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10話

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ジュンペイside

そうやってのん気な声で現れる人は俺の知ってる中でたった1人しかいない…


J「ナツオさん…何やってんですか?」

「あ…あなた誰よ!?」


メイドはナツオさんと会ったことがなく、偉そうな顔をして鼻の穴全開でナツオさんに威嚇している。


N「え?俺?キミさ?俺のこと誰かも知らないで俺に擦り寄って抱いてって言ってきたわけ?ジュンペイの香水ってwあてにならないね?その小さなお鼻ちゃん。」

「そ…それは…ジュンペイさんに言ったのよ!!あんたなんかに言ってないわ!!なんなの失礼な人!!」

N「いや、だからそれはジュンペイじゃなくて俺ね?ってかなんで俺の部屋がメイド部屋になってんの!?あの部屋元々、俺の部屋だし!?酔っ払って眠いのに頑張ってベッドに行ったら女が寝てるし、その女は俺に迫ってくるし…ってか!そっちが俺のこと襲ったんじゃん!!」

J「ちょ…ナツオさん!声が大きい!!」

「そ…そんな…訳…!!」


目の前にいるメイドは俺だったと思った相手が、ナツオさんだったことが相当ショックだったのか涙をポロポロと流し泣いている。


N「まぁさ?このこと叔父さん…いや旦那様にバレたらどうなると思う?クビじゃ済まされないよ?なんたって俺はトルハの従兄弟でこの家の第二継承者なんだよ?メイドという立場でそんな俺に手を出そうとしたんだからね?未遂で終わったからよかったものの。今回は特別に叔父さんには俺に盛ったこと黙っててあげるからさ?だから、ジュンペイのことは…諦めなね?」


そう言ってメイドの顔をのぞいたナツオさんのその目は口調とは真逆で一切、笑ってなくて久しぶりにその目を見た俺はゾクっと背筋が凍った。


俺でもそう感じるその目を目の当たりにしたメイドは真っ青な顔をして微かに震えていた。


J「ナツオさんの言ってること……分かるよね?お互いのために…」


そう言うとメイドは必死に首を縦に振って慌てて逃げるように部屋に戻って行った。


そして、ナツオさんはいつもの顔に戻り我が物顔で俺の部屋に入りソファに腰掛けた。


J「ナツオさん…いつ海外からこっちに帰ってきたんですか?」

N「うん?昨日だよ。叔父さんに帰って来いって言われて。」

J「旦那様に?そうなんですね…」

N「でさ?ジュンペイ、あの女振ったってことはやっとトルハとそういう関係になったって事か?」

J「はぁ…今はその話…したくないです…俺シャワー浴びてくるんで。」

N「そう?ってか、風呂入る前にヤヨイの住所…教えてくんない?ヤヨイの家にしばらく居候しようと思って昨日行ったら、ヤヨイ俺に内緒で引越ししてやんの。もうほんと困った困った!!」

J「そりゃ、あんな別れ方したらそうなるでしょうよ。」


って言いながらも俺はヤヨイさんの住所をメモに書きナツオさんに渡した。


J「俺から聞いたってのは…」

N「内緒ね?サンキュー!」


そしてナツオさんは嬉しそうにルンルンとスキップしながら俺の部屋を出て行った。


つづく
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