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35話
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ジュンペイside
トルハくんが部屋に入る音を聞いてヤヨイさんは俺の耳を引っ張りソファに座らせた。
J「痛てぇ!!」
N「ヤヨイ!そんな荒っぽい事しなくても!!」
Y「はぁ…想像してたよりもダメだ…この子。」
ヤヨイさんは呆れたような顔をして俺にそう言った。
J「なんなんですかいきなり!!」
Y「なんでジュンペイってそんな無神経なの?それでよく執事なんて出来てたね…トルハの様子みて気づかないの?」
そう言われてみればおかしい事は山ほどある。
いつも温厚で穏やかなトルハくんはイライラして怒りやすくなり、常に不安そうな顔をして俺に冷たくなった。
J「確かに…最近…変ですね…」
Y「いい?あればマタニティーブルーってやつなの。あなたたちの場合、これからパートナーシップも組まないといけないから、マリッジブルーもあるし!普通、妊娠するとホルモンのバランスで旦那の顔を見るだけでその脳天気な顔に腹立つのよ。私も毎日ナツオさんの顔見てブチギレてたわ。」
J「え……でも…妊娠してるのはヤヨイさんであって…トルハくんではな…」
Y「トルハよ。」
ヤヨイさんは少し怖い顔をしてそう言った。
J「え?」
Y「確かに物理的に妊娠して産むのは私。だけど、トルハは今、私と心も体も共有してるように悪阻も同じように感じて妊娠中の不安も繊細に感じてる…何故だか分かる?」
J「…いや…俺には…」
Y「それだけジュンペイとの子供を強く望んでいるから。私はあくまでも卵子とお腹を提供した代理よ…今このお腹はもう…トルハのお腹も同然なのよ。だからジュンペイも早く父親としての自覚…芽生えさせなきゃね?」
俺はヤヨイさんの言葉にハッとさせられた。
軽く考えていた訳でもないし、何度も話し合った結果、俺たちはヤヨイさんに代理母になってもらい子供を授かることを望んだ。
トルハくんはヤヨイさんと体を共有してるかのように全て感じているのに、俺は何ひとつ感じる事が出来なくて自分の情けなさと無神経ぶりに嫌気がさした。
確かに考えてみれば最近、トルハくんは俺の夜のお誘いをよく断るようになった。
あの頃からきっと、貰いツワリによる体調に変化があったんだろう。
今まで執事をしていた時なら些細なことでもすぐに敏感に感じ坊っちゃんの異変として毎日、日記をつけていた。
なのに俺はトルハくんとの愛ある生活に満足し過ぎていて、そんな些細な変化に気付くことなく幸せボケをしていた。
俺はトルハくんの不安定になっていく気持ちも考えずに目の前のことに喜んでしまった事を少しだけ後悔した。
J「ちょっと…上にいってきます…」
Y「今はやめといた方がいいと思うけど…」
俺はそう忠告するヤヨイさんを無視してトルハくんの元へと向かった。
つづく
トルハくんが部屋に入る音を聞いてヤヨイさんは俺の耳を引っ張りソファに座らせた。
J「痛てぇ!!」
N「ヤヨイ!そんな荒っぽい事しなくても!!」
Y「はぁ…想像してたよりもダメだ…この子。」
ヤヨイさんは呆れたような顔をして俺にそう言った。
J「なんなんですかいきなり!!」
Y「なんでジュンペイってそんな無神経なの?それでよく執事なんて出来てたね…トルハの様子みて気づかないの?」
そう言われてみればおかしい事は山ほどある。
いつも温厚で穏やかなトルハくんはイライラして怒りやすくなり、常に不安そうな顔をして俺に冷たくなった。
J「確かに…最近…変ですね…」
Y「いい?あればマタニティーブルーってやつなの。あなたたちの場合、これからパートナーシップも組まないといけないから、マリッジブルーもあるし!普通、妊娠するとホルモンのバランスで旦那の顔を見るだけでその脳天気な顔に腹立つのよ。私も毎日ナツオさんの顔見てブチギレてたわ。」
J「え……でも…妊娠してるのはヤヨイさんであって…トルハくんではな…」
Y「トルハよ。」
ヤヨイさんは少し怖い顔をしてそう言った。
J「え?」
Y「確かに物理的に妊娠して産むのは私。だけど、トルハは今、私と心も体も共有してるように悪阻も同じように感じて妊娠中の不安も繊細に感じてる…何故だか分かる?」
J「…いや…俺には…」
Y「それだけジュンペイとの子供を強く望んでいるから。私はあくまでも卵子とお腹を提供した代理よ…今このお腹はもう…トルハのお腹も同然なのよ。だからジュンペイも早く父親としての自覚…芽生えさせなきゃね?」
俺はヤヨイさんの言葉にハッとさせられた。
軽く考えていた訳でもないし、何度も話し合った結果、俺たちはヤヨイさんに代理母になってもらい子供を授かることを望んだ。
トルハくんはヤヨイさんと体を共有してるかのように全て感じているのに、俺は何ひとつ感じる事が出来なくて自分の情けなさと無神経ぶりに嫌気がさした。
確かに考えてみれば最近、トルハくんは俺の夜のお誘いをよく断るようになった。
あの頃からきっと、貰いツワリによる体調に変化があったんだろう。
今まで執事をしていた時なら些細なことでもすぐに敏感に感じ坊っちゃんの異変として毎日、日記をつけていた。
なのに俺はトルハくんとの愛ある生活に満足し過ぎていて、そんな些細な変化に気付くことなく幸せボケをしていた。
俺はトルハくんの不安定になっていく気持ちも考えずに目の前のことに喜んでしまった事を少しだけ後悔した。
J「ちょっと…上にいってきます…」
Y「今はやめといた方がいいと思うけど…」
俺はそう忠告するヤヨイさんを無視してトルハくんの元へと向かった。
つづく
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