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◆第1章 おまけの神子とラインハルト
閑話②-1~ラインハルト視点~
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リチェルの協力があり、私は徹と親しい関係になることが出来た。
勿論、親しいというのは友人の様な関係であり、性的な関係では無いが、徹と過ごす時間はとても楽しかった。
あまりの健全さにリチェルは驚いていたようだったが、一番驚いているのは私自身だ。
だが、決して我慢しているわけではなく、その関係が心地よかった。
時はあっという間に過ぎ、ついに試練の日。
少年の装備品に比べ、明らかに古びた装備品を渡そうとする城の人間には呆れたが、こういった事は既に想定済みだった。
リチェルと私で手配した特別な装備を徹に渡し、そいつらを睨みつける。
外界から勝手に召喚しておいて、気に入らないから虐げるなど、常識的な人間とはとても思えなかった。勿論、貴族連中から圧力をかけられて、受け入れるしかなかった人間も居るだろうが、そういう人間は目を見ればすぐにわかる。
大抵の人間が徹を軽視していることに、私もリチェルも怒り心頭だった。
その上、煩わしいのはもう一人の異世界人の少年だ。
私の気を引こうとしているのか、いちいち纏わりついてくる上、徹への態度が最低だった。
仲良くしろとまでは言わないが、いくら何でも限度があるだろう。
正直言って私から見た少年の印象は最悪以外の何物でもないし、下がる一方だ。
可愛らしい仕草をしているつもりなんだろうが、不愉快以外の何物でもない。
徹が神子だというなら王になる道を目指すつもりだったが、少年が神子であるというならば、王位を継ぐことは無いだろう。
(王太子殿下たちは、あんな子供のどこが良いのやら)
十中八九顔だろうというのは理解できるが、王太子殿下がそのような浅はかな考えで良いのか?
(神子が選ぶ人間が次代の王になるので、王太子と言っても、万が一神子が王を選ぶ前に現陛下が亡くなった場合、混乱を避ける為代わりに指揮を執る立ち位置となるだけではあるが……)
だとしても、神子に選ばれればそのまま王位に就くのだから、本当にその言動に問題がないのかを、よく考えて欲しいものだ。実際、神子が王を選ぶと言っても、大抵は王族や高位貴族から選ばれることが多い。
誰でもなれると言えばなれるのだが、政に興味のない平民がいきなり王になるというのは不可能だし、なりたいとも思わないだろう。
他国の王族と違い、この国の王族には色々と制限が多い上、うまみも殆どないのだ。
いわば神に仕える王なのだから。
魔王が滅びても、国が立ち行かなくなるのであれば意味がない。
もしあの少年が神子なら、性格を矯正する必要がおおいにあるだろう。あれが王妃など、考えただけで鳥肌がたつ。
清廉潔白でなくとも、最低限の常識がある者でなければ王妃になれるわけがない。
外見以外に優れた所の見受けられないあの少年は、私からしてみれば何の価値もない。
容姿の華々しさなど、年を取ればいずれ失われるのだから。
(まぁ、だが……徹はきっと年を取っても愛らしいだろうな)
徹の方が、私にとっては魅力的だった。
神子を守る立場である守護者の私たちは、試練のダンジョンについてはある程度熟知している。
ダンジョンは普段は誰も入ることを許されていないが、過去の神子や神子の守護者たちによって、中身の地図はほぼ8割完成しており、罠のある場所や生息しているモンスターの種類や強さなど、神子を守る為に必要な事柄も、私たち守護者には知識として与えられていた。
このダンジョンは、あくまで神子であるかを判別するためのダンジョンであり、決して神子を危険に晒すための物ではない。
だからこそ、最悪の場合を想定してダンジョンに同行するのは、神子を守るメンバーの中でも攻守共にこなせる者が選ばれており、今回の場合は私とアンヘルとなった。
勿論、親しいというのは友人の様な関係であり、性的な関係では無いが、徹と過ごす時間はとても楽しかった。
あまりの健全さにリチェルは驚いていたようだったが、一番驚いているのは私自身だ。
だが、決して我慢しているわけではなく、その関係が心地よかった。
時はあっという間に過ぎ、ついに試練の日。
少年の装備品に比べ、明らかに古びた装備品を渡そうとする城の人間には呆れたが、こういった事は既に想定済みだった。
リチェルと私で手配した特別な装備を徹に渡し、そいつらを睨みつける。
外界から勝手に召喚しておいて、気に入らないから虐げるなど、常識的な人間とはとても思えなかった。勿論、貴族連中から圧力をかけられて、受け入れるしかなかった人間も居るだろうが、そういう人間は目を見ればすぐにわかる。
大抵の人間が徹を軽視していることに、私もリチェルも怒り心頭だった。
その上、煩わしいのはもう一人の異世界人の少年だ。
私の気を引こうとしているのか、いちいち纏わりついてくる上、徹への態度が最低だった。
仲良くしろとまでは言わないが、いくら何でも限度があるだろう。
正直言って私から見た少年の印象は最悪以外の何物でもないし、下がる一方だ。
可愛らしい仕草をしているつもりなんだろうが、不愉快以外の何物でもない。
徹が神子だというなら王になる道を目指すつもりだったが、少年が神子であるというならば、王位を継ぐことは無いだろう。
(王太子殿下たちは、あんな子供のどこが良いのやら)
十中八九顔だろうというのは理解できるが、王太子殿下がそのような浅はかな考えで良いのか?
(神子が選ぶ人間が次代の王になるので、王太子と言っても、万が一神子が王を選ぶ前に現陛下が亡くなった場合、混乱を避ける為代わりに指揮を執る立ち位置となるだけではあるが……)
だとしても、神子に選ばれればそのまま王位に就くのだから、本当にその言動に問題がないのかを、よく考えて欲しいものだ。実際、神子が王を選ぶと言っても、大抵は王族や高位貴族から選ばれることが多い。
誰でもなれると言えばなれるのだが、政に興味のない平民がいきなり王になるというのは不可能だし、なりたいとも思わないだろう。
他国の王族と違い、この国の王族には色々と制限が多い上、うまみも殆どないのだ。
いわば神に仕える王なのだから。
魔王が滅びても、国が立ち行かなくなるのであれば意味がない。
もしあの少年が神子なら、性格を矯正する必要がおおいにあるだろう。あれが王妃など、考えただけで鳥肌がたつ。
清廉潔白でなくとも、最低限の常識がある者でなければ王妃になれるわけがない。
外見以外に優れた所の見受けられないあの少年は、私からしてみれば何の価値もない。
容姿の華々しさなど、年を取ればいずれ失われるのだから。
(まぁ、だが……徹はきっと年を取っても愛らしいだろうな)
徹の方が、私にとっては魅力的だった。
神子を守る立場である守護者の私たちは、試練のダンジョンについてはある程度熟知している。
ダンジョンは普段は誰も入ることを許されていないが、過去の神子や神子の守護者たちによって、中身の地図はほぼ8割完成しており、罠のある場所や生息しているモンスターの種類や強さなど、神子を守る為に必要な事柄も、私たち守護者には知識として与えられていた。
このダンジョンは、あくまで神子であるかを判別するためのダンジョンであり、決して神子を危険に晒すための物ではない。
だからこそ、最悪の場合を想定してダンジョンに同行するのは、神子を守るメンバーの中でも攻守共にこなせる者が選ばれており、今回の場合は私とアンヘルとなった。
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