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62・どうしてここに
しおりを挟む「よし……じゃあ、この通路の反対側に
作りますね」
翌日、俺は護衛のコマチを連れて―――
クラークさんやミントさん、そしてローラさん
母娘と共に、再度エンテの街・拠点予定の宿屋の
地下へとやって来ていた。
「は、はい。お願いします」
妙齢の女性が頭を下げ、娘のプリムちゃんも
つられてペコリと礼をする。
彼女の要望は、コスプレ喫茶(の厨房)、
それにコンビニとドラッグストアの食材。
確かそれぞれ管理ptを3,000ptくらい
使った気がするが……
背に腹は代えられない、と思っていたら、
配下の魔物であるパトラとコマチから、
『複製は使わないのですか?』
『新設するのではなく、同じ物を作るのでしたら、
少ない管理ptで済みますよ?』
とアドバイスされ、こちら側に魔境の森側の
ダンジョン地上一階部分を、『コピー』させる
運びとなったのである。
なお、こちらの地下一階は魔境の森と同じく
『メダルコーナー』を新設したが……
それもコピーで良かったのではと後悔していると、
『つながっていない場所にダンジョンを
複製するのは無理ですぞ?』
『まったく新しい場所に作るのでしたら、
最初はどうしても新設になっちゃうので』
と言われ、やはりそうそうズルは出来ないかー、
と納得した。
「従業員用とお客様用とでエレベーター分けるか。
それで管理者部屋をローラさん用に……
団体部屋はいずれ従業員を増やした時に」
――――――――――――――――――――――
『ダンジョンを拡張します。
このダンジョンに休憩エリアを設置します。
すでにある休憩エリアをコピーします。
コピーには管理ptを500消費します。
拡張しますか?』
→はい
いいえ
――――――――――――――――――――――
俺は『はい』を選択し―――
――――――――――――――――――――――
『ダンジョンをカスタマイズします。
新たに従業員用エレベータを設置します。
この通路と従業員用エレベーターを
つなげます。
『メダルコーナー』と今の通路を
遮断します。
カスタマイズしますか?』
→はい
いいえ
――――――――――――――――――――――
俺は次々と思い通りにカスタマイズし、
「……よし、これでいいはずです。
それじゃ確認してみましょう」
そして全員で、新たに設置された休憩エリアへ
足を進めた。
「おースゴい!
まんまあのダンジョンの1Fじゃん!」
黒髪黒目・メイド姿の魔物が、そのフロアを
駆け回って見回る。
「『こんびに』や『どらっぐすとあ』も
ちゃんとありましたよ」
「大浴場もだぜ!
これでこの街でもお風呂に入れる……!」
冒険者二人、特に女性が喜びを体いっぱいに
表現する。
「そういえばヒロト様。
どちらへ行っていたんですか?」
「あ、管理者部屋を確認していました。
あそこも使えるといろいろと便利ですから」
ローラさんの質問に、そちらの場所を指さしながら
答える。
正確には……
子供には『見せられないよ』的な物を全部
隠すために、真っ先にそちらへ行ったのだが。
そういった物をクローゼットや靴箱などに
全て突っ込んだ後、改めて彼らと合流
したのである。
そして俺はここのダンジョンの管理者部屋の
権限をオールフリーにすると……
全員について来てもらった。
「これは……
ここで店内や店の外まで見られるように
なっているんですか」
「すごい魔道具があるんですね……」
ローラさんとプリムちゃんが、管理者部屋にある
監視カメラの映像を見てうなる。
地下の『メダルコーナー』から各店舗、廊下まで
映っており―――
「団体部屋の中は映ってないねー。
あと大浴場の中も」
「あー、そこまで映すとさすがに問題だから……」
コマチさんの指摘に返すと、『ちっ』と舌打ちが
聞こえたのは気のせいだと思う事にした。
「あら、これ店の入り口……
誰かいるみたいですけど」
この宿屋の女主人の言葉に、思わずその映像に
視線を向ける。
「??
このお婆ちゃん、誰でしょうか?」
見るとそこには、五十才くらいに見える
女性がウロウロしていて、
「あれ? もしかして」
「雑貨屋の婆さんじゃねーか。
何でここに?」
冒険者の男女の言葉に、彼らの知り合いらしいと
いう事がわかる。
「親しい人でしたら、別に会っても」
するとクラークさんとミントさんは複雑な
表情になって、
「親しい……というほどの仲じゃないけど」
「仕事上の付き合いくらいしか無いし……
う~ん……」
何というか、微妙な関係のようだな。
仕事以外では会いたくない、というオーラが
彼らの体から上っているのがわかる。
「ま、まあ……
いつまでも店の前でウロつかれるのも。
何をしているのかだけでも聞いて頂けると
助かるのですが」
「そうですね。
んじゃ、ちょっと聞いてみます」
そこで冒険者二人組が地上、外に出て―――
話を聞く事になった。
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