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◆chapter1◆幼少時代編
パパの親友の子供①
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お皿の上のご飯を綺麗に平らげた後、俺はお気に入りの赤いボールを口にくわえながら、広い中庭を走っていた。お腹が膨れたので、次は運動をしてストレスを発散させる作戦だ。今日の遊び相手は、かなり遅まきながらやっと起きて来たアメジスト兄上である。
顔のパーツは双子だからアズール兄上にそっくりで、肩までの金髪に青い目というのも一緒だけど、アズール兄上が知的で穏やかそうな雰囲気に対して、アメジスト兄上はちょっとワイルドな感じだ。体つきもちょっとだけアメジスト兄上の方が大きい。
アズール兄上は、この後に魔都で買うものがあるとのことで馬車で出かけて行った。パパは力加減がへたくそでボール遊びには向いていないので、今回はパスしてもらった。前に遠くにビールを投げすぎて、見つからなくて大変だったのだ。
とりあえず、今までの経験上、大抵の場合はボールでニ、三分遊べば満足して人型に戻ることが出来る筈だ。
さすがにそろそろ人権と言うか自由に動いて喋る権利を取り戻したい。気合で意思疎通をするのにも限界があるし、何よりポメの姿だとあまり遠くに行ったりすることは許されていない。
実は前に外で遊んでいた際に一度持って帰ら……連れ去られかけたことがあり、それ以降ポメになってしまった場合は、城の外には出てはいけないルールになっていた。
まぁ、その魔族には誘拐しようという悪意はなかったんだけどね。
城の外にいたから、野良の魔族だと思われていたみたい。「可愛くて珍しい従魔だ!」ってはしゃいでいたし。俺と同い年くらいの子供の魔族だったからお咎めは無かったんだけど、結構な騒ぎになったのだ。
(振り返ってみると、俺、地味に色々なトラブルを起こしてるんだよなー、周りの魔族がなんだかんだで良い魔族ばかりだったから今のところ問題にはなってないけど……)
ただ、気を付けていても、残念なことにポメ化するとすぐに意識がどこかに行ってしまうので、難しいんだよね。うーん。もう少し大人になったら変わるのかなぁ。
今日は午後から、パパの昔からの親しい友達が三人も遊びに来ることになっていて俺もご挨拶をする予定だ。しかも、今回俺と同い年くらいの子連れて来るらしい。その話を聞いて、なおさらそれまでには戻りたくなった。
友達を作りたいんだけど、パパや兄上たちの監視の目が厳しい上、審美眼的なのもかなり厳しいので、その辺りの魔族だと中々お眼鏡に叶わないのだ。でも、今回に関してはパパと親しい魔族ならそれなりに力のある魔族だろうし、余程の事がない限りパパたちも文句は言わないんじゃないかなぁ、なんて。
だから、もしかすると対等な友人としてこれから仲良くやっていけるかも……! と期待していたりする。
もちろん、相性とか性格的な面が合わなくて……という可能性はあるけどね。俺は誰ともやっていけるタイプだけど、相手がそうとは限らないし。嫌われるようなことはしないようには気を付けるけどね。
「わん!(お願いします、兄上!)」
「……おう」
ボールをぽてっとアメジスト兄上の足元に置いて元気よく吠えると、アメジスト兄上が嬉しそうにボールを手に取った。アメジスト兄上は俺を撫でてもふるよりも、こういう外で一緒に遊ぶ方が好きみたいだ。それに、いつも全力で遊んでくれるので、ボールの取り甲斐がある。
「よし、シオン! 取ってこい!」
期待からきらきらした目で見上げると、張り切ったアメジスト兄上が力いっぱい遠くに投げてくれた。
顔のパーツは双子だからアズール兄上にそっくりで、肩までの金髪に青い目というのも一緒だけど、アズール兄上が知的で穏やかそうな雰囲気に対して、アメジスト兄上はちょっとワイルドな感じだ。体つきもちょっとだけアメジスト兄上の方が大きい。
アズール兄上は、この後に魔都で買うものがあるとのことで馬車で出かけて行った。パパは力加減がへたくそでボール遊びには向いていないので、今回はパスしてもらった。前に遠くにビールを投げすぎて、見つからなくて大変だったのだ。
とりあえず、今までの経験上、大抵の場合はボールでニ、三分遊べば満足して人型に戻ることが出来る筈だ。
さすがにそろそろ人権と言うか自由に動いて喋る権利を取り戻したい。気合で意思疎通をするのにも限界があるし、何よりポメの姿だとあまり遠くに行ったりすることは許されていない。
実は前に外で遊んでいた際に一度持って帰ら……連れ去られかけたことがあり、それ以降ポメになってしまった場合は、城の外には出てはいけないルールになっていた。
まぁ、その魔族には誘拐しようという悪意はなかったんだけどね。
城の外にいたから、野良の魔族だと思われていたみたい。「可愛くて珍しい従魔だ!」ってはしゃいでいたし。俺と同い年くらいの子供の魔族だったからお咎めは無かったんだけど、結構な騒ぎになったのだ。
(振り返ってみると、俺、地味に色々なトラブルを起こしてるんだよなー、周りの魔族がなんだかんだで良い魔族ばかりだったから今のところ問題にはなってないけど……)
ただ、気を付けていても、残念なことにポメ化するとすぐに意識がどこかに行ってしまうので、難しいんだよね。うーん。もう少し大人になったら変わるのかなぁ。
今日は午後から、パパの昔からの親しい友達が三人も遊びに来ることになっていて俺もご挨拶をする予定だ。しかも、今回俺と同い年くらいの子連れて来るらしい。その話を聞いて、なおさらそれまでには戻りたくなった。
友達を作りたいんだけど、パパや兄上たちの監視の目が厳しい上、審美眼的なのもかなり厳しいので、その辺りの魔族だと中々お眼鏡に叶わないのだ。でも、今回に関してはパパと親しい魔族ならそれなりに力のある魔族だろうし、余程の事がない限りパパたちも文句は言わないんじゃないかなぁ、なんて。
だから、もしかすると対等な友人としてこれから仲良くやっていけるかも……! と期待していたりする。
もちろん、相性とか性格的な面が合わなくて……という可能性はあるけどね。俺は誰ともやっていけるタイプだけど、相手がそうとは限らないし。嫌われるようなことはしないようには気を付けるけどね。
「わん!(お願いします、兄上!)」
「……おう」
ボールをぽてっとアメジスト兄上の足元に置いて元気よく吠えると、アメジスト兄上が嬉しそうにボールを手に取った。アメジスト兄上は俺を撫でてもふるよりも、こういう外で一緒に遊ぶ方が好きみたいだ。それに、いつも全力で遊んでくれるので、ボールの取り甲斐がある。
「よし、シオン! 取ってこい!」
期待からきらきらした目で見上げると、張り切ったアメジスト兄上が力いっぱい遠くに投げてくれた。
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