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●本編(攻視点)

君をこれからずっと守り続ける②

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 それからの私たちは何度もデートを重ねた。
 
「すごく素敵な話でしたね。僕、あんなに歌の上手な方と初めて出会いました!」
 
 帝都で一番と言われている歌劇を見に行った日、ココはとても嬉しそうに微笑んでくれた。
 クロス王国では、貴族よりも馬丁としての生活も多かった為、華やかな世界には縁が無かったのだと、ココは言った。
 
「……っ! 美味しいです……!」
 
 高級店では無いが、平民たちの間でも美味しいと評判のディナーに連れて行けば、ココは目をきらきらと輝かせた。
 
 その姿は筆舌に尽くしがたく可愛かった。
 
 そうやってゆっくりと距離が縮まっているのが分かり、私は安堵すると同時、アシュリーに生まれて初めて感謝をした。
 
 私だけではココとこんな風に過ごすまでにもっと時間がかかったに違いない。
 
 
 
 
 
 問題が起きたのは、デートをするようになって約二週間経過した頃の事だった。
 
 その日も、私とココは新作の歌劇を鑑賞し、帝都一人気があるというレストランでディナーを食べていた。
 
「テオドシウス様、たまには外に出たいです」
 
 美味しそうに食べるココを見て幸せだった気持ちは、その一言で四散した。
 
 ココからしてみれば、我慢できないくらい退屈な日常だったのだろう。
 私は出来る限りココと過ごしてはいるが、職務上ずっと居る事は出来ないし、忙しいときは構ってやれないのは事実だ。
 
 寂しい思いもさせてしまっているのだから、広い心で許可するべきなんだろう。
 
 しかし、私にはどうしてもココの望みに頷くことは出来なかった。
 
「ココの事が心配だ。確かに屋敷は騎士団の連中の住居に囲まれてはいるが絶対ではないし、他の貴族たちが君にちょっかいをかけるやもしれない。変な輩が君の事を気にいるのが、私には許しがたい……っ」
 
 幸いにも、私がそう言えば、ココは「分かりました」と引いてはくれたが、その表情を見れば完全に納得できていない事は分かる。
 
 (私は心が狭すぎるのだろうか……)
 
 今まで一度もこんな気持ちになったことのない私は、どうして良いか分からなかったが、一度不安になった気持ちは中々浮上しなかった。
 
 そして、離れてしまえばもしかするとココがこっそりと外出してしまうのではないかと考えるようになった私は、アシュリーや部下が止めるのも聞かず、仕事も自身の屋敷で行うようになった。
 
 本当は、現場にて指示をしなければいけない事もあったが、緊急を要しない事や、他の人間でも代わりを務められる者がいるのであれば、すべて私以外の代役を立てた。
 
「いい加減にしろ! お前は子供か!」
 
 アシュリーを筆頭に、部下たちも私を説得しようと試みたが、私は頑として首を縦に振らなかった。
 
 その後。
 
 結局、ココにアシュリーや部下が泣きつき、今後はココを職場に連れていく許可をもぎ取れた事で収束を迎えた。
 
 ……さすがに私もやりすぎたと反省はしているんだが。
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