上 下
34 / 48
3巻

3-2

しおりを挟む

「おい、こっちに英雄モーテンがいるって本当か?」
「ああ、今回の戦争でも大活躍だいかつやくだったらしいぜ? しかもその前は姫様を二人も救いだしたらしいし、英雄って現実にいるんだな」
「あんた達、全然わかってないね! モーテンさんが本当に凄いのは見返りを求めないところだよ! 姫様を救った褒美ほうび辞退じたいされたらしいし、辺境の街アルカライムではお金がなくて依頼が出せない人達を助けて回っていたらしいよ!」
「モーテンさん! 見てください! モーテンさんにあこがれて同じ場所に紋様もんようを入れてみたんです!」
「モーテンさん握手してください!」

 周辺に飛び交う声に耳を傾けてみると、全てモーテンの話題だった。
 さすがの人気っぷりだな。話に少し尾ひれがついている感じがするが、みんなそれを信じているようだ。
 広場ではモーテン達が人々にもれてみくちゃにされている。これ、俺達と合流できるのだろうか?

「すみません! 道を開けてください! 私達はあの馬車に乗らないといけないんです!」
「これから王城に行かないといけないんだ、頼むからどいてくれ」

 モーテンと仲間が声を張り上げて人混みをけるが、近くの人間しか聞こえていないのか、次から次へと人が押しかけてなかなか進めない。これが波状攻撃というものか……

「おい! 聞いたか? モーテンさん達は王城に行くらしいな!」
「戦勝の式典に呼ばれているんじゃないか?」
「それに見てみろ! モーテンさん達が乗るって言ってた馬車、そんじょそこらの貴族様でも乗れないような豪勢ごうせいな馬車だぞ! さすが英雄は違うな!」

 その新たな情報が周囲の人間をさらにヒートアップさせる。
 あぁ、これは時間がかかるな。遅刻しなければいいが……
 俺は窓の外で一生懸命いっしょうけんめい奮闘ふんとうしているモーテン達に同情しながら、長期戦を覚悟した。


 ****


 あの後、俺達はなんとか無事にモーテンのパーティーと合流し、王城に向かった。
 今は控え室で待機しているところだ。
 馬車に乗り込んだモーテン達の疲労感はもの凄く、これから式典に参加できるのか心配になるほどだ。あの人数に揉みくちゃにされたのだから当然だが、モーテンの話を聞くと、彼らが王都を歩けば連日あの調子らしい。他にも、冒険者ギルドではこのところ俺が教えたレベルについての概念が普及しつつあり、それを鑑定可能なスキルを持つ彼らは引っ張りだこなのだそうだ。
 そういえばモーテン達は元山賊のしただったのだが、多くの人と関わっているせいか、最近は言葉使いが柔らかくなったし、人との接し方も上手くなっている気がする。
 苦情や悪い噂は一切聞いたことがない。
 冒険者ランクもB級に上がったらしいし、今後彼らがどこまで行くのかが少し楽しみだ。


 控え室に案内されて三十分も経たないうちに、迎えが来た。

「お待たせいたしました。陛下の準備が整いましたので、謁見えっけんへご案内いたします」

 準備の早さに驚きながらも席を立ち、案内する使用人について行く。
 俺は歩きながら周囲を観察する。改めて見てもこの王城の造りはしっかりしているな。
 華美かびな装飾はなく、意外と簡素な内装だが、重厚感がある。かなり年季が入っているのに破損や補修の跡が全然見当たらない。何か特別な方法で維持しているなら、拠点整備の参考になりそうだし、ぜひ教えてほしい。

「城の内装に興味がおありですか? この城は数千年前から存在していて、歴史的観点からも非常に重要な建造物です。一度魔王に壊された時に復元されて以来、ずっとこの状態を維持しており、定期的な修繕しゅうぜんや、状態保存は魔法で行っております」

 俺があまりにキョロキョロしていたせいか、前を歩く使用人がかせて説明してくれた。
 ありがたいのだが、そんなにあからさまだったのかと思うと、少し恥ずかしい。

「あそこに見える庭園は、はるか昔に召喚された勇者様が設計されたものですよ」

 この使用人、余程王城に愛着があるのか、誇らしげな顔で細かい所まで色々教えてくれた。
 王城の書庫や過去の勇者が作った物などが展示されている宝物庫などもあるらしく、興味をそそられる。立ち入りには許可が必要だそうなので入れなかったが、できれば、このままガイド付きで王城をくまなく見て回りたい。
 使用人の話を聞いていると、あっという間に謁見の間に着いてしまった。
 心の準備ができる前に、目の前の大きな扉が開かれる。
 俺は意識を戻し、ジャック達にならって姿勢を正す。
 扉から奥までは赤い絨毯じゅうたんが一直線に続き、その両サイドに護衛の兵士や貴族とおぼしき者が並んでいる。そして、謁見の間の奥には豪勢な椅子いす鎮座ちんざしていて、その両脇にレルドやクリスらの王族が立っていた。間違いなく、真ん中の椅子に座っている男性がこの国の王様だろう。
 俺達は使用人にうながされ、謁見の間に入室した。
 さて、どうしようか。
 予想より遥かに人が多い。俺の顔を見たって何も面白くないと思うのだが……
 しばらく固まっていると、使用人が小声で指示してくれた。

「どうぞ、陛下の御前ごぜんにお進みください」

 おっと、そうだった。このままじっとしていても注目を集めるだけだしな。
 正直、作法がわからないから助かる。
 俺は言われた通りゆっくり歩き、前方の椅子に座る男性に目を向ける。
 年齢は五十代くらいだろうか、顔に深く刻まれたしわから少し疲れているように見えるが、目の奥に宿る光には力がこもっていて、覇気はきみたいなものが感じられる。
 やはり一国の主というだけはあって、俺とはえらい違いだ。

「そこでお止まりください」

 まだ王様までは十メートルくらい離れているが、そこでストップを掛けられた。
 安全対策だとは思うが、こんなに距離があると、かなり声を張らないと聞き取り辛そうだな。
 確かこういう貴人との謁見の時は、あまりじろじろ見ない方がいいんだっけな。
 俺はジャック達の所作を横目でうかがいながら、見よう見まねでひざまずく。

「客人よ、よく来てくれた。レルドから話は聞いている。まずは自己紹介といこうか。私の名はグライブ・カートルド・ディーゼ・エスネアート。このエスネアート王国の王だ。貴殿の名は?」

 クリスもそうだったが、相変わらず王族は名前が長いな。これ、絶対に覚えさせるつもりないだろ。
 間違えたら不敬罪にされないか不安になる。

「私の名はサトウケンゴと申します。現在どこの国にも所属しておらず、大森林で拠点を築き、その代表をしています。何ぶん礼儀にうといもので、無礼な物言いがあるかもしれませんが、お許しいただけると助かります」

 俺が返事をすると、先ほどまで静まり返っていた謁見の間にざわめきが広がる。
 早速何か失礼なことを言ったか?

「それについては構わん。気にせず、いつも通りにしてくれ。それにしても、レルドの言う通り話しかけたら本当に突然現れたな。何かタネがあるのか?」

 なるほど、どうやら『隠密おんみつ』のせいで俺の姿を認識できていなかったらしい。それが、返事をした時に急に出てきたように見えて、ざわついていたのか。
 拠点のみんなは普通に対応するから、こういう反応をされるとびっくりする。

「タネはないですよ。どちらかと言うと体質ですかね。私は生まれつき影が薄いんです」
「そうか。大森林の者は森にまぎれるのが得意と聞くが、森がなくとも気配を殺せるとは珍しい。まぁ、雑談はこれくらいにしておこう。先に伝えるべきことがあるからな」
「伝えるべきこと、ですか?」
「先の戦での貴殿の助力、まことに感謝している。貴殿のおかげで大勢の民が無事に今日を迎えることができた。ここに王国を代表して貴殿に感謝の言葉を贈る」

 そう言って、王様は少しだけ頭を下げた。
 しかし、参列している貴族達はこれが気に入らなかったらしく、王の行為をいさめる。

「陛下! 頭をお上げください! 王が軽々しく頭を下げては周囲に示しがつきません!」
「このような素性すじょうの知れぬ者に頭を下げる必要などありませんぞ」

 謁見の礼儀や作法がわからないから普段通りに対応したのがまずかったのだろうか?
 王様も構わないって言ってたし、俺が何かやらかしそうな時は大抵ジャックかエレナが口を出してくるから、何も言われないなら問題ないのだと思っていたぞ。

「静まれ! 私は誰もが見捨てた我が国に救いの手を差し伸べてくれた恩人に礼を伝えただけだ。そのどこに問題があるのか?」

 王の一喝いっかつを受け、不平を口にしていた者達が縮こまる。

「いえ、問題と言うわけでは……しかし、この者の邪悪な気配は……」
「私は王である以前に、純粋にエスネアート王国の一員だ。国を救われたことに比べれば、私が頭を下げるくらい取るに足りん。貴殿達の領地も、もしかしたら帝国のものになっていたかもしれぬのだぞ? それでも頭を下げるべきでないと言うのか? もう一度どういう状況か考えろ」
「はい……」
「……すまない、待たせてしまったな」

 改めて、王様がこちらに謝罪した。
 全然待っていないし、むしろ俺のせいで揉めたのなら、少し申し訳ないくらいだ。

「それで、貴殿の功績に対して褒美を与えたいのだが、その前に一つ確認しておきたいことがある。構わないか?」

 確認しておきたいこと? なんだろうか? 

「ええ、構いませんよ」
「貴殿は何故助力の対価に我が娘の身を欲したのだ?」

 ぐっ、まさか今この場でそれを聞かれるとは……
 なんて答えよう……困ったな。
 そもそも王女に悪魔のような提案を持ちかけたのはエレナだし、王女の身柄を要求したのも拠点(俺以外)の総意だったはずだ。俺はただ政治や外交にけた人材が欲しいと思っていただけなんだけどな。
 恐らく、さっき周囲の者達の当たりがきつかったのは、俺みたいなよそ者が、若くて綺麗な王女を毒牙どくがに掛けようとしているように見えているからだろう。
 俺は慌てて念話でエレナに確認する。

(おい!? どうするんだ、この状況? 返答次第ではまずいんじゃないか?)
(そうですか? こちらは相手の出した要求に相応の報酬として王女の身柄を求め、王女本人もその条件を呑んで約束を交わしました。何も問題ないと思いますよ?)
(だが相手は一国の王女だぞ?)
(それでも、です。王女だからという理由で後になって約束を反故ほごにするようでしたら、この国は信用なりません。そのままお話しください)

 ふむ、そういうものなのだろうか? 王様にしたら王女は自分の娘なわけだし、大事にするのももっともだと思うのだが……
 とりあえず、俺はエレナに従って包み隠さず状況を説明する。

「素直に申しますと、私達の拠点では外交や政治に詳しい人材がとぼしいのです。クリスティーナ様がその方面で優れた能力をお持ちのように感じたので、戦争への助力の引き換えに、我が拠点に加わっていただけないかとお願いした次第です」
「ふむ、貴殿の言う通りならば、能力さえ持ち合わせていればクリス以外でも構わないように聞こえるが?」
(エレナ、どうなんだ?)
(能力だけを見るのであれば、他の者で問題ありません。ですが、私は彼女をこの目で見て判断した上で拠点のゴブ一朗先輩達に推薦すいせんいたしました。現状、第三王女以上の能力を持つ者が現れない限り、彼女を要求するのが一番だと思います。不必要に下手したてに出ると、今後の関係にも響きますので、毅然きぜんとした態度で臨むべきかと)

 うーむ、俺は第三王女じゃなくても一向に構わないのだが、エレナがずいぶんと推してくる。
 何かあるのだろうか?
 とりあえず、話を進めようか。

「確かに、能力的には他に優秀な者がいればその人でも構いません。ただ、私達は第三王女の願いを聞いて今回の戦争に参加しました。王族が簡単に約束を反故にするような国と友好的な関係を築くのは難しいですね」
「……すまない、気分を害したのであれば謝罪しよう。今回の貴殿の働きにむくいるためにも、娘が結んだ契約は間違いなく履行りこうする。ただ、何故娘が求められたのか気になってな。ちゃんとした理由があるのであれば問題は――」
「いけません、陛下!! もう一度お考え直しください!!」

 王様の言葉をさえぎって、広間に若い男の声が響き渡った。
 見ると、貴族側の列に並んだ一人の男性が声を上げていた。

「陛下!! どこの馬の骨ともわからぬ男にクリス様を引き渡すなど、おやめください!! 奴の顔をご覧ください!! 一見すると平凡ながら、目つきは普通じゃありません!! 間違いなく何かたくらんでいる、あやしい目です。よこしまな考えでクリス様の身柄を得ようとしているに違いありません!!」

 おいおい、突然こいつは何を言い出すんだ?
 平凡な顔は否定しないが、目つきをとやかく言われたのは初めてだ。ショックが大きい。
 しかし、俺が何か企むだって? むしろ何も考えずとりあえず行動することが多くて、みんなに迷惑を掛けているくらいだぞ。そんな立派な頭があるなら、俺は何度もエレナに怒られない。
 口をはさんだ男を見て、王様が目を細める。

「口を閉じろ。貴様は確かクレート伯爵はくしゃくの息子だったな。王の決定に意見するとは何事だ。その上、この国の恩人を侮辱ぶじょくするなど……処分される覚悟があっての物言いだろうな?」
「し、しかし!!」
「貴様は王国が窮地に追い込まれていた時に何をしていた? この者は確かに娘を要求した。しかし、戦場でその力を示し、我が国を勝利に導いたではないか。さらに、二度にわたってクリスの救出をなしたのもこの者だ。これだけの功績を、貴様は目つき顔つきだけで否定するのか?」
「いえ、私はそのようなつもりでは……」
「こうして面と向かって話をしても特に害意は感じられないし、レルドからの報告も問題ないと聞いている。であれば、娘を渡すのに何の問題がある?」
「ですがクリス様のお気持ちは……」
「これは娘が自ら望んで結んだ契約だ。納得も覚悟もしている。むしろ、もしかしたら娘はこれから王国よりも安全な場所に行くことになるのかもしれないのだぞ。もう一度聞く、何が問題だ?」
「いえ、何も問題はありません……申し訳ありませんでした」

 そう言うと、男はこちらをにらみながら列に戻っていった。
 ずいぶん食い下がったが、第三王女と関係のある人物なのだろうか?

「すまなかったな。気を悪くしないでほしい」

 王様は一つ溜め息をついて、再び俺に謝罪した。

「いえ、当然のご懸念けねんかと」
「娘の件とは別に、今回の貴殿の行いに対して褒賞ほうしょうを出そうと考えているのだが、何か望む物はあるか?」

 褒賞か、突然そんなことを言われても急には出てこないぞ。
 レルドもそうだし、ここの王族は何かと褒賞をくれる気がするな。これが上に立つ者の行動としては普通なのだろうか?
 だったとしたらやばいぞ……うちの拠点では俺はみんなを無償で働かせ続けている。
 どこぞのブラック企業も真っ青だ。これは早急に何か考えないとな。

(王様が褒賞をくれるらしいが、何か欲しい物はあるか?)

 俺の質問に対して、すぐにジャックから返事があった。

(いえ、ケンゴ様が望む物を要求するのがよろしいかと思います)
(それが思い浮かばないんだよ。貸しにすると面倒臭そうだし、何か適当なものはないか?)
(ではいくつか。ご主人様の拠点の認知と対等で友好的な関係、王都にランカさん達が店を出すための土地と建物、拠点で流通していない作物や資材の調達優遇。この辺りが無難かと思います)
(多くない?)
(ご主人様は国を滅亡めつぼうの危機から救ったのです。問題ないかと)

 そういうものなのだろうか? 調子に乗って複数お礼を要求したら印象が良くないイメージがあるのだが……
 俺がしばし逡巡しゅんじゅんしていると、リアムが念話に入ってきた。

(ケンゴ様! 私もお願いしてもいいのかな?)
(ん? リアムか。何か欲しい物があるなら全然構わないぞ、遠慮せずに言ってみろ)
(だったら、あの王様が座ってる椅子のもっと下の方に埋まってる魔石が欲しい)
(魔石? 何か反応があったのか?)
(うん、このお城に入ってからずっと〝帰りたい〟って声が聞こえてる。この子、普通の子より声が大きいから、どうしても気になるんだ)

 俺にはさっぱり聞こえなかったが、リアムには魔石の声を聞く能力があるので、気になるのだろう。

(そうか。だったら試しに言ってみるか。帰りたい場所があるなら、帰してやりたいしな)
(うん! ケンゴ様ありがとう!)
(いやいや、まだどうなるかわからないぞ? ところで、その魔石が帰る場所ってのは、ここから近いのか?)
(うーん、私もわからないんだけど、チキュウって所みたい)
(チキュウって……地球か!? おいおいどういうことだ?)

 まさかこのタイミングで地球というワードを聞くなんて……
 俺は王様の椅子の下を探るように視線を向ける。

(リアム、本当にその魔石は地球に帰りたいって言っていたのか?)
(うん、この子は地球に帰りたいとしか言わないから、間違いないよ)

 この城に地球出身者の魔石があるとは思わなかった。しかも、何故か王様が座っている椅子の下とか、変な場所に埋まっているし。
 神様の話では数千年に一度地球人をこちらに送っていると言っていたから、その魔石は前回の転移者の物かもしれない。考えても仕方ないので、とりあえず王様に聞いてみるか。

「その褒賞は、なんでもいいのですか?」
「ああ、私にできる限り応えると約束しよう。遠慮せずに言ってほしい」
「では、四つお願いしたいことがあります。まず、私の拠点と王国との間で対等で友好的な関係を築けるよう、私の拠点を認知していただきたいです。次に、王都で私共が作った品物を売る商店を出すための土地と建物を用意していただけますでしょうか。また、いくつかの作物や資材等、物質の取引の優遇を。最後に、可能なら一つ融通していただきたい魔石があります」
「ふむ……大方問題はないが、質問しても構わないか?」
「ええ、どうぞ」
「貴殿の勢力と友好関係を結ぶのは問題ない。しかし、こちらが存在を確認していない拠点をすぐに認知するのは難しい。後日、監査官を派遣して内情を確認させてほしい」
「ええ、その程度であれば問題ありません」
「次に、貴殿らが作る品物を王都で売りたいとのことだが、それはどのような種類の物だ? 物によっては規制を掛けねばならぬからな」
「基本的には魔道具関連と、糸や蜂蜜はちみつなどの拠点で生産した素材、食料ですね。お土産みやげとしてその魔道具を持ってきたので、使ってみてください」

 俺はふところから一つの腕輪を出した。

「それは?」
「これは『鑑定の腕輪』です。冒険者ギルドなどにもステータスが確認できる魔道具がありましたが、それよりもさらに詳しい情報や、レベルが見えるようにしました。腕にめるだけなので、ギルドが運用している水晶よりも持ち運びやすいでしょう」
「ほう……レルド、すまんが、早速試してもらえないか?」

 王様に言われて取りに来たレルドに、腕輪を渡す。

「ケンゴの言う通りのハイスペックな物であれば、何かしらの代償がありそうなものだが……呪われていたりしないだろうな?」

 レルドは警戒しながらも腕輪を身につける。
 だいたい、呪われた物をお土産に持ってくるわけないだろ。

「おお、確かにステータスが見えるが……おい、この魔道具は壊れていないか?」

 レルドは俺の方を見ながら首をかしげている。
 ちゃんと動作確認したし、壊れているはずはないのだが……


しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。