知lv5
詳細鑑定lv3
妨害lv3
■■■
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妨害効果発動中
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となっていた。妨害によって一部隠されているのか。
「乙女の秘密、丸裸にできると思わないでね?」
まぁ、いい。知力極振りの会長に協力とは......?
「協力してほしいのは、二つよ。一つは、予知に必要な魔力を譲ってほしいってことね。もう一つは、情報。私のこの予知なんだけど、二年後を見られないのよね......それに関しての情報。何か知ってるでしょ?」
「条件があります」
「なぁに?」
「この学校及び生徒、教師には私が探索者をやってることを言わないでください。」
「わかったわ。それだけよね?知っているわ。」
「ええ、そうです。ならば、お教えします......と言いたいところなのですが、私もそう多く情報は持っていません。二年後......ぐっ!!!」
言おうとしたところで、体中が針に刺されるような痛みを感じる。
「どうしたの!?」
「わかりません......」
とは言ったものの、理由は見当がついている。
二年後の情報を口外しようとしたがゆえに、罰を受けた。そういったことだろう。
となると、俺は二年後を口外できないことになる......そうだ。
「会長、レベルを見るに、まだ五階層のボスはたおしてないですよね」
「えぇ、まだだけど......」
「そこを、ソロで攻略したらわかるかもしれません。」
もし、極振りが、同じ定めにあるのなら。そこに行けば恐らく知ることができるだろう。
「ちょっとしんどいので帰りますね。」
「うん、わかったわ。魔力の件もお願いね」
俺は生徒会室の扉を開くと、家まですぐに帰ったのだ。
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