魔力極振りの迷宮探索

大山 たろう

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一章 入学と探索者

仲間との出会い

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 学校に登校する。迷宮に行くことに対して遠足に行く小学生並みに興奮したせいで寝る時間が遅くなってしまった......ねっむ、朝飯食えなかったなぁ......

 俺はボケた脳を起こすように自動販売機で炭酸ジュースを買い、すぐに開封して口の中に突っ込んだ。

 この時の俺はボケていた。

 「ぬうぅぅぅぅぅぅっぁぁぁぁああ!」

 マジナニコレ、めっちゃぎゅるぎゅるするぅぅぅ!

 腹に何も入れていないのに炭酸ジュースを胃袋に 直接攻撃ダイレクトアタックしてはそうなるのも当然だ。

 この時俺は誓った。もう朝に炭酸ジュースは買わない。と......
 しかし反省も時すでに遅し、その後数分間、自動販売機に手をついて「ぐああぁぁぁ・・・」と呻いていた。

 


 二日目朝からいろいろあったが、教室に入る。

 すると昨日の勇者......天ノ川が前に出て大声で話していた。

 俺は寝るふりをして聞き耳を立てる。

 「誰か、昨日考えたうえで、探索者になるという人はいないか!」

 と呼びかけていた。朝っぱらから元気なことだ。
 ちなみに俺が一緒に探索者にしようと思わない理由は単純。陽キャが苦手だからだ。

 小さくため息をつきながら聞き耳を立てていると、ある女子が彼のもとへ向かう。

 「私、探索者になるわ。」

 そう言ったのは昨日覚えた美女の飯倉さん。 

 そこで俺の背筋には強烈な電撃が走った。


 まじかぁぁぁぁぁ、興味あるなら俺が誘えば俺と来てくれたかもしれねぇってことなのかぁぁぁぁ!


 と、昨日の行動を恨む俺。

 そんな頭を抱えとはうずくまる俺とは裏腹に、天ノ川はとてもうれしそうに、

 「おお、ありがとう!これで目標人数そろったよ!」

 とイケメンスマイルをこれでもかと浴びせる。

 その笑顔に見ほれるように食いつく彼のパーティーメンバーの女性陣。

 そして飯倉は髪をかき上げ

 「ふん、感謝なさい。」

 と顔を赤らめながら答えるのだった。

 その反応を見た俺は



    やはり迷宮に青春ラブコメを求めるのはまちがっている。――完――



 と、席で撃沈した。

 イケメンいいよなぁ!陽キャいいなぁ!俺もモテたいなぁ!

 天ノ川に対して呪詛を吐き始めようと思ったところで、担任の先生が入ってきた。

 「席につけ、ホームルームを始める」

 相変わらず怠そうな先生は、これまた癒そうな顔をして一枚目のプリントを配る。

 「今日は部活動紹介の後に、クラスでホームルームだ。」

 一枚目のプリントの部活動一覧を配り終えた先生は、手に持った二枚目のプリント......をいやそうな顔をした後、どこか悪い笑顔を浮かべながら自己紹介カードを自身のかごに戻すと、

 「高校生にもなって自己紹介カードとか使わねぇだろ、各自で喋っておけ。仲良くなんて言わないから問題は起こすなよ」

 と言った後、先生は「体育館で部活動紹介あるから移動」と言いながら教室を出た。

 あの先生、怠惰デスねぇ......と馬鹿な事を考えていると、いつの間にかほとんどの人が移動していて、俺含めた三人の男子だけが教室にいる状況となっていた。。

 一人は前髪を目元まで伸ばした男子......昨日ずっと本読んでたやつか。

 もう一人は窓際でスマホを触っているぽっちゃり男子。

 二人は俺に近づくと、本を持っているほうが開口一番にこう言った。










 「お前もこっち陰キャ側だろう。あんな勇者には内緒で探索者やらねぇか」

  その誘いに対する答えは俺の中で決まっていた。

 「もちろん、よろしく頼むよ。」
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