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第1章
35.神還り...?
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今日も兄様達はいない。
正直飽き飽きしてしまう。
今日はリコスさんが居てくれるみたい。
僕は昨日微熱を出したので、今日は絶対安静だ。
なので、ベッドの上で絵本を読んでいる。
もう1人で読めるようになったから、もっと難しいのに挑戦しようかな、なんて思っている。
1人、絵本に夢中になっているとコンコンとノックの音。
リコスさんかな?
「はぁーい」
入ってきたのは案の定リコスさんだった。
「ランス様、お加減はいかがですか?」
「大丈夫だよ!お熱ひいたっぽい!」
「さようですか、では簡単に診させてもらいますね」
そう言って、手をおでこに当て熱を測る。
「落ち着いて来たようですね、今日まで絶対安静ですからね?」
「はぁーい!」
「いいお返事です」
そのまままたお部屋から出て行くと思いきや、突然
「ランス様は神還りってご存知ですか?」
と、聞き出したのだ。
「か、みがえ...り?」
「えぇ、神還りです」
全く聞いた事がない。それはなんだ。
神様に還ってしまえばそれはもう死んでいるという事になる。
「うーん、神様に還るのではなく、神様の元へ行かれる方の元へ行く、と言った方がわかりやすいでしょう」
「それは...死者の元へ行くと言うこ、と?」
「えぇ、そうです。四十九日の間で神還りは起こるものと言われています。今まで空想の話だと思われていたのですが...」
僕、これに似た体験した思い出が...。
思い出したくない、でも思い出さなきゃいけない日が来ることがあるとわかっていてもつらい。
「そのお話が空想のものでなければ、僕は神還りにあってる...とおもぅ」
冷静に、顔に出さないように。
「やはり、そうでしたか...」
「ふぇ...?」
え、バレてた...?なんで?どうして?
「ランス様が眠っている間、奥様の元へ行かれていたのでは...?」
「そ、うだよ...」
「確認したかったのはそれだけです、
何かあればベルをお鳴らしください。」
そういい、リコスは呆気なく出ていった。
引き止めようにも一斉に来た情報量の多さに頭はキャパオーバーだ。
なんでバレてる
いつ、
だれが知ってる?
気味悪がられる。
どうしよう
そんな不安が頭に過ぎる
でも僕は頬をパチンと叩き
「大丈夫大丈夫!兄様達がいるんだ。きっと大丈夫」
そう強く心に言い聞かせたが、ホントのところ兄達に頼りきっている自分に嫌気が差していた。
「僕はなんでこんなに弱いんだろう」
誰も居ない、一人ぼっちの部屋に僕の本音が零れる。
実はこう自己嫌悪に陥るのは今日が初めてではない。
その度に頭に響いてくるのは母様の「大丈夫」の声。
でも今日は高い鈴の音のような声も頭に響いてきた。
『コッち、こっち、イッしょにぁそぼぉ...?』
正直飽き飽きしてしまう。
今日はリコスさんが居てくれるみたい。
僕は昨日微熱を出したので、今日は絶対安静だ。
なので、ベッドの上で絵本を読んでいる。
もう1人で読めるようになったから、もっと難しいのに挑戦しようかな、なんて思っている。
1人、絵本に夢中になっているとコンコンとノックの音。
リコスさんかな?
「はぁーい」
入ってきたのは案の定リコスさんだった。
「ランス様、お加減はいかがですか?」
「大丈夫だよ!お熱ひいたっぽい!」
「さようですか、では簡単に診させてもらいますね」
そう言って、手をおでこに当て熱を測る。
「落ち着いて来たようですね、今日まで絶対安静ですからね?」
「はぁーい!」
「いいお返事です」
そのまままたお部屋から出て行くと思いきや、突然
「ランス様は神還りってご存知ですか?」
と、聞き出したのだ。
「か、みがえ...り?」
「えぇ、神還りです」
全く聞いた事がない。それはなんだ。
神様に還ってしまえばそれはもう死んでいるという事になる。
「うーん、神様に還るのではなく、神様の元へ行かれる方の元へ行く、と言った方がわかりやすいでしょう」
「それは...死者の元へ行くと言うこ、と?」
「えぇ、そうです。四十九日の間で神還りは起こるものと言われています。今まで空想の話だと思われていたのですが...」
僕、これに似た体験した思い出が...。
思い出したくない、でも思い出さなきゃいけない日が来ることがあるとわかっていてもつらい。
「そのお話が空想のものでなければ、僕は神還りにあってる...とおもぅ」
冷静に、顔に出さないように。
「やはり、そうでしたか...」
「ふぇ...?」
え、バレてた...?なんで?どうして?
「ランス様が眠っている間、奥様の元へ行かれていたのでは...?」
「そ、うだよ...」
「確認したかったのはそれだけです、
何かあればベルをお鳴らしください。」
そういい、リコスは呆気なく出ていった。
引き止めようにも一斉に来た情報量の多さに頭はキャパオーバーだ。
なんでバレてる
いつ、
だれが知ってる?
気味悪がられる。
どうしよう
そんな不安が頭に過ぎる
でも僕は頬をパチンと叩き
「大丈夫大丈夫!兄様達がいるんだ。きっと大丈夫」
そう強く心に言い聞かせたが、ホントのところ兄達に頼りきっている自分に嫌気が差していた。
「僕はなんでこんなに弱いんだろう」
誰も居ない、一人ぼっちの部屋に僕の本音が零れる。
実はこう自己嫌悪に陥るのは今日が初めてではない。
その度に頭に響いてくるのは母様の「大丈夫」の声。
でも今日は高い鈴の音のような声も頭に響いてきた。
『コッち、こっち、イッしょにぁそぼぉ...?』
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