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第十一話

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ツキヤサイド

ゆっくりと落ち葉の上を歩く俺の足をが響くたび、森の呻き声が騒ぎ出す。

そして、俺はカケルの前に立ちそっとカケルの頬をなでた。

T「カケル……」

力なくまぶたを開けたカケルの瞳には俺が写り、カケルは虚な目で力なく笑う。

K「幻覚…まで…見えちまうのかよ…」

T「カケル!!幻覚なんかじゃ!!」

俺がそう言いカケルに抱きつこうとした瞬間、後ろから何者かに羽交い締めにされた。

「噂通りの人間だな…」

その言葉でそれが誰なのか俺は分かった…

こいつが使者のボス…ソウなのだと…

俺はゆっくりと振り返りその顔を見つめる。

俺よりはるかに背の高いソウの目を覗くと、ソウはニヤッと笑い、俺はソウを誘惑するように優しく微笑んだ。

T「俺のこと…お嫁さんにしたいの…?」

カケルと同じ紫色の目をした彼はカケルより闇深い瞳をしていて…圧倒されそうな俺は思わず視線を逸らしそうになる。

S「あぁ…遺伝子を残さないといけないからな?お前は完璧だ。」

俺はソウを誘うようにソウの首に腕を巻き付け…スーっと指を滑らせるようソウの頬に触れた。

すると突然、ソウの瞳は涙が滲み出し一筋の涙がこぼれ落ち思わず俺の心が動揺する。

T「俺が…欲しいの?」

S「欲しい……お前が…欲しい…」

俺の腰に回ったソウの手に力が入り骨まで軋んで思わず俺は歯を食いしばる。

そして、俺は今から残酷な決断をするんだ…

T「俺たちはどうすれば…結婚したことになるんだろ…?どうすれば番になれる?」

微かに震える声でそう問い掛ければ、ソウは嬉しそうに頬を緩め、俺を愛おしそうに見つめる。

ごめんね…カケル…

キミは俺を助けてくれただろ?

だから今度は俺がキミを助けるよ…

S「キスをすれば…誓いのキスをすれば…俺たちの種族はもう…婚姻を結んだことになるんだよ…」

そのソウの言葉を聞いて俺はハッとする。

キスで…?

キスでこの種族は婚姻関係を結べるのか…?

俺はソウにニヤッと微笑み、ソウの頭を強引に引き寄せる。

T「じゃ…俺たち…キスしよ?」

俺がそう呟いた瞬間…

後ろからカケルの荒々しい嘆きのような声が聞こえたような気がした。

大丈夫…これでいいんだよ…カケル…

これですべてが終わる。

俺はゆっくりとソウの唇にキスを落とし…ゆっくりと離れる。

T「THE END」

俺はそう呟きニヤッと笑った。

つづく
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