4 / 10
第一章
実験部隊
しおりを挟む
交換された腰が痛みショックアブソーバーが軋む。
ガタガタと揺れる兵員輸送車。
いくつか試作品を渡され腰を新しく改良された兵士達が前哨基地から運ばれて来た。
そう彼らは帝国兵。戦場に送られて来た実験部隊である。
「到着。各班は配置に就け」
ここ一帯の地域は帝国が掌握、共和国はほとんど撤退していたがまだ逃げ遅れた共和国の部隊が抵抗しているとの事で交戦、戦闘データを回収せよとのお達しが出ていた。
音もなく降りる兵士達。彼らは腰のショックアブソーバーとスプリングを改良されサイレンサーによって音もなく近づき、更に訓練により何日も少ない水と食料でただひたすら待ち伏せをして敵を倒す。
そして撤退命令が出てもその俊敏さで倒される事なく撤退する事が可能だ。
帝国にとって人員が消耗して来ている今、兵力を減らさない為に無事に生還する事は急務であった
それというのも帝国では選別をして訓練そして新しい腰、詳しく言うと帝国の技術の推を集めた腰骨の形をしたマシーンを既存の腰と置き換える手術を行い帝国兵を作り出している。この手術に耐えきれない兵士も少なくない為帝国は常に人員不足であった。一騎当千、少数精鋭ではあるがただでさえ少ない兵士を無駄に失う訳にはいかないのだ。
音もなく降りた兵士達を抜かし勢いよく降りる者達。
彼らは従来の金属製の腰ではなくカーボンファイバーやプラスチック、シリコンなどで出来た腰を入れた者達だ。これにより速さが格段にアップ、従来の金属だと痛みやすくメンテナンスも手が掛かる。なので帝国は新しい素材の腰を造ろうと苦心していた。
勢いよく飛び出した兵士達の後ろから悠々と降りる者がいた。大きな兵器を担ぎ徹甲弾を装填する。
偵察兵である。この兵士は鍛え上げられた筋肉、そして通常より遥かに重い金属製の腰。更に足も改造されていていわば歩く固定砲台の様であった。
残存部隊が交戦中との事で合流の為彼らは歩みを進めた。ショックアブソーバーなど各部位を換えたアップグレード班と腰そのものの素材を換えた素材班が競うように先行した。これはどちらの方がより戦闘に向いているかデータを集める為である。
…タタタタ!
暫くすると銃声が聞こえて来た。どうやら合流地点に到達したようだ。
帝国兵と共和国兵が撃ち合いをしている。
いくら共和国兵のアーマーが頑丈であっても何度も撃てば倒すことは可能だが時間がかかり過ぎてしまう。更に帝国兵もいくら素早いからといってそう何度も弾を避けられるわけではない。
やがて両者弾がほとんどなくなり近接戦が始まったようだ。
何人か逃げ出す共和国兵。
アップグレード兵が追う。
最初のうちは帝国が優勢だった。セオリー通り白いアーマーの動力源を切っていき新兵を瞬く間に制圧する。そして軍事アーマーとの戦い。
「!!」
その時変化が起こった。帝国兵が次々と吸い寄せられ時には弾かれ倒されていく。磁力システムだ。
ただでさえ軍用アーマーを着たベテラン兵士に加えこのシステムを備えた共和国兵に対して最早帝国の一般兵はなす術もなくやられていた。
しかしこのシステムに対して帝国軍も対抗策を打ち出した。そう素材を換えた新しい兵士達である。
腰の装置本体はそう何回も換えられるものではないのでこの新素材の兵士達は基本的に初めて手術を受ける新兵達で構成されていた。
新素材兵達が前に出る。共和国兵達を襲う。金属製の素材ではないので磁力により吸い寄せられる事もない。
優位に立ったと思った共和国ベテラン兵達が面をくらう。共和国兵が倒れる。
グニャ
腰をシリコンやゲルなどの柔らかい素材にした兵達が奇妙な曲がり方をして共和国兵の攻撃を避けた。追撃をする帝国兵
その他の新素材兵士達も攻撃の手を緩めない。金属で無くなった腰は圧倒的に軽くなりその素早さで共和国兵を倒して行った。帝国兵達は勝ちを確信したが
ミキッ
新素材兵が倒れた。新素材が過度な動きに耐えられなくなり腰の一部が折れてしまったのだ。その痛みは凄まじくみな気絶する。動きが鈍くなり共和国兵の攻撃が当たると金属製の腰とは違い一発でやられてしまう。更に磁場システムも腰の中の機器には影響する為長時間戦うと腰が駄目になってしまう。
結果両者共やり合いほぼ共倒れとなるかと思われた
しかしそこはベテラン兵。経験の差か戦い慣れていない新素材兵に対して徐々に優勢を取り戻していく
ズドン
偵察兵がようやく到着したようだ
なす術もなくやられる共和国兵
ズドン
やがて共和国兵の声は聞こえなくなり、数人生き残った新素材兵達の呻き声だけが聞こえる
偵察兵も逃げ出した共和国を追跡しているアップグレード兵の後を追った。しかしどうやら新兵器と新しいずっしりとした下半身は素早く動く事が出来ずその歩みは遅いようだ
暫く追いかけていると前哨基地から通信が入った
敵の救出部隊が接近中との情報有り。生き残った新素材版は撤退、共和国兵を追ったアップグレード班はその場で待機。待ち伏せした後合図で偵察兵の後ろまで後退。新兵器で救出部隊を殲滅せよとの事
指示通り生き残った数人の新素材班はなんとか自力で退避、アップグレード班は何人か逃げ出した共和国兵を倒した後瓦礫に潜り待機、偵察兵は近くの高い建物に登り待機した。
何日かすると共和国の救出部隊がやって来た。待ち伏せにより共和国兵を何人か倒すアップグレード兵達。だが中々に強い共和国ベテラン兵。合図が聞こえたので後退する。
建物に入り何時間かすると釣られてやって来た共和国兵達の阿鼻叫喚が聞こえて来た。どうやら新兵器にやられているようだ。
何発かの徹甲弾の着弾した音の後なにも聞こえなくなった。
「今すぐ撤退せよ」
指令が入った。どうやら偵察兵はやられてしまった様だ。撤退するアップグレード兵達
ガサッ
しかし建物を降りようとするとボロボロの共和国兵がいた。何日か前戦った帝国から逃げ出した共和国兵が救出部隊が来る事を知ってか知らずかずっと潜んでいたのである。
そんな共和国兵がここぞとばかりに飛び出して来た
まずい相手も消耗しているが、こちらも何日かの戦いと移動で疲弊している。
そんな事を考えてる間に磁力コンバットシステムで何人かやられてしまった。そうこうしているうちに敵の救出部隊もやって来てしまった。多勢に無勢
催涙ガスを撒き散らすと帝国兵達は撤退した。
ガタガタと揺れる兵員輸送車。
いくつか試作品を渡され腰を新しく改良された兵士達が前哨基地から運ばれて来た。
そう彼らは帝国兵。戦場に送られて来た実験部隊である。
「到着。各班は配置に就け」
ここ一帯の地域は帝国が掌握、共和国はほとんど撤退していたがまだ逃げ遅れた共和国の部隊が抵抗しているとの事で交戦、戦闘データを回収せよとのお達しが出ていた。
音もなく降りる兵士達。彼らは腰のショックアブソーバーとスプリングを改良されサイレンサーによって音もなく近づき、更に訓練により何日も少ない水と食料でただひたすら待ち伏せをして敵を倒す。
そして撤退命令が出てもその俊敏さで倒される事なく撤退する事が可能だ。
帝国にとって人員が消耗して来ている今、兵力を減らさない為に無事に生還する事は急務であった
それというのも帝国では選別をして訓練そして新しい腰、詳しく言うと帝国の技術の推を集めた腰骨の形をしたマシーンを既存の腰と置き換える手術を行い帝国兵を作り出している。この手術に耐えきれない兵士も少なくない為帝国は常に人員不足であった。一騎当千、少数精鋭ではあるがただでさえ少ない兵士を無駄に失う訳にはいかないのだ。
音もなく降りた兵士達を抜かし勢いよく降りる者達。
彼らは従来の金属製の腰ではなくカーボンファイバーやプラスチック、シリコンなどで出来た腰を入れた者達だ。これにより速さが格段にアップ、従来の金属だと痛みやすくメンテナンスも手が掛かる。なので帝国は新しい素材の腰を造ろうと苦心していた。
勢いよく飛び出した兵士達の後ろから悠々と降りる者がいた。大きな兵器を担ぎ徹甲弾を装填する。
偵察兵である。この兵士は鍛え上げられた筋肉、そして通常より遥かに重い金属製の腰。更に足も改造されていていわば歩く固定砲台の様であった。
残存部隊が交戦中との事で合流の為彼らは歩みを進めた。ショックアブソーバーなど各部位を換えたアップグレード班と腰そのものの素材を換えた素材班が競うように先行した。これはどちらの方がより戦闘に向いているかデータを集める為である。
…タタタタ!
暫くすると銃声が聞こえて来た。どうやら合流地点に到達したようだ。
帝国兵と共和国兵が撃ち合いをしている。
いくら共和国兵のアーマーが頑丈であっても何度も撃てば倒すことは可能だが時間がかかり過ぎてしまう。更に帝国兵もいくら素早いからといってそう何度も弾を避けられるわけではない。
やがて両者弾がほとんどなくなり近接戦が始まったようだ。
何人か逃げ出す共和国兵。
アップグレード兵が追う。
最初のうちは帝国が優勢だった。セオリー通り白いアーマーの動力源を切っていき新兵を瞬く間に制圧する。そして軍事アーマーとの戦い。
「!!」
その時変化が起こった。帝国兵が次々と吸い寄せられ時には弾かれ倒されていく。磁力システムだ。
ただでさえ軍用アーマーを着たベテラン兵士に加えこのシステムを備えた共和国兵に対して最早帝国の一般兵はなす術もなくやられていた。
しかしこのシステムに対して帝国軍も対抗策を打ち出した。そう素材を換えた新しい兵士達である。
腰の装置本体はそう何回も換えられるものではないのでこの新素材の兵士達は基本的に初めて手術を受ける新兵達で構成されていた。
新素材兵達が前に出る。共和国兵達を襲う。金属製の素材ではないので磁力により吸い寄せられる事もない。
優位に立ったと思った共和国ベテラン兵達が面をくらう。共和国兵が倒れる。
グニャ
腰をシリコンやゲルなどの柔らかい素材にした兵達が奇妙な曲がり方をして共和国兵の攻撃を避けた。追撃をする帝国兵
その他の新素材兵士達も攻撃の手を緩めない。金属で無くなった腰は圧倒的に軽くなりその素早さで共和国兵を倒して行った。帝国兵達は勝ちを確信したが
ミキッ
新素材兵が倒れた。新素材が過度な動きに耐えられなくなり腰の一部が折れてしまったのだ。その痛みは凄まじくみな気絶する。動きが鈍くなり共和国兵の攻撃が当たると金属製の腰とは違い一発でやられてしまう。更に磁場システムも腰の中の機器には影響する為長時間戦うと腰が駄目になってしまう。
結果両者共やり合いほぼ共倒れとなるかと思われた
しかしそこはベテラン兵。経験の差か戦い慣れていない新素材兵に対して徐々に優勢を取り戻していく
ズドン
偵察兵がようやく到着したようだ
なす術もなくやられる共和国兵
ズドン
やがて共和国兵の声は聞こえなくなり、数人生き残った新素材兵達の呻き声だけが聞こえる
偵察兵も逃げ出した共和国を追跡しているアップグレード兵の後を追った。しかしどうやら新兵器と新しいずっしりとした下半身は素早く動く事が出来ずその歩みは遅いようだ
暫く追いかけていると前哨基地から通信が入った
敵の救出部隊が接近中との情報有り。生き残った新素材版は撤退、共和国兵を追ったアップグレード班はその場で待機。待ち伏せした後合図で偵察兵の後ろまで後退。新兵器で救出部隊を殲滅せよとの事
指示通り生き残った数人の新素材班はなんとか自力で退避、アップグレード班は何人か逃げ出した共和国兵を倒した後瓦礫に潜り待機、偵察兵は近くの高い建物に登り待機した。
何日かすると共和国の救出部隊がやって来た。待ち伏せにより共和国兵を何人か倒すアップグレード兵達。だが中々に強い共和国ベテラン兵。合図が聞こえたので後退する。
建物に入り何時間かすると釣られてやって来た共和国兵達の阿鼻叫喚が聞こえて来た。どうやら新兵器にやられているようだ。
何発かの徹甲弾の着弾した音の後なにも聞こえなくなった。
「今すぐ撤退せよ」
指令が入った。どうやら偵察兵はやられてしまった様だ。撤退するアップグレード兵達
ガサッ
しかし建物を降りようとするとボロボロの共和国兵がいた。何日か前戦った帝国から逃げ出した共和国兵が救出部隊が来る事を知ってか知らずかずっと潜んでいたのである。
そんな共和国兵がここぞとばかりに飛び出して来た
まずい相手も消耗しているが、こちらも何日かの戦いと移動で疲弊している。
そんな事を考えてる間に磁力コンバットシステムで何人かやられてしまった。そうこうしているうちに敵の救出部隊もやって来てしまった。多勢に無勢
催涙ガスを撒き散らすと帝国兵達は撤退した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
龍神と私
龍神369
SF
この物語は
蚕の幼虫が繭を作り龍神へ変わっていく工程に置き換え続いていきます。
蚕の一生と少女と龍神の出会い。
その後
少女に様々な超能力やテレポーテーションが現れてきます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
SAINT ESCAPEー聖女逃避行ー
sori
SF
クルマを宙に放り投げたシルクハットの男。 カリスマ占い師の娘、高校生の明日香。 明日香を守る同級生。明日香を狙う転校生。追いかける黒い影…個性的なキャラクターが繰り広げる逃走劇。 一方で定年間近の刑事、納谷は時効を迎える事件のカギを見つける。 ふたつの事件が結びつく時、悲しい事実が明けらかになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる