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8話

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トルハside

俺はゆっくりと螺旋階段を上がり、部屋に入ろうとするとメイドは反省の色もなくまた、バスルームでペチャクチャと喋りながら準備している。


「ねぇねぇ!さっきの話の続きだけど!」

「……寝た。」

「マジで!?本当にジュンペイさんと寝たの!?」

「うん……寝たよ。」

T「いい加減にしろよ!!」


俺の怒鳴り声で後ろに俺が立っている事に気づいた2人は顔色を変えて焦っている。


T「もういい。出でいけ!!邪魔だ!出で行け!!」


俺は2人のメイドを追い出しバスルームの鍵を閉めた。


最悪だ…聞きたくなかった…


ジュンペイがあんなメイドと寝ただなんて…


俺はスーツを脱ぎ頭から熱めのシャワーを浴びた。


さっき聞いてしまった出来事を忘れ去るように。


すると、ドアノブがガチャガチャと音を立て俺はシャワーを止めた。


すると、扉の向こうからは大好きなのに憎くて堪らないジュンペイの声が聴こえてくる。


なんでだよ…


お前は俺の知らない所であんな女を抱いてたのかよ…


思わずそう扉の向こうにいるジュンペイに問いかけそうになり、俺はグッと堪えてそのまま扉を開けた。


初めて俺の裸を見たわけでもないくせに驚いた顔をするジュンペイ。


その顔が今は憎くてたまらない…大好きだから。


ジュンペイは黒目を揺らしながら横にあるバスローブに手を伸ばそうとしたので、俺はあの女が触れたのであろうジュンペイの唇に強引に吸い付いた。


あんな女の事なんて忘れて仕舞えばいい…


あんな女より俺のことを好きになればいい…


そう思ったから。


そして、濡れたままバスルームを出るとベッドに押し倒しジュンペイの露わになった腹筋を指先でなぞった。


なのにジュンペイは俺にされるがままで、拒むことも受け入れることもせず…


ただ、悲しそうな目で俺を見つめていた。


そんな目で…俺のこと見るなよ…


そしてジュンペイは俺に命令された通り、俺を抱き…


顔色ひとつ変えることなくて俺の部屋を出て行った。


何やってんだろ…俺…


気付いたら俺の頬には生暖かいものが伝い落ちていて…


ひとり震えながら布団にくるまり朝まで泣いた。


つづく
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