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◇本編Ⅰ◇
004 幸せが故の悩み①
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◆◇ ◆◆◇ ◆
「……セフィロト……っ」
「……っ」
夜の帳が下りる頃、大柄な男が四、五人は優に乗れる頑丈なベッドの上で、自身よりも二回り以上も大きい褐色の逞しい身体を持つオリバーにきつく抱きしめられ、セフィロトは小さく声をあげた。
セフィロトは細身ではあるものの、比較的長身な者が多い妖精族としては珍しく、小柄かつ華奢な体躯をしている。
下手をしたら、平均的な体格の女性よりも小さい可能性さえある。
獣人は妖精族よりも縦にも横にも大きいので、こうして抱き合うと、かなりの体格差があるのを否応なく突き付けられる。
鍛えようとしても、ろくに筋肉のつかない己の肉体と比べると、差は歴然だった。
セフィロトは己の足をゆっくりと広げて、オリバーの屈強な体格に見合った太くて長い硬い高ぶりが入って来るのを待つ。
高価な香油を惜しみなく使い、念入りに前戯を施してくれたこともあって、苦しくはない。セフィロトの蕾は、オリバーの熱塊をゆっくりと飲み込んでいく。
「……っ、セフィロト。動いても、良いか?」
「……うん」
遠慮がちに尋ねられ、セフィロトは頷きながらオリバーの大きな背中へと腕を回した。
「……っあ、っ、ん……っ、ふっ」
ゆっくりと奥を穿たれ、セフィロトは声をあげる。
手加減をしてくれているのだろうが、筋骨隆々を絵に描いたような巨躯に違わず、オリバーの動きはいつも力強く激しい。
ギシギシと、ベットが壊れそうな程に大きく軋んだ。
「オリバー……っ」
欲望のままに激しく奥を穿たれ、セフィロトはオリバーの背に爪を立てながら足を絡め、愛しい男の名前を呼び絶頂した。
(……きょ、今日も激しかった……)
夜の営みが終わり、セフィロトはしばらくの間気絶をしてしまっていたらしい。セフィロトは、隣で静かに寝息をたてるオリバーを確認した後、高い天井を見上げながら大きく「ふぅ」と静かに息を吐いた。
セフィロトが意識を失った後で、オリバーが後始末をしてくれたのだろう。
汗と体液は綺麗に拭き取られており、シーツも新しいものに変えられていた。
恋人として付き合う様になってから七年――閨を共にするようになって六年と少し経つが、オリバーからの愛情が目減りする気配は一切ない。それどころか、むしろ年々執着も愛情も恐ろしい勢いで強くなっているのが分かる。
そう、今まさに身を持って味わっているのだから。
淡白だったり、仕事が忙しくて中々そういった機会を持てないような者からしてみれば、セフィロトの悩みは贅沢なものなのだろう。実際、オリバーは深くセフィロトのことを愛してくれているし、普段の激しい性行為だって、オリバーの想いの結晶であることは間違いない。
(でもさぁ。オリバー、僕と付き合うまでまっさらな童貞だったから、最初の頃は可愛いなぁって思ってたけど、まさか七年近くもずーっと全力全開で求められるとは思わないじゃん……?)
若さで何とかなるのでは? と思うかもしれないが、セフィロトは、ユニコーンと言う種族の性質上、外見年齢は十代の終わり頃で止まってしまってはいるものの、実年齢はもうすぐ六十歳に届くという年齢だ。
ユニコーンは一応【不老】ではあるが、この【不老】実は完全な【不老】ではない。
変わらないのはあくまで外見だけであり、肉体的な機能が一切衰えないという訳ではないのだ。
視力、聴覚などの感覚、そして体力は年を重ねるごとに徐々にではあるが老化していく。
ユニコーンの寿命自体が、妖精族にしては短命である百二十年から百五十年ほどなので、ユニコーンで六十歳となると、人間で言う場合の四十代の半ばとかそのくらいの年齢になるだろうか。
あまり言いたくはないが、見た目がたとえ少女のようだったとしても、セフィロトは実際にはもう立派な【おじさん】に片足を突っ込んでいるといっても過言では無かった。
そんなセフィロトから見て、オリバーの性行為の際の一挙手一投足は、可愛らしくて愛おしいと思うのと同時に――正直、辛いものがある。
(さすがに一晩で平均十二回の射精は性豪すぎるでしょ……)
セフィロトは、オリバー以外とはザインとしか性的な行為をしたことがないので、一般的な基準を予測できるほどの経験はないが、セフィロトも性別は男。自分に置き換えてみれば、十二回が異常であることくらいは分かる。
求められるのは決して嫌じゃないのだが……。いくらなんでも、限度というものがあった。
一応、セフィロトも策を講じて見たことはある。
下品な話だが、オリバーが十二回出せば満足できるというなら、色々とやりようはあった。
手でしたり口でしたり……とにかく、満足させてしまえば良いのだ。そうすれば、挿入行為の回数は減り、セフィロトの身体への負担も減るだろうと、セフィロトはそう高を括っていた。
だが……ことは、そう簡単にはいかなかった。
何故なら、オリバーがセフィロトの想像以上に、色々と拗らせていた男だったからだ。
「……セフィロト……っ」
「……っ」
夜の帳が下りる頃、大柄な男が四、五人は優に乗れる頑丈なベッドの上で、自身よりも二回り以上も大きい褐色の逞しい身体を持つオリバーにきつく抱きしめられ、セフィロトは小さく声をあげた。
セフィロトは細身ではあるものの、比較的長身な者が多い妖精族としては珍しく、小柄かつ華奢な体躯をしている。
下手をしたら、平均的な体格の女性よりも小さい可能性さえある。
獣人は妖精族よりも縦にも横にも大きいので、こうして抱き合うと、かなりの体格差があるのを否応なく突き付けられる。
鍛えようとしても、ろくに筋肉のつかない己の肉体と比べると、差は歴然だった。
セフィロトは己の足をゆっくりと広げて、オリバーの屈強な体格に見合った太くて長い硬い高ぶりが入って来るのを待つ。
高価な香油を惜しみなく使い、念入りに前戯を施してくれたこともあって、苦しくはない。セフィロトの蕾は、オリバーの熱塊をゆっくりと飲み込んでいく。
「……っ、セフィロト。動いても、良いか?」
「……うん」
遠慮がちに尋ねられ、セフィロトは頷きながらオリバーの大きな背中へと腕を回した。
「……っあ、っ、ん……っ、ふっ」
ゆっくりと奥を穿たれ、セフィロトは声をあげる。
手加減をしてくれているのだろうが、筋骨隆々を絵に描いたような巨躯に違わず、オリバーの動きはいつも力強く激しい。
ギシギシと、ベットが壊れそうな程に大きく軋んだ。
「オリバー……っ」
欲望のままに激しく奥を穿たれ、セフィロトはオリバーの背に爪を立てながら足を絡め、愛しい男の名前を呼び絶頂した。
(……きょ、今日も激しかった……)
夜の営みが終わり、セフィロトはしばらくの間気絶をしてしまっていたらしい。セフィロトは、隣で静かに寝息をたてるオリバーを確認した後、高い天井を見上げながら大きく「ふぅ」と静かに息を吐いた。
セフィロトが意識を失った後で、オリバーが後始末をしてくれたのだろう。
汗と体液は綺麗に拭き取られており、シーツも新しいものに変えられていた。
恋人として付き合う様になってから七年――閨を共にするようになって六年と少し経つが、オリバーからの愛情が目減りする気配は一切ない。それどころか、むしろ年々執着も愛情も恐ろしい勢いで強くなっているのが分かる。
そう、今まさに身を持って味わっているのだから。
淡白だったり、仕事が忙しくて中々そういった機会を持てないような者からしてみれば、セフィロトの悩みは贅沢なものなのだろう。実際、オリバーは深くセフィロトのことを愛してくれているし、普段の激しい性行為だって、オリバーの想いの結晶であることは間違いない。
(でもさぁ。オリバー、僕と付き合うまでまっさらな童貞だったから、最初の頃は可愛いなぁって思ってたけど、まさか七年近くもずーっと全力全開で求められるとは思わないじゃん……?)
若さで何とかなるのでは? と思うかもしれないが、セフィロトは、ユニコーンと言う種族の性質上、外見年齢は十代の終わり頃で止まってしまってはいるものの、実年齢はもうすぐ六十歳に届くという年齢だ。
ユニコーンは一応【不老】ではあるが、この【不老】実は完全な【不老】ではない。
変わらないのはあくまで外見だけであり、肉体的な機能が一切衰えないという訳ではないのだ。
視力、聴覚などの感覚、そして体力は年を重ねるごとに徐々にではあるが老化していく。
ユニコーンの寿命自体が、妖精族にしては短命である百二十年から百五十年ほどなので、ユニコーンで六十歳となると、人間で言う場合の四十代の半ばとかそのくらいの年齢になるだろうか。
あまり言いたくはないが、見た目がたとえ少女のようだったとしても、セフィロトは実際にはもう立派な【おじさん】に片足を突っ込んでいるといっても過言では無かった。
そんなセフィロトから見て、オリバーの性行為の際の一挙手一投足は、可愛らしくて愛おしいと思うのと同時に――正直、辛いものがある。
(さすがに一晩で平均十二回の射精は性豪すぎるでしょ……)
セフィロトは、オリバー以外とはザインとしか性的な行為をしたことがないので、一般的な基準を予測できるほどの経験はないが、セフィロトも性別は男。自分に置き換えてみれば、十二回が異常であることくらいは分かる。
求められるのは決して嫌じゃないのだが……。いくらなんでも、限度というものがあった。
一応、セフィロトも策を講じて見たことはある。
下品な話だが、オリバーが十二回出せば満足できるというなら、色々とやりようはあった。
手でしたり口でしたり……とにかく、満足させてしまえば良いのだ。そうすれば、挿入行為の回数は減り、セフィロトの身体への負担も減るだろうと、セフィロトはそう高を括っていた。
だが……ことは、そう簡単にはいかなかった。
何故なら、オリバーがセフィロトの想像以上に、色々と拗らせていた男だったからだ。
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