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17話
しおりを挟む実は2年前、トウジはソラが留学する前にソラに告白をして振られている………という噂が事務所内に流れた。
私自身、トウジからソラの恋心をリアルタイムで直接、聞いたわけではなかったけれど、その当時の彼の姿は確かに誰かに恋をしていて少し触れてはいけないような雰囲気が漂っていた。
それから数カ月後、噂が落ち着いた頃に私がそれとなくソラとの事をトウジに聞くと、トウジは振られたんだ~とわざと明るい笑顔を見せながら話していた。
私はそのトウジの切ない笑顔が今でも忘れられない。
そんな事を私は心の中で思い出しているとマサトが話し出した。
M「ソラが帰ってきたからまた、歓迎会しないとだね?そういえばリノンちゃんとソラは同期だろ?リノンちゃんも誘う?」
マサトがリノンちゃんの名前を口にするといつも明るくて元気いっぱいのソラの顔が険しくなり私は驚いた。
SR「リノンって…まだ事務所辞めてないんですね?」
*「え…う…うん、いるよ?今はね新人アイドルの担当ヘアメイクしてるからあんまり関わりなくなったけどね?そんな怖い顔してどうしたの…?」
私がそう言うとソラはハッとしていつもの優しい表情へと戻った。
SR「ううん。みんなの担当からは外れたんですね?」
*「うん。いつだったかな?ソラが留学する前に急に辞めた子がいたじゃん?その時にリノンちゃんもこの子達の担当から外れたの。今は新人アイドルの担当で頑張ってるよ?」
SR「そう…」
i「リノンとソラって仲悪かったっけ?」
イチもソラの様子に気づいたのか私も疑問に感じたソラとリノンちゃんの関係を問いかけた。
SR「まぁ…色々とあって…」
*「え?そうなの?全然知らなかった…」
SR「まぁ、メイク部門の事だからねぇさんには言わなかったの…ねぇさん忙しそうだったし?」
*「えぇ~水臭い!なんかあったらすぐ相談してよね?」
SR「ありがとう。」
M「じゃ、他のメンバーには俺が歓迎会の事伝えておくな?店はねぇさんの実家ね。」
*「えぇ~昨日も行った~。」
i「誰と?」
そう言ったイチの鋭い視線が少し怖くて私は思わずギョッとする。
そうだった…すっかりジュイとの事で頭がいっぱいだったがこの人も魔法にかかってるんだった。
T「俺と一緒に行ったんだよね?2人っきりでのデート楽しかったね~?ねぇさんまた、デートしようね。」
なぜかトウジはそう言ってわざとらしく私と肩を組み私の頭をポンポンと撫でている。
きっとそれはソラに嫉妬してもらおうと思ってとったトウジの行動かもしれないが、このしっかり者のソラがそんな簡単な見え透いたテクニックでトウジにコロッといくわけがない。
SR「まさかトウジとねぇさん…付き合ってるの?」
しかし、ソラは私が思っていたよりも色恋には純粋でトウジの見え見えなテクニックに引っかかったのか、少し驚いた顔をして私に問いかけた。
トウジもまだソラに気があるみたいだし、この様子だとソラももしかしたらトウジの事が気になってるのかもしれない。
そう思った私は瞬殺でソラの問いかけを否定した。
*「それは絶対ない。」
SR「…なんだ…」
T「でも、彼女はいるよ?」
トウジはなぜか少し自慢気にソラにそう言ってドヤ顔をしている。
私が必死で2人の間を取り持ってやろうと考えたのにこのバカはなんで、いないもしない彼女の事をいると言い始めるのだろうか!?
M「え!?いつの間に!?」
i「俺たちも初耳なんだけど?」
SR「え?そうなの?」
*「ちょっと待って君たち~!!この子が彼女つくるわけ………」
T「最近できたんだ…行くよ!ねぇさん。」
そう言ってトウジは私の言葉をかき消すように言い放つと、私の腕を掴みトウジは一目散に休憩室を出て私はなぜかトウジの作業室に押し込まれた。
この時…
私とトウジをじっと見るあの鋭い視線に気づいていれば…
全てはあんな事にならなったのかもしれない…。
つづく
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