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第1章

15.現実

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「ランス」

あああ言わないでその先を、、
ぼくは1人になってしまう。





「私はもう死んでいます。
でもランスあなたは生きている。」

そんな事しってる!...そんな言い返しする元気もなくてただ俯いてその声を聞いていた。

「ランスは亡くなったものが天界へ召されるまでの期間があることは知っていますか?」

そんなの誰からも習ってないよ。
だから首を振る。声を出す元気もない。

「『四十九日』と言って、その名の通りなくなってから49日間はまだ現世にいても良いとなっています。未練を晴らす為に。」

そんな大事な期間僕に使ってよかったのかな...
そんな期間あるなら、父様や兄様たちの所へ行ってあげればよかったのに。。

「私はその49日間をランスに全て捧げます。」

その言葉に僕は、ばっと顔を上げた。
顔をあげれば優しく微笑む母様の顔が。

「なんで...ぼくなんかに...
とうさまやにぃさまがまってますよぉ...」
声が震えて、もはや語尾は聞き取れるのか?というレベルだ。

「えぇ、確かに待ってそうだなとは思いましたわ。
でも、ランスは賢い子です。
賢いランスは、自分のせいで私が死んだのだと責めるだろうと考えました。」

だって、、ほんとのことじゃんか、、
ぼくのせいだよ。

「私はそうは思っていません。後悔もしていません。
強いて言うなら、その可愛い顔を涙で何回も歪ませてしまったことでしょうかね。
ほらほら今も、可愛い顔が台無しですわ。」

「知っていますよ。
私の為に結界を張ってくれた事。
メルに教えてもらった魔法を増幅させて結界に流し込んだこと。
私を癒してくれたこと。」

母様から紡がれる言葉は、あの日のことを思い出させる。

「"ありがとう"ランス」

その言葉で一気に涙が溢れた。

「...ぼくのせいで、かぁさまの未来が、、
大切な大切ないのちがぁぁ」

「ランス、それは違いますよ?
あなたのせいではありません。
私がしたくてしたのです。
あなたには私よりも長い未来がある。
愛してくれる人だっているのよ?
そもそも、私はあなたが大好きなの。わかる?
見殺しにするわけがないわ。
こういう時の母親のパワー舐めてはいけないのよ!!」

そう胸を張って言う母様。母様らしいや。
でも、でもなんで、、

「なんで、ぼくに49日間捧げてくれたのですか...」

「それは、『ランスに色々教えてあげたい』
それが未練だったから...かしらね。」

「私に似た髪色、私に似た目の色、外見はほぼ私の遺伝だったわ。もちろん、他の子にも愛情をたっぷり注いだわ。でもそれ以上に注いであげたいと思ったのよ。」

確かに、母様の愛はいっぱい伝わってる。
うれしい。

「色々未練はあったかもしれない。
でもランスに色々教えてあげる。それは譲れなかったわね。母親らしいことしたいじゃない!」

ほんとに母様らしいや。。

「しかも、ランスは賢い子って言ったじゃない?
ランスに色々教えてあげる。それを果たせば他の未練も晴れるのよ。」

「ど...どういうことっ?」

「家族の笑顔を見たいとかそういうものよ。
色々考えたけど、出てきたのは家族のことだけ。
ランスが居ればきっとそれは叶うと思うの。
だからランスをここに呼んだのよ。
我儘に付き合わせてごめんね。」

我儘だなんて...そんなの全然...

「ぼくがんばる、かぁさまのためにもみんなを笑顔にするよ。」


「ええ、頼んだわよ。ランス。
辛くて苦しい時は私が傍にいるわ。
泣いてもいいの。泣いてもまた胸を張って前に進んで行けばいいのよ。あなたならできるわランス。」



『行ってらっしゃい』


『行ってきます』








そうして、事件から49日後

僕は目を覚ました。
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