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「僕の恋人のフォンダンショコラ」2話
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エニシサイド
バレンタインに恋人に会えないのか…と少し寂しく思っていると、カチャっと小さな音が玄関から聞こえたような気がして不審に思った僕は身構え、耳を済ませる。
カサカサ…と紙袋が擦れるような音が聞こえて僕は思わず屈んでキッチンのシンクに身を隠した。
微かに聞こえる足音に僕の心臓はバクバクと音を鳴ら思わず生唾をゴクリと飲み込む。
まさか…泥棒!?
こんな完璧なセキュリティーのマンションなのに!?
やけに大きく響くオーブンの音で気づかれたらヤバイと思った僕は、泳ぐ目でオーブンを見つめ電源を切ろうとゆっくり手を伸ばし扉を見つめると……
なんと、その扉に反射して写ったのは……
E「ヒュウ!?」
そう、そこには僕の愛するヒュウが立っていたのだ。
僕の恋人は手に紙袋を持っていて、僕が大声で叫んだ拍子に驚いて床にその紙袋を落としてしまった。
H「びっくりした…なんでそんなとこに隠れてんだよ……」
E「ヒュウこそ…ついさっき、今日は会えないって言ってたんじゃ…?」
僕がそういうと僕の恋人は少し悲しそうな顔をして紙袋を拾い中を覗いた。
僕は恋人の方に向かうと、僕の恋人は紙袋から小さな箱を取り出し、蓋を開けて泣きそうな顔になった。
H「せっかく初めてうまく焼けたのに……」
半泣きのヒュウがそう見つめる先を俺も一緒に覗き込むと、そこには落とした衝撃で崩れてしまい中からチョコレートが出てしまっているフォンダンショコラが入っていた。
E「フォンダンショコラ…」
H「エニシにサプライズしようと思ったのに…」
E「サプライズ?」
T「いつもエニシにご飯作ってもらってるから今日くらいは僕が!っと思って…何回も練習して今日初めてうまく作れたのに…ぐちゃぐちゃになっちゃった。」
僕の恋人はフォンダンショコラから溢れ出ているチョコレートを人差し指で掬うと、目に涙を滲ませながらパクと舐めた。
僕はそれを横でじーっと見つめる。
E「サプライズしたくてさっき電話で今日は会えないかもって嘘ついたの?」
H「うん…その方がエニシびっくりして喜んでくれるかな…と思って…」
E「そっか…でもヒュウ?僕めっちゃくちゃ嬉しいよ?ありがとう…僕のために作ってくれたんだね?」
H「せっかくのサプライズ失敗しちゃった……」
ヒュウは人差し指を咥えたままそう呟く。
その姿があまりにも可愛くて悲しそうなヒュウが目の前にいるというのに不謹慎な僕の胸はキュンとする。
E「ねぇ…僕にもちょうだい。」
H「でも、フォークかスプーンがないと……」
E「ヒュウのこれがあるじゃん。」
僕はヒュウの人差し指をトントンと指先で叩いた。
すると、ヒュウは落ち込んだ顔のままその人差し指でチョコレートを掬うと僕の口元に持ってくる。
僕はそんな恋人にニコッと微笑むと、チョコレートの着いた恋人の人差し指を咥える。
僕の口の中に入れた瞬間、指を出そうとする恋人の手首を掴み咥えたまま、ヒュウの指先を舌でもて遊ぶ。
悲しそうだったヒュウの顔はみるみるウチに赤く染まり違う意味で瞳を潤ませる。
何度もチュッ…チュパ…という甘い音を響かせてヒュウの指先を弄び、ヒュウの呼吸が少し荒くなり始めたのを見逃さない僕はチュっと音を立てて僕の恋人の指先を解放すると、そのまま、恋人の腰を抱いた。
つづく
バレンタインに恋人に会えないのか…と少し寂しく思っていると、カチャっと小さな音が玄関から聞こえたような気がして不審に思った僕は身構え、耳を済ませる。
カサカサ…と紙袋が擦れるような音が聞こえて僕は思わず屈んでキッチンのシンクに身を隠した。
微かに聞こえる足音に僕の心臓はバクバクと音を鳴ら思わず生唾をゴクリと飲み込む。
まさか…泥棒!?
こんな完璧なセキュリティーのマンションなのに!?
やけに大きく響くオーブンの音で気づかれたらヤバイと思った僕は、泳ぐ目でオーブンを見つめ電源を切ろうとゆっくり手を伸ばし扉を見つめると……
なんと、その扉に反射して写ったのは……
E「ヒュウ!?」
そう、そこには僕の愛するヒュウが立っていたのだ。
僕の恋人は手に紙袋を持っていて、僕が大声で叫んだ拍子に驚いて床にその紙袋を落としてしまった。
H「びっくりした…なんでそんなとこに隠れてんだよ……」
E「ヒュウこそ…ついさっき、今日は会えないって言ってたんじゃ…?」
僕がそういうと僕の恋人は少し悲しそうな顔をして紙袋を拾い中を覗いた。
僕は恋人の方に向かうと、僕の恋人は紙袋から小さな箱を取り出し、蓋を開けて泣きそうな顔になった。
H「せっかく初めてうまく焼けたのに……」
半泣きのヒュウがそう見つめる先を俺も一緒に覗き込むと、そこには落とした衝撃で崩れてしまい中からチョコレートが出てしまっているフォンダンショコラが入っていた。
E「フォンダンショコラ…」
H「エニシにサプライズしようと思ったのに…」
E「サプライズ?」
T「いつもエニシにご飯作ってもらってるから今日くらいは僕が!っと思って…何回も練習して今日初めてうまく作れたのに…ぐちゃぐちゃになっちゃった。」
僕の恋人はフォンダンショコラから溢れ出ているチョコレートを人差し指で掬うと、目に涙を滲ませながらパクと舐めた。
僕はそれを横でじーっと見つめる。
E「サプライズしたくてさっき電話で今日は会えないかもって嘘ついたの?」
H「うん…その方がエニシびっくりして喜んでくれるかな…と思って…」
E「そっか…でもヒュウ?僕めっちゃくちゃ嬉しいよ?ありがとう…僕のために作ってくれたんだね?」
H「せっかくのサプライズ失敗しちゃった……」
ヒュウは人差し指を咥えたままそう呟く。
その姿があまりにも可愛くて悲しそうなヒュウが目の前にいるというのに不謹慎な僕の胸はキュンとする。
E「ねぇ…僕にもちょうだい。」
H「でも、フォークかスプーンがないと……」
E「ヒュウのこれがあるじゃん。」
僕はヒュウの人差し指をトントンと指先で叩いた。
すると、ヒュウは落ち込んだ顔のままその人差し指でチョコレートを掬うと僕の口元に持ってくる。
僕はそんな恋人にニコッと微笑むと、チョコレートの着いた恋人の人差し指を咥える。
僕の口の中に入れた瞬間、指を出そうとする恋人の手首を掴み咥えたまま、ヒュウの指先を舌でもて遊ぶ。
悲しそうだったヒュウの顔はみるみるウチに赤く染まり違う意味で瞳を潤ませる。
何度もチュッ…チュパ…という甘い音を響かせてヒュウの指先を弄び、ヒュウの呼吸が少し荒くなり始めたのを見逃さない僕はチュっと音を立てて僕の恋人の指先を解放すると、そのまま、恋人の腰を抱いた。
つづく
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