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第四話

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ツキヤサイド

暗い道…カケルが教えてくれた道を信じてただがむしゃらに走る。

苦しい…辛い…

なんで俺はこんなにも胸が張り裂けそうに痛いんだ…

下唇に感じたカケルの温もりに俺は震えながらただただ走った。

どれくらい走ったのだろう?

足首を掴まれて俺は思いっきり地面に叩きつけられた。

「みーつけた♪」

その声の方を恐る恐る見上げるとそこには瞳は真っ青…肌は真っ白の…吸血鬼が立っていた。

「ん~久しぶりの生きた人間の匂い~最高だな~!ほら、立て!行くぞ?俺の家でたっぷり可愛がってあげるからね?お名前はなんだろねぇ?」

T「やめろ!!離せ!!」

首根っこを掴まれ俺がそれに抵抗をするとガシッと髪の毛を掴まれた。

「あんまイラつかせんなよ?俺が笑ってる間に答えねぇと…すぐに吸血鬼にしちゃうぞ♪」

真顔から急にニコッと笑うその姿が俺は恐ろしくて震える。

T「ツ…ツキヤです……」

「ツキヤか~可愛い名前だね?お顔も綺麗で~ウズウズしちゃう。俺の名前はミライ。ほらミライって呼んでごらん?」

一度あの真顔を見てしまったらその不気味な笑顔が恐ろしくて、真っ青なその瞳はまるで俺の心を操っているのではないかと思うような支配力があった。

T「ミライ…」

M「大変よくできました。じゃ、行こうね?」

ミライの力は男の俺でも想像を絶するもので、俺はミライに掴まれた腕を動かそとしてもピクリとも動かなかった。

M「さっきまでpurple吸血鬼のカケルと一緒にいただろ?あいつのコレ?」

ミライはそう言いながら衝撃的なほど短い小指を俺に見せて俺は目を疑う。

T「え?短っ…なにこれ…ポークピッツ!?」

M「はぁ!?そこじゃねぇわ!!恋人かって聞いてんの!!」

T「あぁ…恋人ではないです…かね…俺…男ですし…」

M「へぇ…なら良かった。あいつの恋人をBlue吸血鬼にした日にゃこの森が一瞬で消えかねないからw」

そう言ってミライは笑っているけど、俺は全然面白くなくて、やっぱ俺…こいつに血吸われるんだと思うと嫌気がさし、思い出したかのように暴れてみてもそれはもう無駄な抵抗でミライに引きずられるようにして俺は歩く。

M「カケルのこと…どこまで知ってるの?」

T「……purple吸血鬼だって事だけ…」

M「そう?じゃ、カケルのこと詳しく教えてあげる。あいつはね?俺たちBlue吸血鬼が外に出て人間を襲って感染を拡げないように外から俺たちの為に死体を持って帰ってくるのが仕事なんだよ?」

T「え…でもカケルは敵だって…」

M「敵かw確かに敵だよね…俺たちは純粋な吸血鬼の血しか入ってないBlue一族で、あいつは人間の血が混ざったPurple一族。吸血鬼の純粋な血を残すために感染を広げようとする俺たちとは大違い。」

T「な…なんで…そんな事するんだよ?」

俺がそう問いかけるとミライはゆっくりと俺の顔を見た。

M「まさか…俺たちが吸血鬼になりたくてなったとでも思ってる?」

T「え…?」

M「人間はいいね…能天気で。俺たちの先祖だって元々は人間だった。なのに30年前、人間があんなくだらない実験をP地区でしたばっかりに…」

T「30年前…?P地区って…確か…大気汚染を防ぐための環境保護として森にC24を撒いた時だよね?」

M「あれは…大気汚染防止じゃなかった…」

T「そんなはずはないよ!?俺たちだって歴史で習ったし!!」

M「教科書ではそうなってるかもしれないけどそうじゃない!!あれは…この森を使った国の実験だったんだ…」

T「そんな……」

M「当時、この森には熊や鹿が大量に繁殖して町の畑を荒らした。それを見かねた政府が新薬を発明した。それは人間には害のない動物にだけ効果のある毒薬。それを大量に繁殖した熊や鹿のいる森に撒いて効果があるか実験したんだ。結果的に熊と鹿は死んだけど…その周辺にいた人間はその毒薬を吸い込み、ある満月の夜…吸血鬼へと身体が変わった。」

T「そんな事…初めて聞いた…俺たちは謎のウイルスでって…」

M「政府はその事実を隠したくて俺たちの先祖を隔離しその事実を全て隠ぺいした。その毒薬に感染したモノ同士が互いの血液や人間の血液を求め、愛し合い子孫を作り繁栄したのがBlue一族。その毒薬に感染しながらも人の血液を拒み唯一、この森で残った人間と愛し合い子孫を作ったのがpurple一族ってわけ。でも、purple一族は人間の血液を拒み続けている結果、寿命は短くカケル達の世代が最後とされている。とても珍しい種族なんだ。」

T「そんな…」

M「だからまぁ、分かりやすくいうと俺たち吸血鬼にとったら人間は仇なんだよ?まぁ、人間の血が半分入ってるpurple一族も敵…お前たち人間の方が死ねばいいのにって心から思ってる…いつかこの街中を俺たちの支配下にしてやるってね?」

ミライはニヤッと笑い俺の頬をすーっと撫でた。

俺……なんで逃げれなかったんだろ…

俺…今からBlue吸血鬼にされるだ…

俺…カケルの…敵になっちゃうかも…

そう思うと恐怖から体の震えが止まらなかった。

M「さぁ!着いた!楽しいお話はここまで!入って~!」

そこは大きな1本の木の中をくり抜いてまるで、一軒家の家のように作られている木があった。


つづく
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