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25話

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ジュンペイside


まさかだった。


メイクをした事も手に触れた事もない俺がメイクアップ?


しかし、会社の緊急事態…


俺で力になれるのであれば…


俺はなんでもする。


J「やります。やらせて下さい。私の出来ることで坊っちゃんいや、会社の為になるのであればやらせて下さい。」


俺がそう告げれば坊っちゃんは力強く頷いた。


T「マヤト、チームリーダーを呼んで来い。ジュンペイにメイク道具の使い方を教えさせて明日の生放送までにトレーニングする。」

M「わ…わかりました。」

N「おもしろくなってきたね~ね?ヤヨイちゃん♪」


ナツオくんはいつもの調子で笑いながら仲直りしたのかヤヨイさんと肩を組んでいる。


Y「トルハ、私はとりあえず何すればいい?」

T「ヤヨイさんは明日、俺とジュンペイが着る衣装を準備してほしい。俺はメイク映えがするようにシンプルなモノでジュンペイは…落ち着いた感じの色味のモノで。」

Y「分かった。」


そうして、俺たちは明日の生放送に向けての準備が始まった。


俺の目の前に並べられた数々のメイク道具達。


これを全て坊っちゃんを含めた社員達が発案し考案し、愛情持って販売しているのだと思うと重すぎる責任という言葉が俺の肩にズシッとのし掛かる。


坊っちゃんはスーツから汚れてもいいシャツに着替え、俺の前にある椅子に腰掛けた。


マヤトさんによって呼び出されたチームリーダーのミレイさんは、慣れた口調で化粧品を早口言葉のように俺に説明していくものの…


無知な俺はスーッと頭の中を通り抜けていく。


*「これで一応、ひと通りの道具の説明は終わりです。では、次は使い方の説明を副社長の顔で説明させて頂きます。」

J「え…あ…はい…」


テキパキとことなしていくミレイさんに付いていくので必死な俺はオドオドしながらとりあえず返事をした。


すると、目の前のイスに座る坊っちゃんが少し笑いながら言った。


T「ミレイさんありがとう。一旦、休憩しましょう?素人に焦って詰め込んでも出来る事は限られてる。焦らず、僕たちが今できることをやればきっと評価されるから大丈夫です。だから、30分休憩!!ミレイさんこれで1階にあるcaféで飲み物買ってきて。」

*「すいません…気持ちだけが先走ってしまって…ありがとうございます。」

T「うん。よろしくね。」


そう言ってミレイさんは坊っちゃんからカードを受け取り、部屋から出て行き俺たちは2人っきりになった。


T「疲れたろ。座れば?」

J「大丈夫です…」

T「やっぱ…やめる?生放送…」

坊っちゃんのその言葉を聞いて俺は咄嗟に坊っちゃんの顔を見ると、坊っちゃんは少し眉毛を下げて笑っていた。


J「やめません。」

T「…そっか…ありがとう。」


そうして訪れた沈黙。


どちらかが話すわけでもなくただ、部屋の中で呼吸の音だけが繰り返されお互いの存在を知らせる。


すると、坊っちゃんは俺の手をそっと持ちゆっくりと自分の顔に近づけ、俺の指先を持って自分の頬や鼻筋に触れさせた。


J「坊っ…ちゃん?」

T「俺の顔の魅力を理解して…どうすれば綺麗になるか…美しくなるか…こうやって触って感じるんだ。何をどこに塗るか…何をどこに使うかよりも…お前のこの手で俺をどれだけ綺麗に美しく仕上げる事が出来るかが重要なんだよ…」


坊っちゃんはそう話しながら俺の指先で自分の唇をスーッとなぞる。


T「ジュンペイなら…俺のこと…綺麗にしてくるよね?」

J「も…もちろんです。」


俺がそう答えると坊っちゃんはニコッと微笑み俺の手のひらにそっと唇を押し付けた。


つづく
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