4 / 18
第四話
しおりを挟む
ツキヤサイド
暗い道…カケルが教えてくれた道を信じてただがむしゃらに走る。
苦しい…辛い…
なんで俺はこんなにも胸が張り裂けそうに痛いんだ…
下唇に感じたカケルの温もりに俺は震えながらただただ走った。
どれくらい走ったのだろう?
足首を掴まれて俺は思いっきり地面に叩きつけられた。
「みーつけた♪」
その声の方を恐る恐る見上げるとそこには瞳は真っ青…肌は真っ白の…吸血鬼が立っていた。
「ん~久しぶりの生きた人間の匂い~最高だな~!ほら、立て!行くぞ?俺の家でたっぷり可愛がってあげるからね?お名前はなんだろねぇ?」
T「やめろ!!離せ!!」
首根っこを掴まれ俺がそれに抵抗をするとガシッと髪の毛を掴まれた。
「あんまイラつかせんなよ?俺が笑ってる間に答えねぇと…すぐに吸血鬼にしちゃうぞ♪」
真顔から急にニコッと笑うその姿が俺は恐ろしくて震える。
T「ツ…ツキヤです……」
「ツキヤか~可愛い名前だね?お顔も綺麗で~ウズウズしちゃう。俺の名前はミライ。ほらミライって呼んでごらん?」
一度あの真顔を見てしまったらその不気味な笑顔が恐ろしくて、真っ青なその瞳はまるで俺の心を操っているのではないかと思うような支配力があった。
T「ミライ…」
M「大変よくできました。じゃ、行こうね?」
ミライの力は男の俺でも想像を絶するもので、俺はミライに掴まれた腕を動かそとしてもピクリとも動かなかった。
M「さっきまでpurple吸血鬼のカケルと一緒にいただろ?あいつのコレ?」
ミライはそう言いながら衝撃的なほど短い小指を俺に見せて俺は目を疑う。
T「え?短っ…なにこれ…ポークピッツ!?」
M「はぁ!?そこじゃねぇわ!!恋人かって聞いてんの!!」
T「あぁ…恋人ではないです…かね…俺…男ですし…」
M「へぇ…なら良かった。あいつの恋人をBlue吸血鬼にした日にゃこの森が一瞬で消えかねないからw」
そう言ってミライは笑っているけど、俺は全然面白くなくて、やっぱ俺…こいつに血吸われるんだと思うと嫌気がさし、思い出したかのように暴れてみてもそれはもう無駄な抵抗でミライに引きずられるようにして俺は歩く。
M「カケルのこと…どこまで知ってるの?」
T「……purple吸血鬼だって事だけ…」
M「そう?じゃ、カケルのこと詳しく教えてあげる。あいつはね?俺たちBlue吸血鬼が外に出て人間を襲って感染を拡げないように外から俺たちの為に死体を持って帰ってくるのが仕事なんだよ?」
T「え…でもカケルは敵だって…」
M「敵かw確かに敵だよね…俺たちは純粋な吸血鬼の血しか入ってないBlue一族で、あいつは人間の血が混ざったPurple一族。吸血鬼の純粋な血を残すために感染を広げようとする俺たちとは大違い。」
T「な…なんで…そんな事するんだよ?」
俺がそう問いかけるとミライはゆっくりと俺の顔を見た。
M「まさか…俺たちが吸血鬼になりたくてなったとでも思ってる?」
T「え…?」
M「人間はいいね…能天気で。俺たちの先祖だって元々は人間だった。なのに30年前、人間があんなくだらない実験をP地区でしたばっかりに…」
T「30年前…?P地区って…確か…大気汚染を防ぐための環境保護として森にC24を撒いた時だよね?」
M「あれは…大気汚染防止じゃなかった…」
T「そんなはずはないよ!?俺たちだって歴史で習ったし!!」
M「教科書ではそうなってるかもしれないけどそうじゃない!!あれは…この森を使った国の実験だったんだ…」
T「そんな……」
M「当時、この森には熊や鹿が大量に繁殖して町の畑を荒らした。それを見かねた政府が新薬を発明した。それは人間には害のない動物にだけ効果のある毒薬。それを大量に繁殖した熊や鹿のいる森に撒いて効果があるか実験したんだ。結果的に熊と鹿は死んだけど…その周辺にいた人間はその毒薬を吸い込み、ある満月の夜…吸血鬼へと身体が変わった。」
T「そんな事…初めて聞いた…俺たちは謎のウイルスでって…」
M「政府はその事実を隠したくて俺たちの先祖を隔離しその事実を全て隠ぺいした。その毒薬に感染したモノ同士が互いの血液や人間の血液を求め、愛し合い子孫を作り繁栄したのがBlue一族。その毒薬に感染しながらも人の血液を拒み唯一、この森で残った人間と愛し合い子孫を作ったのがpurple一族ってわけ。でも、purple一族は人間の血液を拒み続けている結果、寿命は短くカケル達の世代が最後とされている。とても珍しい種族なんだ。」
T「そんな…」
M「だからまぁ、分かりやすくいうと俺たち吸血鬼にとったら人間は仇なんだよ?まぁ、人間の血が半分入ってるpurple一族も敵…お前たち人間の方が死ねばいいのにって心から思ってる…いつかこの街中を俺たちの支配下にしてやるってね?」
ミライはニヤッと笑い俺の頬をすーっと撫でた。
俺……なんで逃げれなかったんだろ…
俺…今からBlue吸血鬼にされるだ…
俺…カケルの…敵になっちゃうかも…
そう思うと恐怖から体の震えが止まらなかった。
M「さぁ!着いた!楽しいお話はここまで!入って~!」
そこは大きな1本の木の中をくり抜いてまるで、一軒家の家のように作られている木があった。
つづく
暗い道…カケルが教えてくれた道を信じてただがむしゃらに走る。
苦しい…辛い…
なんで俺はこんなにも胸が張り裂けそうに痛いんだ…
下唇に感じたカケルの温もりに俺は震えながらただただ走った。
どれくらい走ったのだろう?
足首を掴まれて俺は思いっきり地面に叩きつけられた。
「みーつけた♪」
その声の方を恐る恐る見上げるとそこには瞳は真っ青…肌は真っ白の…吸血鬼が立っていた。
「ん~久しぶりの生きた人間の匂い~最高だな~!ほら、立て!行くぞ?俺の家でたっぷり可愛がってあげるからね?お名前はなんだろねぇ?」
T「やめろ!!離せ!!」
首根っこを掴まれ俺がそれに抵抗をするとガシッと髪の毛を掴まれた。
「あんまイラつかせんなよ?俺が笑ってる間に答えねぇと…すぐに吸血鬼にしちゃうぞ♪」
真顔から急にニコッと笑うその姿が俺は恐ろしくて震える。
T「ツ…ツキヤです……」
「ツキヤか~可愛い名前だね?お顔も綺麗で~ウズウズしちゃう。俺の名前はミライ。ほらミライって呼んでごらん?」
一度あの真顔を見てしまったらその不気味な笑顔が恐ろしくて、真っ青なその瞳はまるで俺の心を操っているのではないかと思うような支配力があった。
T「ミライ…」
M「大変よくできました。じゃ、行こうね?」
ミライの力は男の俺でも想像を絶するもので、俺はミライに掴まれた腕を動かそとしてもピクリとも動かなかった。
M「さっきまでpurple吸血鬼のカケルと一緒にいただろ?あいつのコレ?」
ミライはそう言いながら衝撃的なほど短い小指を俺に見せて俺は目を疑う。
T「え?短っ…なにこれ…ポークピッツ!?」
M「はぁ!?そこじゃねぇわ!!恋人かって聞いてんの!!」
T「あぁ…恋人ではないです…かね…俺…男ですし…」
M「へぇ…なら良かった。あいつの恋人をBlue吸血鬼にした日にゃこの森が一瞬で消えかねないからw」
そう言ってミライは笑っているけど、俺は全然面白くなくて、やっぱ俺…こいつに血吸われるんだと思うと嫌気がさし、思い出したかのように暴れてみてもそれはもう無駄な抵抗でミライに引きずられるようにして俺は歩く。
M「カケルのこと…どこまで知ってるの?」
T「……purple吸血鬼だって事だけ…」
M「そう?じゃ、カケルのこと詳しく教えてあげる。あいつはね?俺たちBlue吸血鬼が外に出て人間を襲って感染を拡げないように外から俺たちの為に死体を持って帰ってくるのが仕事なんだよ?」
T「え…でもカケルは敵だって…」
M「敵かw確かに敵だよね…俺たちは純粋な吸血鬼の血しか入ってないBlue一族で、あいつは人間の血が混ざったPurple一族。吸血鬼の純粋な血を残すために感染を広げようとする俺たちとは大違い。」
T「な…なんで…そんな事するんだよ?」
俺がそう問いかけるとミライはゆっくりと俺の顔を見た。
M「まさか…俺たちが吸血鬼になりたくてなったとでも思ってる?」
T「え…?」
M「人間はいいね…能天気で。俺たちの先祖だって元々は人間だった。なのに30年前、人間があんなくだらない実験をP地区でしたばっかりに…」
T「30年前…?P地区って…確か…大気汚染を防ぐための環境保護として森にC24を撒いた時だよね?」
M「あれは…大気汚染防止じゃなかった…」
T「そんなはずはないよ!?俺たちだって歴史で習ったし!!」
M「教科書ではそうなってるかもしれないけどそうじゃない!!あれは…この森を使った国の実験だったんだ…」
T「そんな……」
M「当時、この森には熊や鹿が大量に繁殖して町の畑を荒らした。それを見かねた政府が新薬を発明した。それは人間には害のない動物にだけ効果のある毒薬。それを大量に繁殖した熊や鹿のいる森に撒いて効果があるか実験したんだ。結果的に熊と鹿は死んだけど…その周辺にいた人間はその毒薬を吸い込み、ある満月の夜…吸血鬼へと身体が変わった。」
T「そんな事…初めて聞いた…俺たちは謎のウイルスでって…」
M「政府はその事実を隠したくて俺たちの先祖を隔離しその事実を全て隠ぺいした。その毒薬に感染したモノ同士が互いの血液や人間の血液を求め、愛し合い子孫を作り繁栄したのがBlue一族。その毒薬に感染しながらも人の血液を拒み唯一、この森で残った人間と愛し合い子孫を作ったのがpurple一族ってわけ。でも、purple一族は人間の血液を拒み続けている結果、寿命は短くカケル達の世代が最後とされている。とても珍しい種族なんだ。」
T「そんな…」
M「だからまぁ、分かりやすくいうと俺たち吸血鬼にとったら人間は仇なんだよ?まぁ、人間の血が半分入ってるpurple一族も敵…お前たち人間の方が死ねばいいのにって心から思ってる…いつかこの街中を俺たちの支配下にしてやるってね?」
ミライはニヤッと笑い俺の頬をすーっと撫でた。
俺……なんで逃げれなかったんだろ…
俺…今からBlue吸血鬼にされるだ…
俺…カケルの…敵になっちゃうかも…
そう思うと恐怖から体の震えが止まらなかった。
M「さぁ!着いた!楽しいお話はここまで!入って~!」
そこは大きな1本の木の中をくり抜いてまるで、一軒家の家のように作られている木があった。
つづく
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
実はαだった俺、逃げることにした。
るるらら
BL
俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!
実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。
一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!
前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。
!注意!
初のオメガバース作品。
ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。
バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。
!ごめんなさい!
幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に
復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!
【BL】僕(18歳)、イケメン吸血鬼に飼い慣らされる。
猫足02
BL
地下室に閉じ込められていた吸血鬼の封印が解け、王族は絶体絶命。このままでは国も危ないため、王は交換条件を持ちかけた。
「願いをひとつなんでも聞こう。それでこの城と国を見逃してはくれないか」
「よかろう。では王よ、お前の子供をひとり、私の嫁に寄越せ」
「……!」
姉が吸血鬼のもとにやられてしまう、と絶望したのも束の間。
指名されたのは、なんと弟の僕で……!?
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
天涯孤独になった少年は、元兵士の優しいオジサンと幸せに生きる
ir(いる)
BL
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元兵士の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。
失恋して崖から落ちたら、山の主の熊さんの嫁になった
無月陸兎
BL
ホタル祭で夜にホタルを見ながら友達に告白しようと企んでいた俺は、浮かれてムードの欠片もない山道で告白してフラれた。更には足を踏み外して崖から落ちてしまった。
そこで出会った山の主の熊さんと会い俺は熊さんの嫁になった──。
チョロくてちょっぴりおつむが弱い主人公が、ひたすら自分の旦那になった熊さん好き好きしてます。
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる