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44話

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浅井side

そして季節は流れ


桜が咲き誇るなか俺たちはついに卒業の日を迎える。


今までただなんとなく過ごしていた学生生活は月島先生と出会い刺激的で熱く、とても貴重なものなんだと教えられた。


悪ぶるのがカッコいいと勝手に勘違いしていた俺たちはいい事をするカッコ良さを知り…


反抗的な態度を取ることで存在の意味を示していた俺たちは、投げかけられた言葉を受け入れる事で自分達の経験値を上げることが出来ると知った。


不良だと色眼鏡で見られる事に慣れていた俺たちはあの夏の日、月島先生と出会い初めて1人の人間として向き合ってもらう喜びを知った。


月島先生…?


俺たち少しは成長したよね?


そんな事を思いながら卒業式に参加している俺は立ち上がり卒業生代表として答辞を述べる。


まさか、俺がこんな式典で答辞を読む日がくるなんて思っても見なかったけど、これもいい経験の一つだよな…と思った俺は全力を尽くし言葉にした。


無事、卒業式を終えた俺たちはクラス全員で足早にグラウンドに向かう。


凸「ほら早く行くぞ。待たせてるんだから。」


俺の言葉にクラスメイトたちはソワソワしながらついてきて、頬を桜色に染めながら俺たちを待っている健気なその姿を捉えると野郎どもの声が色めき立つ。


あちこちで月島ちゃ~ん!や月島ちゃんにまじで会いたかった~!などと言われている月島先生もとても嬉しそうでその目には薄らと涙が滲んでいた。


俺は月島先生に卒業式くらい保護者として参加すればいいのにと言ったが、教師として途中で辞めて君たちを最後まで見守ることができなかったのに卒業式だけ出るなんて出来ないだろ…なんてまた、真面目ちゃんが発令されてしまい、俺が卒業式を終えてからクラスメイトと月島先生が会えるようにグラウンドで待ち合わせをしたのだ。


みんなも月島先生と会うのが本当に嬉しそうで表情に溢れている。


すると、月島先生は腕に抱えていた沢山の一輪の花を一本ずつ俺たちの制服のポケットに入れていく。


一人一人の目を見て話をしながら祝福し、そこに花を添える月島先生。


この人は本当に素敵な先生だな…と思いながら少し俺は自慢気に月島先生のそんな姿を見つめる。


すると、三木が俺の横にニコニコとしながら立った。


M「さすが月島先生だよな…俺たち不良までメロメロにしちゃうんだもん。」

凸「まぁ…そんな月島先生も今では俺のモノだけどな。」


ドヤ顔でそう三木に言うと、三木はそんな俺を見て笑う。


M「俺のモノとか言いながら月島先生って呼んでる時点で俺たちと同じレベルじゃん。ププなんて月島ちゃ~んって呼んでたぞ?他の人が見たらププとつき合ってるかと思うわ。」

凸「んだと!?」


三木と殴り合いの喧嘩をするのもこれが最後かなと思いながら拳を振り上げると、三木が俺の方ではなく全く別の方を見て驚いた顔をして指を差し俺にアピールする。


俺は三木に向けて振り上げていた拳を下ろし、そちらの方をみるとププが月島先生の肩を抱き頬を寄せて、今にもキスをしてしまいそうな勢いで写真を撮っていた。


凸「こらぁ~!!ププ!!誰の肩を抱いとるじゃーーーい\\٩(๑`^´๑)۶////」


そう叫びながら月島先生の元に飛んでいくと、月島先生が俺とププの間に入り仲裁する。


しかし、ププは気にする事なく口笛を吹きルンルンで月島先生との写真を俺に見せつけた。


俺と月島先生の関係を知らないそれを見た他の奴らは月島先生とププはお似合いだの、ラブラブだの好き勝手な事を言い我慢の限界で震えていると…


突然、月島先生が俺の方にクルッと振り返り優しく微笑むと、俺の首に腕を回した。


凹「やっと言えるね…」

凸「え…?」

凹「浅井くん…愛してるよ。」


月島先生は俺にそう言うと俺のネクタイをグイッと引っ張り引き寄せると、みんなの前でチュウと俺の唇にキスをした。


突然のことで驚き固まっている俺やクラスメイト達をよそに月島先生はえへへ~と笑いながら肩をすくめてみんなに言った。


凹「実は浅井くんと付き合うと事になったんだ。俺の恋人は浅井くん…だよね?」


月島先生はニコッと微笑み俺にそう問いかけると俺はコクンと頷き、みんなの祝福の声や冷やかし声がグラウンドに響く中、俺は月島先生の腰を抱き寄せみんなに見せつけるようにまた、唇を塞いだ。


つづく
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