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●番外編
番外編:ココの為に密かに将軍が頑張ったり、ココが夫に惚れ直す話⑤
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後で聞いた話だけれど、あのアイスバーグさんは、亡くなったテオドシウス様のお母様のお兄様だそうだ。
僕との関係を反対していたのは、テオドシウス様が国の要職であるという理由が大きかった人が多い中、あの人だけは多分、テオドシウス様が女性と結婚して温かい家庭を築く事を望んでいて反対していたんだろう。
テオドシウス様のお母様をとても可愛がっていて、テオドシウス様も幼い頃は世話になっていたそうだ。
色々と思う所は今もあるみたいだけれど、あの人はもう、僕とテオドシウス様の関係を反対する事は無いと思う。
だって、最後に僕たちを見た目は、とても優しかったから。
(テオドシウス様も多分、分かってるんだろうけどね)
何より、あの人がいたからユージーンを引き取れたと思えば、僕はそれこそ感謝しかない。
「テオドシウス様、ありがとね」
寝台で抱き合いながら、僕は今日のユージーンのお礼をテオに伝えた。
ユージーンはツァーリ家の新築の馬小屋で生活する事になり、その世話は僕がしても良いという事になった。
いくら僕が可愛いからって、全く何もさせないのはココが可哀想だろう、ってアシュリーが言ってくれたらしい。
本当にアシュリーには感謝しかない。
出来ればもう少し何か出来ればよいと思ってるんだけど、今一度に言うとテオドシウス様が拗ねてしまうから小出しにしていくつもりだ。
「……ココに喜んでもらえて嬉しいが、そんなに喜ばれるとユージーンにも嫉妬してしまいそうだな」
「……ははは、馬だよ?」
本当に嫉妬深いんだよね、テオドシウス様って。
何せ、僕がいつの間にかアシュリーに対して様付けも敬語もやめていたことに対しても、しばらく煩かったんだから。
本音を言うと、テオドシウス様と結婚する際、僕は色々な事を諦めないといけないのだとそう思っていた。
僕に何かあると、テオドシウス様が狂う。
そう周囲からは言われていたし、実際、テオドシウス様は伴侶となった僕に何かあれば冷静でいられない、と普段から言っていたから、多分その状態になってしまえば本当に起こることだと思う。
ただ、小さい頃から、動物と過ごす時間は僕にとって癒しであり生き甲斐でもあった。
両親からは愛されていたけれど、兄弟は僕の事を疎んでいたし、兄弟の手前、両親も僕だけに構うという事は出来なくて、僕は孤独な時間を動物たちと遊ぶことで穏やかな精神を保っていた。
クロス王国で馬丁の仕事に就くことが出来たのも、そういう部分も大きかった。
勿論、そんな特性がなくても、ジュリアス様は違う仕事をくれていただろうけれど、僕は馬丁の仕事が本当に好きだったんだ。
それが、帝国に移り住んだ途端に動物との触れ合いを控えるよう言われ、大好きな馬に関しては落馬の恐れや、蹴られる可能性があるとかで駄目だって言うんだから、色々と不満も蓄積するだろう。
言い方はあれだが、僕はかなり限界まで我慢をしていたんだと思う。
だから、ユージーンの事を思い出した時に号泣してしまったんだ。
「俺は、君の事を守ってやりたいと思ってはいるが、だからと言って君を下に見ているとか、我慢をさせたいわけじゃないんだ。落馬や事故については怖くないと言えば嘘になるが、今まで君は馬丁の仕事をきちんとこなしていた。俺にも帝国にも、君の自由を奪う権限はない。さすがに馬丁だった頃のように、という訳にはいかなくても、君がやりたいことは叶えてやりたいとは思っていた」
(だから、今回皇帝陛下に頼んでくれたんだ)
実を言うと、今回の件は皇帝陛下も一枚噛んでくれたらしい。
アイスバーグ様も、皇帝陛下の頼みだから聞いてくれたんだろう、とテオドシウス様は言うけれど、そこはどうかなって僕は思うけどね。
あの人は多分、そうでなくても協力してくれた気もするから。
「俺はココに会えたから幸せなんだ。……だから、君の為なら何でもする。それがどんなことであっても」
僕はもう、テオドシウス様の愛の言葉を大げさだな、とは思わない。
テオドシウス様にとっての僕は、他の何物にも代えがたい存在なのだと、この身を以て知っているから。
この僕にはとても優しい旦那様が、僕を守る為なら一つの国くらい滅ぼしたっていいと思っているくらい、本当は怖い人だというのも僕は気づいている。
テオドシウス様は、僕が思っているよりもずっと強くて、そしてこの帝国において重要な人材なのだ。だから、周囲の人は僕をどうにかしようとしていたんだろう。
正直、かなりとんでもない人の所に嫁いでしまったのだとは、今は思う。
でも、僕は年老いてから、誰かに今までの人生についてどうだったかと聞かれたら絶対こう答える。
「馬丁の僕が敵国将軍のお嫁さんになって幸せになった話する?」ってね。
僕は今、とても幸せです。
★おしまい★
僕との関係を反対していたのは、テオドシウス様が国の要職であるという理由が大きかった人が多い中、あの人だけは多分、テオドシウス様が女性と結婚して温かい家庭を築く事を望んでいて反対していたんだろう。
テオドシウス様のお母様をとても可愛がっていて、テオドシウス様も幼い頃は世話になっていたそうだ。
色々と思う所は今もあるみたいだけれど、あの人はもう、僕とテオドシウス様の関係を反対する事は無いと思う。
だって、最後に僕たちを見た目は、とても優しかったから。
(テオドシウス様も多分、分かってるんだろうけどね)
何より、あの人がいたからユージーンを引き取れたと思えば、僕はそれこそ感謝しかない。
「テオドシウス様、ありがとね」
寝台で抱き合いながら、僕は今日のユージーンのお礼をテオに伝えた。
ユージーンはツァーリ家の新築の馬小屋で生活する事になり、その世話は僕がしても良いという事になった。
いくら僕が可愛いからって、全く何もさせないのはココが可哀想だろう、ってアシュリーが言ってくれたらしい。
本当にアシュリーには感謝しかない。
出来ればもう少し何か出来ればよいと思ってるんだけど、今一度に言うとテオドシウス様が拗ねてしまうから小出しにしていくつもりだ。
「……ココに喜んでもらえて嬉しいが、そんなに喜ばれるとユージーンにも嫉妬してしまいそうだな」
「……ははは、馬だよ?」
本当に嫉妬深いんだよね、テオドシウス様って。
何せ、僕がいつの間にかアシュリーに対して様付けも敬語もやめていたことに対しても、しばらく煩かったんだから。
本音を言うと、テオドシウス様と結婚する際、僕は色々な事を諦めないといけないのだとそう思っていた。
僕に何かあると、テオドシウス様が狂う。
そう周囲からは言われていたし、実際、テオドシウス様は伴侶となった僕に何かあれば冷静でいられない、と普段から言っていたから、多分その状態になってしまえば本当に起こることだと思う。
ただ、小さい頃から、動物と過ごす時間は僕にとって癒しであり生き甲斐でもあった。
両親からは愛されていたけれど、兄弟は僕の事を疎んでいたし、兄弟の手前、両親も僕だけに構うという事は出来なくて、僕は孤独な時間を動物たちと遊ぶことで穏やかな精神を保っていた。
クロス王国で馬丁の仕事に就くことが出来たのも、そういう部分も大きかった。
勿論、そんな特性がなくても、ジュリアス様は違う仕事をくれていただろうけれど、僕は馬丁の仕事が本当に好きだったんだ。
それが、帝国に移り住んだ途端に動物との触れ合いを控えるよう言われ、大好きな馬に関しては落馬の恐れや、蹴られる可能性があるとかで駄目だって言うんだから、色々と不満も蓄積するだろう。
言い方はあれだが、僕はかなり限界まで我慢をしていたんだと思う。
だから、ユージーンの事を思い出した時に号泣してしまったんだ。
「俺は、君の事を守ってやりたいと思ってはいるが、だからと言って君を下に見ているとか、我慢をさせたいわけじゃないんだ。落馬や事故については怖くないと言えば嘘になるが、今まで君は馬丁の仕事をきちんとこなしていた。俺にも帝国にも、君の自由を奪う権限はない。さすがに馬丁だった頃のように、という訳にはいかなくても、君がやりたいことは叶えてやりたいとは思っていた」
(だから、今回皇帝陛下に頼んでくれたんだ)
実を言うと、今回の件は皇帝陛下も一枚噛んでくれたらしい。
アイスバーグ様も、皇帝陛下の頼みだから聞いてくれたんだろう、とテオドシウス様は言うけれど、そこはどうかなって僕は思うけどね。
あの人は多分、そうでなくても協力してくれた気もするから。
「俺はココに会えたから幸せなんだ。……だから、君の為なら何でもする。それがどんなことであっても」
僕はもう、テオドシウス様の愛の言葉を大げさだな、とは思わない。
テオドシウス様にとっての僕は、他の何物にも代えがたい存在なのだと、この身を以て知っているから。
この僕にはとても優しい旦那様が、僕を守る為なら一つの国くらい滅ぼしたっていいと思っているくらい、本当は怖い人だというのも僕は気づいている。
テオドシウス様は、僕が思っているよりもずっと強くて、そしてこの帝国において重要な人材なのだ。だから、周囲の人は僕をどうにかしようとしていたんだろう。
正直、かなりとんでもない人の所に嫁いでしまったのだとは、今は思う。
でも、僕は年老いてから、誰かに今までの人生についてどうだったかと聞かれたら絶対こう答える。
「馬丁の僕が敵国将軍のお嫁さんになって幸せになった話する?」ってね。
僕は今、とても幸せです。
★おしまい★
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