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31話
しおりを挟む浅井side
学生最後の夏休み。
残りの夏休みを楽しむんだよ~と月島先生に言われた俺は頑張って楽しもうとするものの…
月島先生と過ごしていた数日の方がはるかに楽しくて全く充実していない夏休みを送る。
たまに親友の三木と一緒にこのクソ暑いなか公園に行って一緒にアイス食ったり鳩と会話してみたり。
そんなことをしながら夏休みを過ごしていた。
そして、ようやく俺の誕生日でもある始業式の日となり、珍しく早起きした俺は髪の毛にワックスなんか塗ったりしちゃって、髪の毛をセットをすると少し香水をふりかけ、久しぶりに月島先生の顔が見れると思うとルンルンで学校に登校する。
俺の中ではめちゃくちゃ早くきたつもりだったが、他のクラスの人たちは普通に登校していた。
しかし、俺たちのクラスの人間はまぁ当然のように誰一人として登校しているわけもなく、1人静かな教室で窓から校庭を覗いてホームルームの時間になるのを待つ。
時間が過ぎるたびにポツポツと教室の中の人間が増えていき、気づいた時にはいつも通りの騒がしい教室となっていた。
俺の顔を見ればクラスメイト達がコンテストで審査員特別賞をとったことを祝ってくれて、誕生日祝いだとコンビニパンや栄養ドリンクなどが俺の机の上に置かれていく。
それに適当にありがとうと礼を言って笑っていると、顔色を変えた三木が息を切らし走って俺の所に飛んできた。
凸「おいおいなんだよ~俺の誕生日だからってなんかプレゼントでもくれんのか?」
俺が三木を揶揄うようにふざけてそう言うが、三木の顔は真顔のままピクリとも動かず、ただ事ではないと気づいた俺は椅子に座り直し三木の顔を見る。
凸「んだよ…そんなマジな顔して…なんかあったのか?」
俺がそう問いかけると三木の額から大きな汗粒がぽとんとこぼれ落ち、ようやく口を開いた。
M「月島先生が…」
三木の口から月島先生の名前が出た瞬間、俺は固まる。
凸「え…月島先生がどうしたんだよ…」
M「学校やめたって…」
それを聞いた瞬間、俺は立ち上がるとそのまま職員室へと走って行った。
背中からは三木がどこ行くんだよ!!と叫んでいる声が聞こえていたが、今の俺はそれどころじゃない。
息を切らし勢いよく職員室の扉を開けると、中にいた教師たちが一斉に俺の方へ視線を向け、その中には月島先生の恋人であるはずの佐々木もいた。
俺はズカズカと職員室の中に入り、教頭の前に立つ。
すると学校内でも不良クラスにいるせいか、特に学生生活中に問題を起こした訳でもないのに教頭は俺の顔を見て後退りをする。
俺はそんな教頭に構うことなく問いかけた。
凸「月島先生は何処だよ。」
俺の問いかけに教頭は禿げた頭に汗を光らせて職員室内にいる教師達はザワザワとし始める。
「月島先生は8月いっぱいで退職されました。また、今日からキミ達の新しい担任の先生が来るからちゃんと言う事を聞くように。」
凸「俺はそんなことを聞いてんじゃねぇんだよ!!月島先生はどこ行ったって聞いてんだよ!!」
「私にそこまで言われても知るはずがないだろ!!」
俺が苛立ちに任せて職員室の椅子を蹴り飛ばすと、体育の先生が俺の腕を掴み職員室から外に出させようとする。
俺はその手を振り解き、俺が暴れているというのにも関わらず、平然とした顔をして職員室のデスクに座りプリントの整理をしていた佐々木の所に行った。
凸「なぁ…アンタなら知ってるよな?月島先生がどこに行ったか。付き合ってんだろ?」
俺がそういうと顔色ひとつ変えることなく俺を見上げ佐々木は立ち上がった。
S「付き合ってるって…なぜ君がそんな事を知ってる?まさか…」
そこまで言いかけると俺の胸ぐらを掴みグイッと自分の方に引き寄せると、俺だけが聞こえる耳元で呟いた。
S「俺の涼に惚れたのか?」
そう言った佐々木はニヤッと笑い、その言葉を聞いた俺は怒りの沸点が振り切れ、勢いよく突き飛ばすと佐々木はわざとらしく転がり、周りの先生達は俺をとんでもない目で見つめる。
「先生に何をしてるんだ!キミも無事に卒業したいのならもうこれ以上やめなさい!!」
教頭はそう言って俺を怒鳴りつけると俺は体育の先生によって職員室から放り出された。
つづく
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