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◆第2章 おまけの神子とにゃんこ(?)とワイルドエロ傭兵
にゃんこ(?)と俺③-2
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神子というのは、確かに使命を果たすまでは、他に代わりがいないので大切にされる筈だ。
けど、じゃあ役目を終えた後は? となると、色々と懸念事項がでてくる。
世界を救ってくれた存在である神子は、普通に考えたら国民からは大人気だろう。
でも、それって他の人から見ると当然面白くない筈だ。だからこそ盟約前の王様やその周りの人たちは神子に対して色々と問題のある行動を起こし、竜族の怒りを買ったんだろうし。
ちょっと変な盟約だけど、そういう盟約なら神子は使命を果たした後も大切にされるという訳だ。
大切にしないと加護をはく奪するってことなんだから。
そこに愛が生まれるかは別だけど。
けど、ちょっとだけ俺はその話に違和感を感じてはいる。
神子を守りたいという竜族の気持ちは理解できるけど、何で過ちを犯したヨルムカトル王国に加護を与えたんだろう。もっと他の国の方が良かったんじゃ? ってね。
(まぁ、それは置いておいて……)
「でも、それが何か俺の話と関係あるの? 話が見えないんだけど」
とりあえず、その違和感自体は、今の俺の問題とは無関係の話だろうと、頭の隅に追いやる。
15歳の少年相手なんだし、相手が俺に殺意とか持っていないなら若干の嫌がらせは我慢できる。
「んー。今の盟約って神子ありきっていうの分かるよねぇ。全部が神子の為に作られているわけ」
「ああ、うん。それは分かるよ。じゃないと、そんな変な盟約にしないだろうし」
なんだかシュナは困った様子だが、俺にはピンとこなかった。
世界を守ってくれる神子が優遇される点については俺も別におかしいとは思わないし。
けど、シュナは俺の言葉に大きく肩を落とした。
「あのねぇ。確かに、あまりに目に余る神子の行為は問題になるし言われはするけど、それはあくまで国内の人間や他国からの不満からなんだよね。それでも、若干の我儘は許されちゃうわけ」
「うん?」
「ここまで言っても分からない? おまけの異世界人がどうにかなって、この世界のヒトが困るかって言ってるの。どこにも国籍のないトオルが消えたとしても、全く問題にならない訳。王城内の人間は神子に手を焼いているけれど、それでも仕事だから我慢できてるの。別に殺されはしないし、殴られてはいないでしょ? まぁ、物は壊してるみたいだけど、王城内の備品で彼らの私物ではないし、多分これからも我慢できる。給金さえ良いなら」
その言葉に、俺は思わず絶句した。
「……っ、確かに、俺が居なくても別に問題ない……?」
シュナの言いたいことがやっとわかった俺は、思わず震えていた。
確かに、おまけでしかない俺がどうなったとしても、ヨルムカトル王国には影響がないし、勿論、俺の存在すらも良く知らない他国から文句を言われる事も無い。
「そう。だから、トオルはちょっと焦った方が良いよ? ラインハルト卿は権力も実力もあるし確かにトオルにとっても良い後見人だけど、神子の旅にもついていくし、地位が高すぎる事で今後上手く動けない事だってあるでしょ? 多分それは分かってたよね?」
「うう……っ」
確かに今の時点で、ラインハルトはかなり多忙だし、俺が味方を探そうと決意したのもそれが理由だった。ただ、もう少し軽く考えていたのは事実だ。何せ、最近伊藤から離れていこうとしている取り巻きや、侍従さんたちを見ていたので、俺も同じだと思っていたのだ。
俺の方がちょっと強く悪意はもたれているけど、他にも伊藤を苦手とする人がいるんだと安心していたのは否めない。
けど、シュナの言う通りなら、彼らが悲惨な末路を辿ることは考えにくいが、俺の場合は違うという事だ。王城の人たちは皆貴族や豪商など、地位のある人たちで不当に居なくなるのは問題があるけど、俺はあらゆる意味で自由すぎるのだから。
更に、俺は他の貴族からは妬まれても居るわけで。
ラインハルトに好意がある人たちは俺がラインハルトに構われているのが気に入らないだろうし、伊藤が俺にそこまでの悪意を持っていなくても、周囲が焚きつければどうなるかは分からない。
「嫉妬は怖いよぉ? 恋愛感情じゃなくて、尊敬でもね。ラインハルト卿、どっちでもとても人気あるしぃ? 神子ならともかく、おまけなんかみたいなのはあってもおかしくないでしょ。まぁ、トオルは自分を過大評価しつつ、危機感が薄いんだよねぇ。人も良すぎるしさぁ。怯えるくらいの何かを感じてるのに、なんでそんなぽーっとしてるかなぁ」
「ぐ……っ、言い返せない」
ズケズケとシュナは言ってくるが、冷静に思い返せば思い返す程、正論過ぎて何も言い返せなかった。
俺の中にあった漠然とした不安が、怯えとなっていたのだろうが、原因をもっと追究するべきだったのだ。ファンタジー作品で、孤児たちが悲惨な末路を迎える設定は、ありふれていた。
俺の場合は、それよりもさらに立場が弱い。
俺は、おまけなんだから。
けど、じゃあ役目を終えた後は? となると、色々と懸念事項がでてくる。
世界を救ってくれた存在である神子は、普通に考えたら国民からは大人気だろう。
でも、それって他の人から見ると当然面白くない筈だ。だからこそ盟約前の王様やその周りの人たちは神子に対して色々と問題のある行動を起こし、竜族の怒りを買ったんだろうし。
ちょっと変な盟約だけど、そういう盟約なら神子は使命を果たした後も大切にされるという訳だ。
大切にしないと加護をはく奪するってことなんだから。
そこに愛が生まれるかは別だけど。
けど、ちょっとだけ俺はその話に違和感を感じてはいる。
神子を守りたいという竜族の気持ちは理解できるけど、何で過ちを犯したヨルムカトル王国に加護を与えたんだろう。もっと他の国の方が良かったんじゃ? ってね。
(まぁ、それは置いておいて……)
「でも、それが何か俺の話と関係あるの? 話が見えないんだけど」
とりあえず、その違和感自体は、今の俺の問題とは無関係の話だろうと、頭の隅に追いやる。
15歳の少年相手なんだし、相手が俺に殺意とか持っていないなら若干の嫌がらせは我慢できる。
「んー。今の盟約って神子ありきっていうの分かるよねぇ。全部が神子の為に作られているわけ」
「ああ、うん。それは分かるよ。じゃないと、そんな変な盟約にしないだろうし」
なんだかシュナは困った様子だが、俺にはピンとこなかった。
世界を守ってくれる神子が優遇される点については俺も別におかしいとは思わないし。
けど、シュナは俺の言葉に大きく肩を落とした。
「あのねぇ。確かに、あまりに目に余る神子の行為は問題になるし言われはするけど、それはあくまで国内の人間や他国からの不満からなんだよね。それでも、若干の我儘は許されちゃうわけ」
「うん?」
「ここまで言っても分からない? おまけの異世界人がどうにかなって、この世界のヒトが困るかって言ってるの。どこにも国籍のないトオルが消えたとしても、全く問題にならない訳。王城内の人間は神子に手を焼いているけれど、それでも仕事だから我慢できてるの。別に殺されはしないし、殴られてはいないでしょ? まぁ、物は壊してるみたいだけど、王城内の備品で彼らの私物ではないし、多分これからも我慢できる。給金さえ良いなら」
その言葉に、俺は思わず絶句した。
「……っ、確かに、俺が居なくても別に問題ない……?」
シュナの言いたいことがやっとわかった俺は、思わず震えていた。
確かに、おまけでしかない俺がどうなったとしても、ヨルムカトル王国には影響がないし、勿論、俺の存在すらも良く知らない他国から文句を言われる事も無い。
「そう。だから、トオルはちょっと焦った方が良いよ? ラインハルト卿は権力も実力もあるし確かにトオルにとっても良い後見人だけど、神子の旅にもついていくし、地位が高すぎる事で今後上手く動けない事だってあるでしょ? 多分それは分かってたよね?」
「うう……っ」
確かに今の時点で、ラインハルトはかなり多忙だし、俺が味方を探そうと決意したのもそれが理由だった。ただ、もう少し軽く考えていたのは事実だ。何せ、最近伊藤から離れていこうとしている取り巻きや、侍従さんたちを見ていたので、俺も同じだと思っていたのだ。
俺の方がちょっと強く悪意はもたれているけど、他にも伊藤を苦手とする人がいるんだと安心していたのは否めない。
けど、シュナの言う通りなら、彼らが悲惨な末路を辿ることは考えにくいが、俺の場合は違うという事だ。王城の人たちは皆貴族や豪商など、地位のある人たちで不当に居なくなるのは問題があるけど、俺はあらゆる意味で自由すぎるのだから。
更に、俺は他の貴族からは妬まれても居るわけで。
ラインハルトに好意がある人たちは俺がラインハルトに構われているのが気に入らないだろうし、伊藤が俺にそこまでの悪意を持っていなくても、周囲が焚きつければどうなるかは分からない。
「嫉妬は怖いよぉ? 恋愛感情じゃなくて、尊敬でもね。ラインハルト卿、どっちでもとても人気あるしぃ? 神子ならともかく、おまけなんかみたいなのはあってもおかしくないでしょ。まぁ、トオルは自分を過大評価しつつ、危機感が薄いんだよねぇ。人も良すぎるしさぁ。怯えるくらいの何かを感じてるのに、なんでそんなぽーっとしてるかなぁ」
「ぐ……っ、言い返せない」
ズケズケとシュナは言ってくるが、冷静に思い返せば思い返す程、正論過ぎて何も言い返せなかった。
俺の中にあった漠然とした不安が、怯えとなっていたのだろうが、原因をもっと追究するべきだったのだ。ファンタジー作品で、孤児たちが悲惨な末路を迎える設定は、ありふれていた。
俺の場合は、それよりもさらに立場が弱い。
俺は、おまけなんだから。
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