兄たちが溺愛するのは当たり前だと思ってました

第1章

41.お客様2

｢お...お客様？｣

｢うん、お客様｣


うん、今すぐにでも帰りたい。


｢ラースさんだっこ...お部屋に帰りましょう｣

｢ちょっ！！ちょーっと待ってて？｣


バタバタと隣の応接室とまでは行かないが、簡易の部屋がある。
そこにメル兄様は駆け込み、｢ねぇ、早く！｣なんて言ってる。

そこに丁度、シャワーからフラン兄様が帰ってきた。

水も滴るいい男とは言いますが、腹筋割れてる...

僕はそーっとお腹に手をやってむにむに。

兄様のお腹を見ながらむにむに。

ですよね、、、分かってました。最近運動という運動をしていないもん。
太ってますよね、、、

ま、まぁ！そんな事はおいといて...

来客人が怖い僕に兄様達は何をさせようとしているのだ。
わざわざ弟の恐怖に満ちた顔が見たいのか？？

そんな事考えて本心を一生懸命隠している。

本当はほんとは！心臓バックバク。
泣きそう、もうこの場所に行きたくない。

そんな僕の気持ちに気づいたのか、いつの間にか服を着ていたフラン兄様がぎゅっと抱きしめてくれる。


｢大丈夫だよぉ、僕達がランスの安全は保証するし、少し見るだけでもしてみない？
抱っこしててあげるからさ？｣


そこまで言って会わせたい理由は何なのだろうか


｢な、なぁ！もういいか？ランスは大丈夫そうか？｣


扉の向こうで兄様の呼ぶ声がする。


｢が、頑張るから終わったら、、よ...よしよしして？｣


な、何言ってるの自分！！

最近自分と葛藤し過ぎてとうとう頭がおかしくなってしまった！！！

引かれるじゃん。。


｢うん、いいよ？いーっぱいよしよししてあげるね？｣


嫌がる素振りすらせずにフラン兄様は答えてくれた。







✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――

｢入るね？｣

｢うん、どうぞ。｣


僕はフラン兄様の膝の上に対面で座り、胸に顔を埋めている。
僕の重さなんて微塵も感じさせないくらいソファに座る兄様は凛としていた。

ガチャっと音がして、ドアが開く音がした。
うぅ、怖いよ。呼吸しづらい...

すると、フラン兄様が耳元で


｢ゆっくり、吸って吐いて｣


そう、言ってくれたので落ち着きを取り戻すことが出来、心に余裕も持てた。

それをバネにし、そーっとドアの方向を見る。

すると、兄様に負けないほどの美丈夫がいるではありませんか

でもその美丈夫は何故かヴィンス兄様に首根っこを掴まれている。
しかも何やら落ち着きがない。


｢ランスが無理だって言ったらすぐ帰る！分かった？｣


メル兄様が問いかける。
今なかなか無理だけども...


｢ラ、んすランス！｣


ひっ...だぁれ...あの子。
かっこいいけどさ...なんで兄様に首根っこ掴まれながらバタバタできるの！！


｢に...にぃさまぁ...？あのお方は、だれ...でしょうか｣


普通だったら屋敷内に入れないだろう。
なのに何故いるのか。
何故僕を呼び捨てにして尚且つ近づこうとしているのか。


｢それは本人から聞いてみる？｣


えっ...そんな試練を僕に与えますか。


｢大丈夫だよ、怖がらせたら出入り禁止って脅してるし｣


いや、そう言うことではなくて、、、

もう何言っても無理な気がする。


｢あ、あの...背中を、そちら...に向けての挨拶を...お許しください...。｣


例え僕より身分が低くても失礼なものは失礼だ。











『あなたは何者ですか...』