ぼくはキミの守護霊さま。

樺純

文字の大きさ
上 下
38 / 39

第三十八話

しおりを挟む
真中ハヤテサイド

ようやく俺たちに穏やかな落ち着いた時間が出来きた。

コトハの献身的な看病のおかげで俺の身体の回復も順調だ。

なのに俺たちは何故か、俺が目覚めてからずっとぎこちない空気が漂っている。

誰かがお見舞いで来てくれている時は問題ないのになぜかいつも、2人っきりになるとドギマギしてぎこちなくなってしまう。

幽霊疑惑の時はあんなにも仲良くイチャイチャしあんな事までした仲なのに。

変な沈黙が続き、なにか話さなきゃ…そう思った俺が口を開く。

H・K「あの!!」

勢いよく言ったもののコトハと言葉が重なってしまい俺たちは顔を見合わせて笑い合う。

K「ハヤテが先に言って。」

H「あぁ~あと1週間くらいで退院できるって。」

K「ほんと!?やった!!」

H「うん。で?コトハの言いかけた事は?」

K「あぁ…うん…実はね?」

H「うん……もしかしてまた、変な奴にストーカーされてる?」

K「いや、そうじゃなくて…この事件を知った大家さんが心配してくれてね?もし、良かった別棟のセキュリティーのしっかりしたマンションの部屋が空いてるからそっちに引っ越してもいいよって言ってくれてて…」

退院したらまた、前みたいにお隣さんとしてコトハと暮らせると思っていた俺はコトハが別棟に引っ越そうと考えていることが少しショックだった。

しかし、怖い思いをしたのは事実で田舎に帰らず、東京にいてくれるだけでも十分だと思った俺はセキュリティがしっかりしてるならそっちに引っ越すのもありかなと思い、笑顔で答えた。

H「そうなんだ。」

K「寂しい?」

コトハはそう言って当たり前のことを上目遣いで聞いてくる。

H「そりゃ…寂しい。お隣さんだと会いたいときに会えるし。」

俺がそう言うと何故かコトハはクスクスと笑い、俺の手を握った。

K「もしね…ハヤテが良かったらだけど、そっちのマンションに一緒に住まない?」

コトハのまさかの提案にめちゃくちゃ嬉しいのにあまりの驚きで固まってしまった。

H「ぇ……!?」

K「やっぱ…いきなり同棲は嫌だよね…ごめん…」

そんな俺の反応を見たコトハは悲しそうな顔をして、俺から顔を背けるので俺は繋ぎ合わせられたコトハの手を引っ張るとコトハは俺の顔を見た。

H「一緒に暮らしたい…そこで…」

そう俺が言うとコトハは嬉しそうに首を縦に振った。

入院中に寺の息子であるツカサさんをニジスケさんに紹介してもらい、昏睡状態だった俺が彷徨っていた話とコトハのストーカーである男の生き霊の話をした。

H「どうですか?まだ…コトハにはなにか憑いてますか?」

昏睡状態から目覚めた俺にはもう、コトハに生き霊がついつるかどうかがわからない。

コトハは不安そうに俺の手を繋ぎながらツカサさんを見つめている。

T「……憑いてる…」

ツカサさんの言葉を聞いてゾッとする俺と手が微かに震え出すコトハ。

そんな俺たちの姿をみたツカサはニコッと笑った。

T「コトハちゃん今、数珠みたいな何か持ってるだろ?」

ツカサさんがそう言うとコトハがアッとした顔をしてポケットから弾け飛んでバラバラになったはずの俺のブレスレットの玉を持っていた。 

K「これ……」

T「これが守ってくれてたんだな。これが身代わりとなって邪気が入り込んでるから浄化すれば大丈夫だよ。コトハちゃんにはもう…生き霊は憑いてない。」

ツカサさんはそう言ってそのブレスレットの紫色と緑色の玉を手のひらに合わせて目を閉じるとしばらくしてコトハの手のひらに置いた。

T「これからもこれ…大切にしなよ。」

K「はい…」

コトハはそう返事をすると安心したのかギュッと握りしめて俺に微笑みかけた。

つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大好きな背中

詩織
恋愛
4年付き合ってた彼氏に振られて、同僚に合コンに誘われた。 あまり合コンなんか参加したことないから何話したらいいのか… 同じように困ってる男性が1人いた

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...