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第十二話
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ツキヤサイド
俺と口付けを交わしたソウをじっと見ていると、突然、ソウの身体がビクビクと大きく痙攣をし始めた。
S「ゔぅ…なんだ…これは…!!お前まさか…カケルと…」
俺は恐ろしさのあまり思わず後退りすると、ふわっと大きな黒い羽根が俺を包み込み、何も見えないように守られた。
K「あんま…ハラハラさせないで…」
俺の耳元でそう呟かれた声がいつの間にか愛おしく感じはじめていたカケルの声で、俺は緊張から強張らせていた身をカケルに任せる。
俺はカケルの羽根に包まれながらソウから離れるとソウは目の前でうめき声をあげながら消えていった。
T「消え…た…ほんとに…消えた…」
K「もう何考えてんだよ…マジで…」
カケルはソウが消えると力なく俺に倒れ込み、そのまま地面にひざまずいた。
T「カケル…」
俺がカケルを支えるようにしゃがみ込むと、カケルは俺の首をグイッと引き寄せキスをした。
少し冷たいカケルの唇を確かめるように俺はカケルの唇を啄む。
カケルはゆっくりと離れた俺の唇を親指で撫でながら涙を滲ませた。
K「あの時…キスしてなかったらって思ったらゾッとする…」
T「知らない間に婚姻関係結ぶなんてズルいよ…」
K「誰にも渡したくなかったから…」
カケルそう言うとそのまま意識を手放した。
M「いや、びっくりした。いきなりソウにキスするから頭狂ったのかと思った。」
H「カケルも真面目そうに見えてなんだかんだ手…早いな。ちゃんともうツキヤにツバ付けてたなんてな。」
ミライとヒイラがカケルのそばにやって来て、倒れたカケルの腕を持つと自分たちの肩に腕を回す。
T「待って…カケルを外に連れていくよ…この怪我だと…命が危ない…」
M「なぁツキヤ…全員分のワクチンが出来るまで…どれくらいかかるんだ…?」
T「ワクチンはあるけど使用許可が下りるのは早くて3ヶ月…」
H「その間にここの奴らがどれだけ命落とすと思う?俺たちにとって人間の生き血は感染拡大目的の以前に命の保持を意味する…それまで人間の血を吸えないって事は俺たちの仲間は死ねってことか?」
T「大丈夫…俺が死なせたりしない…行こう…真実を知らせるために…」
俺はカケルとミライ、そしてヒイラを連れてこの森を出た。
きっとこの事が世間にバレたら俺は死刑だろう…
でも、もうこうするしか方法は見つからなかった。
俺はカケルが教えてくれたパスワードを入れて鍵を開け3人をこの森から外に出した。
ミライとヒイラはおそらく初めて外界の世界を見たのだろう…少し怯えた顔をしながら空を見上げた。
T「あっちだよ…」
俺はカケルとふたりを連れて仲間の待つ場所に向かう。
みんなはどんな反応をするのだろうか…?
不安になりながら俺は止まっている車に近づく。
H「ちょっと待て…本当に信じていいんだな?」
T「うん…大丈夫…俺も命をかけて外に出してるから…」
俺がそう言えばヒイラとミライは目を合わせて頷き俺の後ろについてきた。
俺の姿が見えたのか中から研究所のみんなが降りて来て険しい顔をしている。
俺はゆっくりと近づいていくと全てを悟ったかのようにジンイチロウさんが車の扉を開けた。
J「早く治療しないと…彼の命が…」
その言葉を聞きたヨシキさんとノリさんがカケルを抱えて車の中に乗せる。
T「2人も早く乗って!!」
俺がそう言ってもミライとヒイラは難しい顔をして車に乗ろうとしない。
Y「いいから乗れって!!ツキヤだけじゃ飽き足らず俺たちまで死刑の危機に晒すつもりかよ!!」
ヨシキさんがそう叫ぶとミライとヒイラは恐る恐る車に乗った。
つづく
俺と口付けを交わしたソウをじっと見ていると、突然、ソウの身体がビクビクと大きく痙攣をし始めた。
S「ゔぅ…なんだ…これは…!!お前まさか…カケルと…」
俺は恐ろしさのあまり思わず後退りすると、ふわっと大きな黒い羽根が俺を包み込み、何も見えないように守られた。
K「あんま…ハラハラさせないで…」
俺の耳元でそう呟かれた声がいつの間にか愛おしく感じはじめていたカケルの声で、俺は緊張から強張らせていた身をカケルに任せる。
俺はカケルの羽根に包まれながらソウから離れるとソウは目の前でうめき声をあげながら消えていった。
T「消え…た…ほんとに…消えた…」
K「もう何考えてんだよ…マジで…」
カケルはソウが消えると力なく俺に倒れ込み、そのまま地面にひざまずいた。
T「カケル…」
俺がカケルを支えるようにしゃがみ込むと、カケルは俺の首をグイッと引き寄せキスをした。
少し冷たいカケルの唇を確かめるように俺はカケルの唇を啄む。
カケルはゆっくりと離れた俺の唇を親指で撫でながら涙を滲ませた。
K「あの時…キスしてなかったらって思ったらゾッとする…」
T「知らない間に婚姻関係結ぶなんてズルいよ…」
K「誰にも渡したくなかったから…」
カケルそう言うとそのまま意識を手放した。
M「いや、びっくりした。いきなりソウにキスするから頭狂ったのかと思った。」
H「カケルも真面目そうに見えてなんだかんだ手…早いな。ちゃんともうツキヤにツバ付けてたなんてな。」
ミライとヒイラがカケルのそばにやって来て、倒れたカケルの腕を持つと自分たちの肩に腕を回す。
T「待って…カケルを外に連れていくよ…この怪我だと…命が危ない…」
M「なぁツキヤ…全員分のワクチンが出来るまで…どれくらいかかるんだ…?」
T「ワクチンはあるけど使用許可が下りるのは早くて3ヶ月…」
H「その間にここの奴らがどれだけ命落とすと思う?俺たちにとって人間の生き血は感染拡大目的の以前に命の保持を意味する…それまで人間の血を吸えないって事は俺たちの仲間は死ねってことか?」
T「大丈夫…俺が死なせたりしない…行こう…真実を知らせるために…」
俺はカケルとミライ、そしてヒイラを連れてこの森を出た。
きっとこの事が世間にバレたら俺は死刑だろう…
でも、もうこうするしか方法は見つからなかった。
俺はカケルが教えてくれたパスワードを入れて鍵を開け3人をこの森から外に出した。
ミライとヒイラはおそらく初めて外界の世界を見たのだろう…少し怯えた顔をしながら空を見上げた。
T「あっちだよ…」
俺はカケルとふたりを連れて仲間の待つ場所に向かう。
みんなはどんな反応をするのだろうか…?
不安になりながら俺は止まっている車に近づく。
H「ちょっと待て…本当に信じていいんだな?」
T「うん…大丈夫…俺も命をかけて外に出してるから…」
俺がそう言えばヒイラとミライは目を合わせて頷き俺の後ろについてきた。
俺の姿が見えたのか中から研究所のみんなが降りて来て険しい顔をしている。
俺はゆっくりと近づいていくと全てを悟ったかのようにジンイチロウさんが車の扉を開けた。
J「早く治療しないと…彼の命が…」
その言葉を聞きたヨシキさんとノリさんがカケルを抱えて車の中に乗せる。
T「2人も早く乗って!!」
俺がそう言ってもミライとヒイラは難しい顔をして車に乗ろうとしない。
Y「いいから乗れって!!ツキヤだけじゃ飽き足らず俺たちまで死刑の危機に晒すつもりかよ!!」
ヨシキさんがそう叫ぶとミライとヒイラは恐る恐る車に乗った。
つづく
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