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24話
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トルハside
俺は明日の生放送のスケジュールに目を通し、変更できる所は全て変更してチェックを入れていく。
その間もジュンペイとマヤトは俺の横で必死な顔してメイクアップアーティストとモデルを探していた。
M「そうですか…ありがとうございました。」
マヤトが受話器を置くのを確認して俺は声をかけた。
T「見つかりそう?」
M「いや…今、チーム内の社員全員でメイクアップアーティストとモデルに掛け合ってるけど…さすがに明日は難しいって…こうなったら最悪…女性社員にモデル役とレクチャー役をさせたらどうだろ?美容のプロなのは間違いないだろ?」
マヤトの提案に俺は黙り込み頭を抱える…
確かにここにいる全社員は美容のプロだ。
しかし、今任せてすぐ明日の生放送に対応できるほど腹の据わった人間はいるのだろうか…?
それを見た視聴者がこの商品が欲しい…そう思わせることができるのだろうか…?
ガシガシと頭を掻くと落ち着いた声が聞こえた。
N「それはダメだよ。」
顔を上げるとそこにはヤヨイさんと並ぶように立つナツオくんがいた。
T「ナツオくん…でも最悪の場合は…そうするしか…」
N「なら俺は生放送を中止した方がいいと思う。」
ナツオくんは厳しい顔をしてそう言った。
ナツオくんの言いたいことはわかる。
妥協して女性社員に生放送をやらせたとしても、俺たち会社のブランドイメージが変わってしまう可能性がある。
しかし、生放送を中止するとなると…会社には大きすぎる損害がうまれてしまう。
T「中止は…絶対にだめ。何がなんでもやる。」
俺がデスクをバンッと強く叩き立ち上がりながらそう言うと、ナツオくんはニコッと笑って言った。
N「トルハがモデルやりな。」
T「はぁ!!!!!?」
N「メイクアップアーティストはジュンペイがやればいい。」
T「はぁーーーーーー!!!!!?」
満足気に笑いながらそういうナツオくんに俺はイライラしながらナツオくんの真ん前まで行き問い詰める。
T「マジで何言ってんの!?海外生活長くて頭おかしくなったんじゃない!?俺は男なのにモデルなんておかしいだろ!!しかも、なんでジュンペイがメイクアップアーティストなわけ!?あいつがメイクなんて出来るわけないじゃん!!なぁ!!ジュンペイ!!」
俺は鼻息荒くそうナツオくんに訴え、振り返ってジュンペイに意見を求める。
J「そ…そうですよ…俺メイクなんてした事ないですし…」
T「ほらぁ!!」
N「でも、ジュンペイは絵を描くのが得意じゃん。メイクは絵を描くのと同じ。人の顔をキャンバスだと思って綺麗に仕上げていけばいいんだよ?ジュンペイならトルハの顔も知り尽くしてるし、急遽代役させるそこら辺の女性社員より上手く出来ると思うけど?」
T「ねぇ!ナツオくんまじで何言ってんの!?これは遊びじゃないんだよ!?会社のイメージが掛かってんの!!」
N「なら尚更、副社長自らモデルになってウチの商品の良さをアピールするべきじゃない?男の肌でも綺麗に美しく滑らかに仕上がる化粧品……化粧品に触れたことのない男が使っても綺麗に美しく滑らかに仕上がる化粧品……俺が視聴者なら興味湧くけどな?」
確かに世界中の女性たちはどんな高級化粧品を買ったとしてもその化粧品の使いにくさに日々、苦労し頭を悩ませている。
俺たちの会社はそこに目をつけてメイクの苦手な人や時間のない人でも簡単に使える化粧品を作ることを目指してきた。
もしかしたら…男である俺がモデルになれば…
今の時代、メイクをする男性も増えてきてもしかすると男性の顧客も掴めるかもしれない…
ナツオくんの言うようにやってみる価値…
あるかも…
俺はゆっくりとジュンペイに近づき、ジュンペイの目を見て言った。
T「商品の説明は司会のマヤトに任せるとして…ジュンペイは…出来る自信ある?」
J「え……?」
目の前のジュンペイの目には明らかに戸惑いと不安が入り混じっているのが俺にも見て取れる。
T「俺がモデルになるとしたら…メイクアップをするのはジュンペイしかいないと思ってる。俺の顔を知り尽くしてるジュンペイしか…どうする?生放送を中止するのかしないのかは…もうジュンペイ…お前次第だよ。」
ジュンペイには荷が重すぎるかもしれない。
俺の執事として今まで生活をしてきただけで、大勢のスタッフやカメラの前で何かをするということを経験した事がないから。
でも、俺はこの時…ジュンペイの腹の据わった根性に賭けたんだ。
T「ジュンペイ…どうす…」
J「やります。やらせて下さい。私の出来ることで坊っちゃんいや、会社の為になるのであればやらせて下さい。」
ジュンペイは微かに震えた声でそう言った。
つづく
俺は明日の生放送のスケジュールに目を通し、変更できる所は全て変更してチェックを入れていく。
その間もジュンペイとマヤトは俺の横で必死な顔してメイクアップアーティストとモデルを探していた。
M「そうですか…ありがとうございました。」
マヤトが受話器を置くのを確認して俺は声をかけた。
T「見つかりそう?」
M「いや…今、チーム内の社員全員でメイクアップアーティストとモデルに掛け合ってるけど…さすがに明日は難しいって…こうなったら最悪…女性社員にモデル役とレクチャー役をさせたらどうだろ?美容のプロなのは間違いないだろ?」
マヤトの提案に俺は黙り込み頭を抱える…
確かにここにいる全社員は美容のプロだ。
しかし、今任せてすぐ明日の生放送に対応できるほど腹の据わった人間はいるのだろうか…?
それを見た視聴者がこの商品が欲しい…そう思わせることができるのだろうか…?
ガシガシと頭を掻くと落ち着いた声が聞こえた。
N「それはダメだよ。」
顔を上げるとそこにはヤヨイさんと並ぶように立つナツオくんがいた。
T「ナツオくん…でも最悪の場合は…そうするしか…」
N「なら俺は生放送を中止した方がいいと思う。」
ナツオくんは厳しい顔をしてそう言った。
ナツオくんの言いたいことはわかる。
妥協して女性社員に生放送をやらせたとしても、俺たち会社のブランドイメージが変わってしまう可能性がある。
しかし、生放送を中止するとなると…会社には大きすぎる損害がうまれてしまう。
T「中止は…絶対にだめ。何がなんでもやる。」
俺がデスクをバンッと強く叩き立ち上がりながらそう言うと、ナツオくんはニコッと笑って言った。
N「トルハがモデルやりな。」
T「はぁ!!!!!?」
N「メイクアップアーティストはジュンペイがやればいい。」
T「はぁーーーーーー!!!!!?」
満足気に笑いながらそういうナツオくんに俺はイライラしながらナツオくんの真ん前まで行き問い詰める。
T「マジで何言ってんの!?海外生活長くて頭おかしくなったんじゃない!?俺は男なのにモデルなんておかしいだろ!!しかも、なんでジュンペイがメイクアップアーティストなわけ!?あいつがメイクなんて出来るわけないじゃん!!なぁ!!ジュンペイ!!」
俺は鼻息荒くそうナツオくんに訴え、振り返ってジュンペイに意見を求める。
J「そ…そうですよ…俺メイクなんてした事ないですし…」
T「ほらぁ!!」
N「でも、ジュンペイは絵を描くのが得意じゃん。メイクは絵を描くのと同じ。人の顔をキャンバスだと思って綺麗に仕上げていけばいいんだよ?ジュンペイならトルハの顔も知り尽くしてるし、急遽代役させるそこら辺の女性社員より上手く出来ると思うけど?」
T「ねぇ!ナツオくんまじで何言ってんの!?これは遊びじゃないんだよ!?会社のイメージが掛かってんの!!」
N「なら尚更、副社長自らモデルになってウチの商品の良さをアピールするべきじゃない?男の肌でも綺麗に美しく滑らかに仕上がる化粧品……化粧品に触れたことのない男が使っても綺麗に美しく滑らかに仕上がる化粧品……俺が視聴者なら興味湧くけどな?」
確かに世界中の女性たちはどんな高級化粧品を買ったとしてもその化粧品の使いにくさに日々、苦労し頭を悩ませている。
俺たちの会社はそこに目をつけてメイクの苦手な人や時間のない人でも簡単に使える化粧品を作ることを目指してきた。
もしかしたら…男である俺がモデルになれば…
今の時代、メイクをする男性も増えてきてもしかすると男性の顧客も掴めるかもしれない…
ナツオくんの言うようにやってみる価値…
あるかも…
俺はゆっくりとジュンペイに近づき、ジュンペイの目を見て言った。
T「商品の説明は司会のマヤトに任せるとして…ジュンペイは…出来る自信ある?」
J「え……?」
目の前のジュンペイの目には明らかに戸惑いと不安が入り混じっているのが俺にも見て取れる。
T「俺がモデルになるとしたら…メイクアップをするのはジュンペイしかいないと思ってる。俺の顔を知り尽くしてるジュンペイしか…どうする?生放送を中止するのかしないのかは…もうジュンペイ…お前次第だよ。」
ジュンペイには荷が重すぎるかもしれない。
俺の執事として今まで生活をしてきただけで、大勢のスタッフやカメラの前で何かをするということを経験した事がないから。
でも、俺はこの時…ジュンペイの腹の据わった根性に賭けたんだ。
T「ジュンペイ…どうす…」
J「やります。やらせて下さい。私の出来ることで坊っちゃんいや、会社の為になるのであればやらせて下さい。」
ジュンペイは微かに震えた声でそう言った。
つづく
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