魔力極振りの迷宮探索

大山 たろう

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一章 入学と探索者

教室

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 チャイムの音が校内に鳴り響く。

 周囲を見渡すと、見知らぬ男女が多種多様な反応を見せていた。
 ある男子は周囲を拒絶するように本を読み
 ある男子は周囲をまとめ上げるようにほかの人と会話をする
 ある女子は男子を値踏みするような視線を送り
 ある女子は周囲の視線を気にしておどおどしていた。

 まあ、学校が始まった反応としては一般的か...
 とりあえず陽キャのやばそうなやつは顔覚えとくか...

 すると、ガララッという音とともに扉が開く。
 入ってきたのは身長180くらいの細身の男性。

 顔がとても眠そうだが、大丈夫だろうか。

 という心配をよそに、その男は話をする。

 「えー、一年間このクラスの担任をする、高坂だ。よろしく。先に言っておくが、俺は怠惰にすごしていたい。だから面倒ごとは極力副担に言ってくれ。以上。次に今日のスケジュールだが入学式だけだ。時間まで待機。質問は?......ないようだな。それじゃ。」

 そう言うと、先生は教室から出て行った。

 なんというか見たまんまの先生だったな......ゆるそうで助かった!

 などと考えていると、大きな声が聞こえた。

 「みんな、聞いてくれ!ぼくは天ノ川 勇気。」
 
 教卓の前に一人の男子が立っていた。あれはさっきの陽キャか。

 「誰か、僕たちと一緒に探索者になってくれる人はいないだろうか?僕たちは明日登録に行くから、明日までに気が向いた人は僕のところに来てほしい!」

 と言うと、彼の友達らしきグループのもとへ戻っていった。
 このクラスには陽キャが多いらしい。なんと居心地の悪いことか。

 入学式になる。

 俺は言われた通り席に座る。

 校長先生は俺たちを気遣ってくれたのか、割と早い段階で話が終わった。

 が、次に来た髪の毛が寂しい教頭先生の話が長かった。
 高校生の自覚を持てだの、犯罪に手を染めるなだの、当たり前のことばかり言ってるくせに話が長い。
 と、うんざりしていると、ちょうど教頭先生の話も終わったようだ。

 次に、在校生挨拶で出てくるのは、生徒会長だった。



 カツ、カツ、カツ。



 小気味いい靴の音を鳴らしながら入ってきた生徒会長は、美しかった。
 先ほどの教頭のせいでぼーっとしていたら、名前を聞きそびれてしまったが、相当噂されているだろう。

 黒髪を腰元まで伸ばしている、胸が小さい以外は完璧超人と言われそうなほどのオーラ。
 その佇まいに、一瞬見ほれてしまった。

 彼女はマイクを近づけ、何も見ないで在校生挨拶を始めた。

 すげえすらすら読むな......

 一度もかむことなく終わった在校生挨拶の次は、新入生挨拶だ。誰が任されているか、毎度毎度知らないんだよな......

 と思っていると、よく知る名前が呼ばれた。

 「在校生代表、天ノ川 勇気君」

 おまえか!美人の先輩の後に、お前がしゃべるのか!

 少しうらやましい気持ちと、勇者に対するいら立ちが綯い交ぜになって、頭を抱えていた。


 気づけば、挨拶も終わり、式を終えるところだった。

 新入生から教室に戻るよう指示が出たので、教室に戻ろうと、会場になっていた体育館を出る。

 その時、会長と目が合った気がしたのは、たぶん気のせいだろう。

 俺は気に入られたなんて思わない人だからな!と思いながら教室に入る。


 全員が戻ってきたのを確認して。先生は「解散。」とだけ言い教室を去った。

 よし、俺も帰って探索者登録しに行くぞ!

 俺はウキウキしながら帰路を急ぐのだった。
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