11 / 48
ライズの趣味
しおりを挟む
「さて、特別授業......というより、模擬戦を見てチェックって感じだったが、どうだっただろうか。質問とかあれば、またいいに来てくれ」
彼はそのまま、研究室へと戻っていった。
「ちょっと! ライズ先生!」
ソフィア先生が走ってくるも、もうすでに姿が見えなくなっているため、とぼとぼと研究室へと向かった。
そして生徒は―――――
「あの先生、何者なのかな?」
「何者もなにも、ライズ先生だろ?」
「そうじゃなくて。一体、ここに来るまで何をしていた人なんだろうって」
「いや、どうして?」
「あれだけ教えるのがうまくて、知識も豊富。それであの装備まで揃えられるって、中途採用で来るレベルの人材じゃないと思うの」
「そう言われたら......確かに」
生徒たちも、何も考えずについていくほど馬鹿ではなかった、ということだ。
「さて。始めるか」
ライズは光魔法を詠唱する。
「我は望む 万里を視る目 全てを視る目 『遠視』」
光属性中級魔法、遠視を発動させ、特にやましい意味はないが、ガイアの部屋を覗き見る。
......特に変わった様子はない。
一応くまなく調べるか。
視界を奥へと移動させる。どうやらガイアは今昼寝をしているようだ。
この魔法の欠点として、どうしても魔法の気配が感じ取れやすい。視線がわかる人はなおさらだ。
「さてさて~」
もう一度言うが、やましい意味はない。
部屋を探すと、何かの痕跡を見つけた。
これは......!
ドンドンドン!
「ライズ先生! いらっしゃいますよね!」
失敗。
この魔法の終了条件は三つ。
一つは術師の任意。
二つ目は視点を飛ばしている先がばれる。
そして最後が、本体が魔法を集中して使える状況ではなくなった場合。
この場合は音で警戒したせいで、本体が集中できなくなったのが原因だ。
こういう継続使用の魔法はあまり慣れていないせいで、初歩的なミスを犯してしまった。
ともあれ、この声はソフィア先生だ。押しが弱いので居留守でいいだろう。
「ライズ先生! 今日はまだ勤務の日ですよ! 出てきてくださーい!」
もはやここにいるのを確信しているようだ。一体何の根拠があってだ。
ともあれ、今日の勤務が終わっていないと言われてしまっては弱い。
あきらめて戸を開けた。
「ライズ先生、やっぱりここでしたか! なんでライズ先生が見本を見せなかったんですか!」
「どうして見せないといけないんですか」
「だって、そのほうが効率が......」
「棒術と、微量の才能しかない俺が、ですか」
「うっ......でも、力があるからこの学園に来たんですよね?」
「いいえ、知識だけです」
「うっ......分かりました、失礼します」
そのままトボトボと帰っていった。
きっと俺が無能と蔑まれてしまうのを防ごう、という筋書きだろう。
ライズはそのまま思考を戻すと、また視線を飛ばして、ガイアの部屋の痕跡を探す。
無防備なガイアの寝顔。その頬をつつきたくなるが、今は視線だけだったことを思い出す。
さて、近づきすぎても怒られる。早速物色を始める。
どうやら、渡している宿題は手を付けていないようだ。
消耗品の一部が最近一気に減っていたようだ。
無口な彼女だが、部屋の中はお人形でいっぱいだ。
やはり、楽しい。こうやって物色するの、めっちゃ楽しい!
これが全財産没収の一回目の理由だったりするが、癖になってしまうので仕方がない。
もっと、もっとぉ......
結局、その日はガイアが寝ぼけながらも夕食を取りに降りて、戻ってくる直前までその行為が続いていた。
彼はそのまま、研究室へと戻っていった。
「ちょっと! ライズ先生!」
ソフィア先生が走ってくるも、もうすでに姿が見えなくなっているため、とぼとぼと研究室へと向かった。
そして生徒は―――――
「あの先生、何者なのかな?」
「何者もなにも、ライズ先生だろ?」
「そうじゃなくて。一体、ここに来るまで何をしていた人なんだろうって」
「いや、どうして?」
「あれだけ教えるのがうまくて、知識も豊富。それであの装備まで揃えられるって、中途採用で来るレベルの人材じゃないと思うの」
「そう言われたら......確かに」
生徒たちも、何も考えずについていくほど馬鹿ではなかった、ということだ。
「さて。始めるか」
ライズは光魔法を詠唱する。
「我は望む 万里を視る目 全てを視る目 『遠視』」
光属性中級魔法、遠視を発動させ、特にやましい意味はないが、ガイアの部屋を覗き見る。
......特に変わった様子はない。
一応くまなく調べるか。
視界を奥へと移動させる。どうやらガイアは今昼寝をしているようだ。
この魔法の欠点として、どうしても魔法の気配が感じ取れやすい。視線がわかる人はなおさらだ。
「さてさて~」
もう一度言うが、やましい意味はない。
部屋を探すと、何かの痕跡を見つけた。
これは......!
ドンドンドン!
「ライズ先生! いらっしゃいますよね!」
失敗。
この魔法の終了条件は三つ。
一つは術師の任意。
二つ目は視点を飛ばしている先がばれる。
そして最後が、本体が魔法を集中して使える状況ではなくなった場合。
この場合は音で警戒したせいで、本体が集中できなくなったのが原因だ。
こういう継続使用の魔法はあまり慣れていないせいで、初歩的なミスを犯してしまった。
ともあれ、この声はソフィア先生だ。押しが弱いので居留守でいいだろう。
「ライズ先生! 今日はまだ勤務の日ですよ! 出てきてくださーい!」
もはやここにいるのを確信しているようだ。一体何の根拠があってだ。
ともあれ、今日の勤務が終わっていないと言われてしまっては弱い。
あきらめて戸を開けた。
「ライズ先生、やっぱりここでしたか! なんでライズ先生が見本を見せなかったんですか!」
「どうして見せないといけないんですか」
「だって、そのほうが効率が......」
「棒術と、微量の才能しかない俺が、ですか」
「うっ......でも、力があるからこの学園に来たんですよね?」
「いいえ、知識だけです」
「うっ......分かりました、失礼します」
そのままトボトボと帰っていった。
きっと俺が無能と蔑まれてしまうのを防ごう、という筋書きだろう。
ライズはそのまま思考を戻すと、また視線を飛ばして、ガイアの部屋の痕跡を探す。
無防備なガイアの寝顔。その頬をつつきたくなるが、今は視線だけだったことを思い出す。
さて、近づきすぎても怒られる。早速物色を始める。
どうやら、渡している宿題は手を付けていないようだ。
消耗品の一部が最近一気に減っていたようだ。
無口な彼女だが、部屋の中はお人形でいっぱいだ。
やはり、楽しい。こうやって物色するの、めっちゃ楽しい!
これが全財産没収の一回目の理由だったりするが、癖になってしまうので仕方がない。
もっと、もっとぉ......
結局、その日はガイアが寝ぼけながらも夕食を取りに降りて、戻ってくる直前までその行為が続いていた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
門番として20年勤めていましたが、不当解雇により国を出ます ~唯一無二の魔獣キラーを追放した祖国は魔獣に蹂躙されているようです~
渡琉兎
ファンタジー
15歳から20年もの間、王都の門番として勤めていたレインズは、国民性もあって自らのスキル魔獣キラーが忌避され続けた結果――不当解雇されてしまう。
最初は途方にくれたものの、すぐに自分を必要としてくれる人を探すべく国を出る決意をする。
そんな折、移住者を探す一人の女性との出会いがレインズの運命を大きく変える事になったのだった。
相棒の獣魔、SSSランクのデンと共に、レインズは海を渡り第二の故郷を探す旅に出る!
※アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、で掲載しています。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件
後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。
転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。
それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。
これから零はどうなってしまうのか........。
お気に入り・感想等よろしくお願いします!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる