兄たちが溺愛するのは当たり前だと思ってました

第3章

1.無理です！無理無理！！

｢ランス近々登城してみないかい？｣


お父様は僕の表情を見ながらそう告げてきた。
登城…。お城に登る…。お城へ行く…。お城は外…。お城に行くには外に出る…。


｢むりむりむり！！！無理です！お父様！！｣


僕を殺す気なの？お父様？


｢殺す気はないよ。
ただ少しは外に出てみないとな、とは思っていたんだ。
そしたら、丁度私とランス宛に手紙が来てね、差出人は誰だと思う？｣


そのお手紙はお城においでってお手紙ってことだよね…？てことは、王様？


｢王様ですか…？｣

｢そうだね、半分はあっているかな。
正解は王妃様だ。王様を介して手紙を出してくれたみたいだ。
さて、問題。何故王妃様はランスにお手紙を書いたのだと思う？｣


王妃様が…？僕に…？なぜ？


｢わかりません、｣

｢成長してますます母様に似たランスを見たいのだと。王妃様は君の成長を特に楽しみにしてくれた方の1人だ。会ってみないかい？｣


でも僕がお外に出たいって行ったから、お母様は死んじゃったんだ。
そんな僕が王妃様に顔向けできるの…？
行っていいのだろうか…。


｢ランスを危険な目に合わせない。誓うよ。
これを頭に入れた上で考えてみてくれ。
貴重な時間を取ってしまって悪かったね。｣


お父様は僕のおでこにちゅっとするとそのまま部屋を出ていった。

僕は読んでいた本を閉じて、いっぱい頭で考えた。
お父様が言うのだから危険な目には合わないって信じられる。でも僕はでしょ？一緒に行く人は…？


｢わかんないよぉ…｣


僕は机に伏せて色々考えた。
するとフラン兄様が部屋に来て僕の相談に乗ってくれた。


｢それのことなら、僕らも一緒に行くよ。
今回の主役はランスだけどね？
僕らも少しは強くなったし、みんな守るよ。
不安な思いはさせないよ。どう？一緒に行かない？｣


みんなが行くんだったら僕も行きたい。
ここでノーと言ってしまったら、僕は成長しないだろう。


｢頑張ってみる、お父様は今日夕食に来られるかな？｣

｢うん、来られるみたいだよ。｣

｢その時に言う！お兄様達とか色んな人たちに迷惑かけちゃうかもだけど頑張りたい！｣

｢えらい、ランス。一緒に頑張ろうね｣

｢うん！｣


がんばれ自分。きっと大丈夫。
扉を抜ければきっと素敵な世界が待っているはず。