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94・パズルゲーム
しおりを挟む「ふむ。ふむむ。こう来ましたか。
それならこうでは?」
「あっ、やっ、そんな……!
そこまで返す!?」
ダンジョン:【エンテの街地下】、
地下五階『各ビデオゲームフロア』―――
そこのパズルゲームフロア。
対戦出来るタイプのパズルゲームで遊んで
いるのは、元女性騎士団の一人、メグさん。
そんな彼女と対戦しているのは俺の眷属の一人、
トール君だ。
時間にして二分あるか無いか。
しかし、二人とも連鎖はすごく……
決まる時は一瞬で決まる。
ギャラリーも数人いて、『あ~……』という
ため息と一緒に声で、その勝負を評価し、
「あぁ、また負けちゃった」
決着がつくと、ダークブラウンの短髪の男の子が、
悔しそうに声を漏らし、
「ふっふっふ。
精進が足らぬよ、少年」
勝者である、丸眼鏡にピンクのショートヘアーの
女性が、その大きな胸を張る。
「トールもよく頑張ったよ。
10連鎖くらいしていなかったか?
それを返すメグさんもすごいですけど……」
俺が後ろから話し掛けると、二人とも振り向き、
「おお! ヒロト殿か!
ご覧になられていたでありますか?」
「ヒロトお兄ちゃん!」
対戦者同士が席を離れると―――
『ちょっとやってみるか』
『じゃあ相手はアタシで』
と、今度は若い男女の冒険者が座り、
「しかしメグさん、結構難しくないですかコレ」
俺の問いに、彼女は眼鏡をかけ直して、
「んー、自分はどちらかと言いますと……
策や作戦を考えたりする方が好きだったん
ですよ。
今回来た5人の中では一番弱いですけど、
座学(勉強)では一番でしたからね」
そこで俺は、例の剣を振るタイプのゲームについて
思い出し、
(■93話・チャンバラゲーム参照)
「あれ?
でも、クラークさんの話だと、地下三階の」
そこまで俺が言った途端、かぶせるようにして、
「ああ、アレですね?
あの剣を使う魔導具。
あれくらいなら自分でも『続き』無しで
クリア出来ますって!」
横にいたトール君はそれを聞いて、
「す、すごい……!
メグお姉ちゃんって、頭いいだけじゃなくて
強いんだ……!」
「んっふっふ。
もっと褒めてもいいのだぞ、少年♪」
両手を腰に付けてドヤ顔する元女性騎士団員。
「意外と言いますか……
騎士団って全員それくらい強いんですか?」
俺の質問に、メグさんは事もなげな表情で
「そりゃあ一般兵はともかく、騎士団に入る
くらいですからね。
特に剣は鍛えられまくりでありまする」
「頼もしいですね。
ここの警備も、これなら安心です」
そう俺が返すと、彼女は片眉を上げて、
「ん~……
それはちょっと認識が甘過ぎまするよ」
失言だったか、と思い俺が顔色を変えると、
「少なくとも接近戦で言えば、最強の冒険者でも
最弱の騎士団の人間に勝てないであります。
自分たちが5人も呼ばれた時は、
エンテの街の裏社会を一掃でもするつもりかと
思いましたでありますよ」
騎士団の強さを理解していたつもりだったけど、
まだまだ甘かった事を痛感する。
そりゃトラブル起きないわけだわ……
「では少年。
甘い物でも補給しに行くとするか♪」
「はいっ!」
俺は二人を見送りながら―――
オーバーキルとも言える警備体制が
敷かれている事に、改めて心から感謝した。
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