一度目の人生で地獄を見た俺! 二度目のポメガバースな箱庭世界で今度こそハッピーライフを目指します!~でも……ポメガバースって何?~

宮沢ましゅまろ

文字の大きさ
上 下
7 / 10
◆chapter1◆幼少時代編

パパの親友の子供①

しおりを挟む
 お皿の上のご飯を綺麗に平らげた後、俺はお気に入りの赤いボールを口にくわえながら、広い中庭を走っていた。お腹が膨れたので、次は運動をしてストレスを発散させる作戦だ。今日の遊び相手は、かなり遅まきながらやっと起きて来たアメジスト兄上である。

 顔のパーツは双子だからアズール兄上にそっくりで、肩までの金髪に青い目というのも一緒だけど、アズール兄上が知的で穏やかそうな雰囲気に対して、アメジスト兄上はちょっとワイルドな感じだ。体つきもちょっとだけアメジスト兄上の方が大きい。

 アズール兄上は、この後に魔都で買うものがあるとのことで馬車で出かけて行った。パパは力加減がへたくそでボール遊びには向いていないので、今回はパスしてもらった。前に遠くにビールを投げすぎて、見つからなくて大変だったのだ。

 とりあえず、今までの経験上、大抵の場合はボールでニ、三分遊べば満足して人型に戻ることが出来る筈だ。

 さすがにそろそろ人権と言うか自由に動いて喋る権利を取り戻したい。気合で意思疎通をするのにも限界があるし、何よりポメの姿だとあまり遠くに行ったりすることは許されていない。

 実は前に外で遊んでいた際に一度持って帰ら……連れ去られかけたことがあり、それ以降ポメになってしまった場合は、城の外には出てはいけないルールになっていた。

 まぁ、その魔族には誘拐しようという悪意はなかったんだけどね。

 城の外にいたから、野良の魔族だと思われていたみたい。「可愛くて珍しい従魔だ!」ってはしゃいでいたし。俺と同い年くらいの子供の魔族だったからお咎めは無かったんだけど、結構な騒ぎになったのだ。

(振り返ってみると、俺、地味に色々なトラブルを起こしてるんだよなー、周りの魔族がなんだかんだで良い魔族ばかりだったから今のところ問題にはなってないけど……)

 ただ、気を付けていても、残念なことにポメ化するとすぐに意識がどこかに行ってしまうので、難しいんだよね。うーん。もう少し大人になったら変わるのかなぁ。

 今日は午後から、パパの昔からの親しい友達が三人も遊びに来ることになっていて俺もご挨拶をする予定だ。しかも、今回俺と同い年くらいの子連れて来るらしい。その話を聞いて、なおさらそれまでには戻りたくなった。

 友達を作りたいんだけど、パパや兄上たちの監視の目が厳しい上、審美眼的なのもかなり厳しいので、その辺りの魔族だと中々お眼鏡に叶わないのだ。でも、今回に関してはパパと親しい魔族ならそれなりに力のある魔族だろうし、余程の事がない限りパパたちも文句は言わないんじゃないかなぁ、なんて。

 だから、もしかすると対等な友人としてこれから仲良くやっていけるかも……! と期待していたりする。

 もちろん、相性とか性格的な面が合わなくて……という可能性はあるけどね。俺は誰ともやっていけるタイプだけど、相手がそうとは限らないし。嫌われるようなことはしないようには気を付けるけどね。

「わん!(お願いします、兄上!)」
「……おう」

 ボールをぽてっとアメジスト兄上の足元に置いて元気よく吠えると、アメジスト兄上が嬉しそうにボールを手に取った。アメジスト兄上は俺を撫でてもふるよりも、こういう外で一緒に遊ぶ方が好きみたいだ。それに、いつも全力で遊んでくれるので、ボールの取り甲斐がある。

「よし、シオン! 取ってこい!」

 期待からきらきらした目で見上げると、張り切ったアメジスト兄上が力いっぱい遠くに投げてくれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

捨て猫はエリート騎士に溺愛される

135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。 目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。 お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。 京也は総受け。

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺

るい
BL
 国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

囚われた元王は逃げ出せない

スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた そうあの日までは 忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに なんで俺にこんな事を 「国王でないならもう俺のものだ」 「僕をあなたの側にずっといさせて」 「君のいない人生は生きられない」 「私の国の王妃にならないか」 いやいや、みんな何いってんの?

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目

カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

スマホゲームの中にトリップした?!

ナポ
BL
階段を踏み外すとそこはベットの上だった。 あれ?でもここって…? ※Rシーンはいります。 頭を空っぽにしてご覧ください!

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

処理中です...