上 下
29 / 39

29話

しおりを挟む
ジュンペイside


坊っちゃんからのまさかの言葉が聞けた俺は一気に元気になり…


T「もう、見過ぎ。元気になったんだからジュンペイが運転しろよ。」


運転席でハンドルを握る坊っちゃんの姿を助手席でニヤニヤしながら見つめた。


J「こんな機会滅多にないんでね。坊っちゃんの運転する姿を目に焼き付けておこうと思いまして。」


俺はあまりにも美しい坊っちゃんの横顔に夢中になりながらその頬にチュッとキスをする。


T「もう~危ないからやめろよ~あと2人の時は坊っちゃんって呼ぶのもやめて。あと敬語もやだ。」

J「はい。坊っちゃんかしこまりました。」

T「あぁー!!もう使った!!これから敬語使ったり坊っちゃんって呼んだら罰として俺とその日1日キス禁止。」

J「えぇぇぇーーー!!それ無理ーーー!!」

T「じゃ、今からスタート!!」


トルハくんは赤信号で止まるとニコッと俺の方を向いて甘えた顔してチュウと俺の唇に吸い付く。


あまりの気持ち良さからトルハくんの後頭部に手が伸びそうになると、あまりにもアッサリと前を向き青信号になったのを確認して車を走らせる。


そんなトルハくんが歯痒ゆくてもどかしくてトルハくんは散々、赤信号になるたび俺の事を弄び、俺はさらにトルハくんの事で頭がいっぱいになった。


屋敷に戻るといつもいるはずのメイド達がトルハくんのお出迎えにすら来ず、俺がイライラしていると横にいるトルハくんにメールが届いた。


T「ジュンペイ…大変…」

J「え?なに?どうしたの?」

T「今日…この屋敷…俺たち2人っきりだ…」

J「え……」


2人っきりと聞いただけで俺はドキドキとし汗が溢れ出すのに、トルハくんは2人っきりと知って俺の手に指を絡める。


T「ナツオくんが…メイド達とばぁやに休暇を取らせたから屋敷には誰もいないって…父さんは…主張先に泊りで行ってるって…。どうしよう…何する…?」


トルハくんはそう言いながら握った俺の手を両手で包み込み、俺を上目遣いで見つめて誘う。


J「な…何するって…」

T「この前のやり直し…しない?」


そう言った坊っちゃんの目はメイクをしているせいかいつもより色っぽくて艶っぽい。


トルハくんは俺の返事を聞く前に俺の手を引っ張って微笑みながら螺旋階段を駆け上がった。

嬉しそうに自分の部屋の扉を開け部屋の中に入ると、トルハくんはクルッと振り返り俺に飛びつくようにして抱きついた。


J「トルハくん…?」

T「もっと呼んで…」

J「トルハくん…」

T「ずっとそう呼んでほしかった…」


ゆっくりと離れたトルハくんの目には薄らと涙が揺らいでいて…


俺はトルハくんの唇にそっと優しく口付け、ワイシャツのボタンを外した。


T「ジュンペイ…」


全ての快感にまみれた俺たちは布団に仲良く包まり、トルハくんは俺の腕の中で俺を見上げる。


J「ん?」

T「気持ち良かった?」


あまりにも純粋な瞳をして俺にそう問いかけるのでつい、俺からは微笑みが溢れてしまう。


T「なんで笑うんだよ…気持ちよくなかったのかよ?」

J「めちゃくちゃ気持ち良かったよ。」


そう言ってトルハくんのまぶたにチュウと唇を押し当てると、トルハくんは満足気に笑った。


T「ジュンペイ…あのさ?」

J「ん?」

T「ジュンペイは…もう…執事…クビだからね。」


トルハくんのその言葉に俺は思わず固まり、ドキッと心臓が鳴り響き緊張から全身に力が入る。


J「え?」

T「だって今日からは俺の秘書兼…恋人…でしょ?」


トルハくんのその言葉に安心した俺は力が抜けて、腕の中にいるトルハくんを食べてしまいそうな勢いで抱きしめる。


J「はぁ…もう可愛い…トルハくん、お願いだから…そんな可愛い顔してそんな可愛いこと言わないで…いや違うな。俺にだけに言って…誰にもそんな可愛い顔しないで…可愛いことも言っちゃダメ。分かった?」

T「ジュンペイが毎日ちゃんと俺のことを愛してくれるならそうする。」

J「お安いご用。」

そうして俺たちは今日から恋人となった。


つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おだやかDomは一途なSubの腕の中

phyr
BL
リユネルヴェニア王国北の砦で働く魔術師レーネは、ぽやぽやした性格で魔術以外は今ひとつ頼りない。世話をするよりもされるほうが得意なのだが、ある日所属する小隊に新人が配属され、そのうち一人を受け持つことになった。 担当することになった新人騎士ティノールトは、書類上のダイナミクスはNormalだがどうやらSubらしい。Domに頼れず倒れかけたティノールトのためのPlay をきっかけに、レーネも徐々にDomとしての性質を目覚めさせ、二人は惹かれ合っていく。 しかしティノールトの異動によって離れ離れになってしまい、またぼんやりと日々を過ごしていたレーネのもとに、一通の書類が届く。 『貴殿を、西方将軍補佐官に任命する』 ------------------------ ※10/5-10/27, 11/1-11/23の間、毎日更新です。 ※この作品はDom/Subユニバースの設定に基づいて創作しています。一部独自の解釈、設定があります。 表紙は祭崎飯代様に描いていただきました。ありがとうございました。 第11回BL小説大賞にエントリーしております。

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

失恋して崖から落ちたら、山の主の熊さんの嫁になった

無月陸兎
BL
ホタル祭で夜にホタルを見ながら友達に告白しようと企んでいた俺は、浮かれてムードの欠片もない山道で告白してフラれた。更には足を踏み外して崖から落ちてしまった。 そこで出会った山の主の熊さんと会い俺は熊さんの嫁になった──。 チョロくてちょっぴりおつむが弱い主人公が、ひたすら自分の旦那になった熊さん好き好きしてます。

処理中です...