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◆第2章 おまけの神子とにゃんこ(?)とワイルドエロ傭兵
二面性(?)のある男③
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「あの、アーヴィルさん……さすがにそろそろ手を離して貰えると助かります」
このままアーヴィルさんに任せていたら、このままずっと手を握られ続けかねない。俺は、少し悩んだものの結局はストレートに伝えることにした。
このヒトなら、多分怒ったりはしないだろうし……。
「ああ、失礼しました。私としたことが……!」
アーヴィルさんは俺の想像通り、別段不機嫌になることもなく、すぐにはっとしたように慌てた様子で俺の手を開放してくれた。意識してずっと握っていた訳ではなさそうだ。
俺はちょっと、いやかなり安心した。
ないとは思いつつも万が一、何か意味があって握られていたなら……その場合どういう対応が正解なのか? と実際にその状況になったら無茶苦茶迷っただろう。
普通に誤魔化す程度ならともかく、上手くかわせるほどの社交的スキルは俺にはない。
俺にあるはあくまで社会人としての一般的な社交性であって、いわゆる誰とでも仲良くなれる陽キャでもなければ、恋愛含めたかけひきにこなれた大人の男って感じではないのだ。
頑張っても、不快にさせない程度の社交辞令的な対処方法になってしまうだろうが……。
取引とかで最初から無理なことが分かっていての社交辞令ならともかく、これだと相手に社交辞令だってばれてしまうので今回みたいなケースではよろしくないんだよな。
「いくらなんでも馴れ馴れしすぎましたね。申し訳ありません」
「あ、いや、とんでもない」
気にしていませんよ、と俺が笑みを見せるが、アーヴィルさんの表情は浮かない。そのまま沈鬱な表情で深く勢いよく頭を垂れようとするアーヴィルさんに、俺は慌てた。
「ちょっ……そこまで真剣に謝る必要はないですよ……!」
(いや、本当にそれは困る……!)
賓客に公衆の面前で頭を下げさせるって、たとえこっちに非がない話だったとしても、どう考えてもまずい。
これじゃあ見方によってというか事情を良く知らない場合、俺が大切なお客様相手に無理矢理謝罪させているみたいに勘違いされかねない。それこそ国際問題とか種族間の問題とかに発展しかねないやつだろう。
実際、アーヴィルさんの後ろのエルフたちもその行動に若干目を見開いていた。俺に対する嫌悪とか敵意はなく、戸惑ってるって感じではあったけど……でも、こういう反応をするってことはやっぱりアーヴィルさんってすごいヒトなんじゃないか……?
なら、なおさら断固として頭を下げさせるわけには行かないぞ……っ。
これ以上の謝罪は絶対拒否だ。
「ですが……」
「嫌だったとかそういうのじゃないので! 本当に大丈夫です。こちらこそすみません……!」
アーヴィルさんはとにかく俺にしてしまったことを後悔しているようだが、手をちょっと握られた程度、俺が今までこの世界でやられてきた嫌なことと比べるとたいしたことのない行為だ。
アーヴィルさんの場合は異世界人に興味があるみたいだし、比較的最初から好意的だったから……多分テンションがあがっちゃったんだと思うし。
(むしろ、なんか俺の方が勘違い野郎って感じでは……?)
ちょっと無理矢理だが、このままだと話がすすまないので、俺はもう一度「気にしないでください」と満面の笑顔を浮かべた。今までで一番の営業スマイルだ。
(この笑顔で全部誤魔化されてくれないかな……。好意を利用する様でちょっとアレだけどさ……)
まぁ、俺の平凡フェイスの笑顔に効果がどこまであるかは分からないけど。
でも……これで「怒っていませんし、不快でもありませんよ」という俺の気持ちはどちらにせよ多分伝わるだろう。
だが、俺の想像以上にアーヴィルさんには効果があったようだ。
「なんとお優しい……!」
打算的な俺の考えには気づいていないだろうアーヴィルさんは、何故だか酷く感激していた。今まで以上にキラキラと輝くような笑顔を浮かべていて……正直美しすぎて直視ができない。
でも、とりあえずはこれでこの場はなんとかなりそうだな。
俺は、ホッと大きく息を吐いた。
しかし、男でもここまで美人だと、冗談ではなく普通にときめきそうになってしまう。周りに男しかいないので、最近は女性がいないのも普通に受け入れ始めてるからな……俺。
もちろん元の世界に帰ることを諦めたわけじゃないけど、今までだってそんなに女子と頻繁に遊んだりもしなかったしな。いなくても別段困っていないというか……。悲しいことに。
俺、ちょっと危ないかも……?
(いやいやいや、ないないない……!)
俺は慌てて首を左右に振った。
BL漫画やBL小説よろしく、このままこの世界で骨を埋めるフラグすぎるだろ。危ない危ない。
このままアーヴィルさんに任せていたら、このままずっと手を握られ続けかねない。俺は、少し悩んだものの結局はストレートに伝えることにした。
このヒトなら、多分怒ったりはしないだろうし……。
「ああ、失礼しました。私としたことが……!」
アーヴィルさんは俺の想像通り、別段不機嫌になることもなく、すぐにはっとしたように慌てた様子で俺の手を開放してくれた。意識してずっと握っていた訳ではなさそうだ。
俺はちょっと、いやかなり安心した。
ないとは思いつつも万が一、何か意味があって握られていたなら……その場合どういう対応が正解なのか? と実際にその状況になったら無茶苦茶迷っただろう。
普通に誤魔化す程度ならともかく、上手くかわせるほどの社交的スキルは俺にはない。
俺にあるはあくまで社会人としての一般的な社交性であって、いわゆる誰とでも仲良くなれる陽キャでもなければ、恋愛含めたかけひきにこなれた大人の男って感じではないのだ。
頑張っても、不快にさせない程度の社交辞令的な対処方法になってしまうだろうが……。
取引とかで最初から無理なことが分かっていての社交辞令ならともかく、これだと相手に社交辞令だってばれてしまうので今回みたいなケースではよろしくないんだよな。
「いくらなんでも馴れ馴れしすぎましたね。申し訳ありません」
「あ、いや、とんでもない」
気にしていませんよ、と俺が笑みを見せるが、アーヴィルさんの表情は浮かない。そのまま沈鬱な表情で深く勢いよく頭を垂れようとするアーヴィルさんに、俺は慌てた。
「ちょっ……そこまで真剣に謝る必要はないですよ……!」
(いや、本当にそれは困る……!)
賓客に公衆の面前で頭を下げさせるって、たとえこっちに非がない話だったとしても、どう考えてもまずい。
これじゃあ見方によってというか事情を良く知らない場合、俺が大切なお客様相手に無理矢理謝罪させているみたいに勘違いされかねない。それこそ国際問題とか種族間の問題とかに発展しかねないやつだろう。
実際、アーヴィルさんの後ろのエルフたちもその行動に若干目を見開いていた。俺に対する嫌悪とか敵意はなく、戸惑ってるって感じではあったけど……でも、こういう反応をするってことはやっぱりアーヴィルさんってすごいヒトなんじゃないか……?
なら、なおさら断固として頭を下げさせるわけには行かないぞ……っ。
これ以上の謝罪は絶対拒否だ。
「ですが……」
「嫌だったとかそういうのじゃないので! 本当に大丈夫です。こちらこそすみません……!」
アーヴィルさんはとにかく俺にしてしまったことを後悔しているようだが、手をちょっと握られた程度、俺が今までこの世界でやられてきた嫌なことと比べるとたいしたことのない行為だ。
アーヴィルさんの場合は異世界人に興味があるみたいだし、比較的最初から好意的だったから……多分テンションがあがっちゃったんだと思うし。
(むしろ、なんか俺の方が勘違い野郎って感じでは……?)
ちょっと無理矢理だが、このままだと話がすすまないので、俺はもう一度「気にしないでください」と満面の笑顔を浮かべた。今までで一番の営業スマイルだ。
(この笑顔で全部誤魔化されてくれないかな……。好意を利用する様でちょっとアレだけどさ……)
まぁ、俺の平凡フェイスの笑顔に効果がどこまであるかは分からないけど。
でも……これで「怒っていませんし、不快でもありませんよ」という俺の気持ちはどちらにせよ多分伝わるだろう。
だが、俺の想像以上にアーヴィルさんには効果があったようだ。
「なんとお優しい……!」
打算的な俺の考えには気づいていないだろうアーヴィルさんは、何故だか酷く感激していた。今まで以上にキラキラと輝くような笑顔を浮かべていて……正直美しすぎて直視ができない。
でも、とりあえずはこれでこの場はなんとかなりそうだな。
俺は、ホッと大きく息を吐いた。
しかし、男でもここまで美人だと、冗談ではなく普通にときめきそうになってしまう。周りに男しかいないので、最近は女性がいないのも普通に受け入れ始めてるからな……俺。
もちろん元の世界に帰ることを諦めたわけじゃないけど、今までだってそんなに女子と頻繁に遊んだりもしなかったしな。いなくても別段困っていないというか……。悲しいことに。
俺、ちょっと危ないかも……?
(いやいやいや、ないないない……!)
俺は慌てて首を左右に振った。
BL漫画やBL小説よろしく、このままこの世界で骨を埋めるフラグすぎるだろ。危ない危ない。
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